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薬剤師がおさえておきたいサプリメント事情 ~第2回「健康食品の有効性」~

2022.08.09

第1回「日本の健康食品概要」記事はこちら←

第3回「健康食品の安全性」記事はこちら←


日本の法律(健康増進法、食品表示法等)では、健康食品の有効性(効果・機能)を表示できるのは保健機能食品だけです。「いわゆる健康食品」は有効性を表示することができません。保健機能食品においては、法律で表示が細かく規定されており、有効性だけでなく、摂取目安量や摂取上の注意情報も確認することができます。

とはいえ、保健機能食品の有効性の科学的根拠となる臨床試験の対象は健常者に限られていることから、その表現は限定的です。つまり、日本で商品に表示されている成分の有効性と、その成分が本来発揮できるはずの有効性は必ずしも同じではない、ともいえます。これは医薬品と保健機能食品の違いでもあり、医薬品は疾病等の治療のためのもので、保健機能食品は健常者の健康増進を目的として利用されるものということです。

■有効性の根拠とは

前回コラムで述べた2015年創設の機能性表示食品制度の場合、機能性関与成分の根拠はシステマティックレビューなどの文献調査を経るのが望ましいのですが、ごく限られた研究報告が採択されることが多いようです。科学的根拠の質という観点からは、機能性の根拠とすべき評価方法にばらつきが生じているようにもみえます。科学的根拠の資料について誤った解釈をしている例も少なくありません。なぜなのでしょう。

背景には、消費者庁が公開する届出情報は消費者庁の厳しいチェックをパスしているもので、誤りはないという思い込みから、既出の届出情報の資料を参考にして評価が行われる場合があるのかもしれません。特定保健用食品とは異なり、機能性表示食品は事業者の責任の元で届け出るため、個々の製品ごとに消費者庁長官が審査することはありません。正しい情報を見極める目を消費者側も養う必要があります。

■成分の有効性を知る

健康食品などに含まれる成分(原料となる素材を含む)の有効性の根拠や有効性の有無を国立健康・栄養研究所が『「健康食品」の素材情報データベース』でオンライン公開しています。欧米では積極的に医療従事者に対して情報提供していますが、米国国立衛生研究所(NIH)をはじめ各国が公開している有効性や安全性の情報は、ほぼ米国で編纂されているナチュラルメディシン・データベース(Natural Medicines、以下NMDB)に基づいており、『「健康食品」の素材情報データベース』でも多く採用されています。

NMDBは、疾病改善の可能性や、リスク低減なども含めた情報を網羅しています。有効性については300を上回る素材や成分が6段階(※)評価の上位3段階に評価されています。機能性表示食品の機能性関与成分のうち、NMDB掲載の成分は約100ありますが、同じ成分でも機能性表示食品で届出されている機能性と、NMDBで示されている有効性は必ずしも同じではありません。NMDBの情報源は病者も含む幅広く膨大な研究報告が対象だからです。

消費者にとっては成分の有効性に関心が向きがちですが、その安全性や、医薬品と一緒に摂ったときの相互作用、複数の健康食品の併用による相互作用など、いわゆる「飲み合わせ」への配慮も必要です。日本医師会、日本薬剤師会が中心となり健康食品の安全な利用について注意喚起しています。

最後に、ここで述べた情報源をはじめ情報の利用には、著作権法に基づく適切な利用が求められます。情報利用の際には使用許諾の有無を確認してください。国立健康・栄養研究所『「健康食品」の素材情報データベース』の商用利用は固く禁じられており、NMDB原典からの翻訳にも許諾が必要となります。

※6段階評価 ①効きます ②おそらく効きます ③効くとは断言できませんが効能の可能性が科学的に示唆されています ④効かないかもしれません ⑤おそらく効きません ⑥効きません



(筆者)一般社団法人日本健康食品・サプリメント情報センター(Jahfic) 理事 宇野文博