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オンライン資格確認の義務化に向けた評価の見直し
2022.09.22
政府は、2023年1月から電子処方箋を開始予定であり、その基盤となる「オンライン資格確認」を何としても普及したいと考え、2023年4月からオンライン資格確認の原則義務化を打ち出し、それに伴い診療報酬上の評価が見直されることになりました。
オンライン資格確認の普及に向けて
政府は「オンライン資格確認」について、2023年3月末までに概ね全ての医療機関・薬局へのシステムの導入を目指しているものの、2022年7月現在で、運用を開始している施設は2割弱に留まっており、そこで普及に向けて、新たな施策が打ち出されました。
- 2023年4月から保険医療機関・薬局におけるシステム導入について原則として義務化する。
- 医療機関・薬局でのシステム導入が進み、患者によるマイナンバーカードの保険証利用が進むよう、関連する財政措置を見直す(診療報酬上の加算の取扱については、中医協で検討)。
- 2024年度中を目途に保険者による保険証発行の選択制の導入を目指す。状況に応じて保険証の原則廃止も目指すとしています。
2023年1月開始予定の「電子処方箋」、その後医療情報の範囲を順次拡充していき、最終的には電子カルテ情報も含めた「全国医療情報プラットフォーム」を構築することを計画しており、オンライン資格確認はその基盤となる仕組みです。わが国の医療DX化を何としてでも成功させたい政府の本気度が伺えます。
診療報酬上の評価の見直し
また、8月10日の中医協で、「オンライン資格確認」に関する点数が2022年10月から変更されることが決定しました。2022年4月の診療報酬改定からわずか半年での変更となります。
2023年度より、保険医療機関・薬局に、医療DX化の基盤となるオンライン資格確認等システムの導入が原則義務されることを踏まえ、当該システムを通じた患者情報の活用に係る現行の評価(電子的保健医療情報活用加算」を廃止し、新たに「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」を新設することとなりました。オンライン資格確認が将来の情報基盤の役割になることを強く打ち出した名称となりました。
施設基準についてはほぼ変わらず、以下の通りとなりました。
- 対象は、オンライン請求を行っている医療機関・薬局
- オンライン資格確認を行う体制を有している(運用開始日の登録を行うこと)。
- 患者に対して、薬剤情報、特定健診情報その他必要な情報を取得・活用して診療等を行うこと
- 上記について、院内掲示・ホームページでの掲示を行うこと
具体的な点数についても、「マイナ保険証の方が従来の保険証の場合より点数が高くては普及が進まないのではないか」という指摘を反映する形で変更が行われています。
「初診料」にかかる加算ついては、マイナ保険証を利用する場合は7点から2点に引き下げ、利用しない場合は3点から4点に引き上げています。マイナ保険証と従来の保険証の点数差が逆転しています。また再診料については、マイナ保険証を利用する場合の4点を廃止しています。
補助金の変更
オンライン資格確認のシステム整備に関する「補助金」についても変更が行われています。補助内容が二転三転していますので、「診療所」を例に解説します。
もともと、診療所の補助率は「32.1万円を上限に事業額の3/4を補助」とされていました。しかしながら、普及を急ぐ政府は、「加速化プラン」として、2021年3月末までに顔認証付きカードリーダー(以下、カードリーダー)を申請した場合は、「42.9万円を上限に実費補助」と補助率が一時的に引上げられました。その後いったんは元の補助率(3/4)になりましたが、今回、「補助拡充①」として、2022年6月7日~12月31日にカードリーダーを申請し、システム事業者との契約を2023年2月28日までに締結した場合は「42.9万円を上限に実費補助」と補助率を再び引き上げました。一方で、2021年4月1日~2022年6月6日の期間にカードリーダーを申請した診療所にとっては不利となるため、「補助拡充②」として、2022年6月7日~2023年1月31日の期間にシステム事業者との契約を締結した場合は、差額が補助されることになりました。
つまり、「42.9万円の実費補助」を受けるための期限は、カードリーダーが12月末まで、システム事業者との契約期限が2023年2月末までとなりました。いずれにしても、最終期限は従前通り2023年3月末までに改修等事業を完了し、2023年6月末までに補助金の交付申請を完了する必要があるとしています。
(出典)オンライン資格確認・医療情報化支援基金関係医療機関向けポータルサイト