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電子カルテ運用のポイント 「こころの連携指導料」

2022.11.07

 日本では国策として「自殺総合対策大綱」に沿って対策が推進され、自殺者数も減少傾向にありましたが、コロナ禍において再び増加し、特に若年女性に影響が表れています。

令和4年改定では、孤独・孤立により精神疾患が増悪するおそれのある患者に対し、かかりつけ医及び精神科または心療内科医が自治体と連携、指導を行った場合の評価が設けられました。

 本稿では、その指導料である「こころの連携指導料(Ⅰ)及び(Ⅱ)」の運用の留意点やカルテ記載についてお伝えさせていただきたいと思います。なお(Ⅰ)及び(Ⅱ)は、施設基準の届出が必要な項目です。


Point1: こころの連携指導料(Ⅰ)と(Ⅱ)の違い

紹介元と紹介先によって(Ⅰ)と(Ⅱ)に分かれます。(下記フロー図参照)

共通算定要件:下記Point2の対象患者に診療及び指導を行い、患者の同意を得て診療情報の文書を提供した場合に、初回算定月から1年を限度に月1回限り算定します。

 

こころの連携指導料(Ⅰ)                   こころの連携指導料(Ⅱ)

 

心療内科・精神科標榜の保険医療機関の内科等の担当医が、他の心療内科・精神科に当該患者を紹介した場合も(Ⅰ)が算定できます。 (令和4331日 疑義解釈その1 問164 )

心療内科・精神科標榜の保険医療機関の心療内科・精神科の担当医が、他の心療内科・精神科に当該患者を紹介した場合(Ⅰ)は算定できません。 (令和4331日 疑義解釈その1 問163 )

 

Point2: 対象患者

こころの連携指導料(Ⅰ)

下記のいずれかの外来患者

① 地域社会からの孤立の状況等により、精神疾患が増悪するおそれのある患者

② 精神科もしくは心療内科の担当医による療養指導が必要であると判断された患者

 ※ ②の判断方法⇒SAD Persons スケール、EPDSPHQ-9 又はK-6 等によるスクリーニング

 

こころの連携指導料(Ⅱ)

紹介元がこころの連携指導料(Ⅰ)を算定し、当該保険医療機関に紹介された外来患者

 

 Point3: 算定の留意点

こころの連携指導料(Ⅰ)

・指導は患者の心身の不調に配慮するとともに、生活上の課題等について聴取する。

 ⇒要点を診療録に記載することが必要です。

2回目以降の診療等は、連携する精神科または心療内科医から提供された患者に係る診療情報等を踏まえ、適切な診療及び療養上必要な指導に努める。

 

(Ⅰ)(Ⅱ)共通

・2回目以降は、あらかじめ定められた方法で、情報共有を行う。(2回目以降、連携する精神科・心療内科医または紹介した医師に必ずしも文書による情報提供は要しない。)

必要に応じて、患者の同意を得た上で、患者に係る情報を市町村等に提供する。

 

Point4: 厚生労働省「適時調査実施要領等」における重点的に調査を行う施設基準に該当

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/dl/chousa_shisetsukijun01-5.pdf

(Ⅰ)

(1) 精神科又は心療内科を標榜する保険医療機関との連携体制を構築している。

(2) 当該診療及び療養上必要な指導を行う医師は、自殺対策等に関する適切な研修を受講している。ただし、研修を受講していない場合にあっては、令和4年9月30日までに受講予定であれば、差し支えない。

 

当日準備:当該届出に係る常勤医師の研修修了証(当該研修の名称、実施主体修了日及び修了者の氏名等を記載した一覧でも可)

 

(Ⅱ)

(1) 精神科又は心療内科を標榜している保険医療機関である。

(2) 当該保険医療機関内に精神保健福祉士が1名以上配置されている。

 

当日準備:当該届出に係る精神保健福祉士の出勤簿(直近1か月分)

 

<(Ⅰ)の研修>

・ 厚生労働大臣指定法人・一般社団法人いのち支える自殺対策推進センターが主催する

自殺未遂者ケア研修(精神科救急版),自殺未遂者ケア研修(一般救急版),

自殺未遂者ケア研修(かかりつけ医版)※

・ 日本臨床救急医学会等が実施するPEECコース

・ 自殺未遂者等支援拠点医療機関整備事業で各事業者が主催する研修

(令和4331日 疑義解釈その1 問162 )(令和4622日 疑義解釈その14 問5 )

※ 自殺未遂者ケア研修(かかりつけ医版)は年に複数回実施。第1R4/9/25。開催日は追ってホームページに掲載。 https://jscp.or.jp/news/ea268d5521255eaf242c1c41a6d4cf20e77cde7b_.html 

 

 

 うつ病等の精神疾患患者は身体症状が出ることも多く、かかりつけの医師を受診することも多いため、かかりつけの医師が患者の社会的な背景要因を考慮した自殺リスクの評価をされ、地域で連携されることが望まれています。

情報提供元:株式会社ウォームハーツ