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婦人科クリニックのシステム化ワークフロー

2022.05.09

婦人科クリニックのシステム化は、①Web問診、電子カルテ、来院管理、検査管理の4点を考える必要があります。婦人科の特徴として、患者数が比較的多いため、カルテ記載に時間をかけられず、いかに効率よくカルテを記載するための電子カルテの準備が重要になります。言い換えれば、いかに素早くカルテ記載を完了するかがカギとなります。

 

問診業務の効率化

婦人科は、問診から疾患を類推することに重点を置くため「問診業務」が重要です。問診票を確認しながら、看護師が患者に聞き取りを実施し、できるだけ多くの情報を医師の診察前に集めている診療所もあります。そこで、問診業務の効率化のために、「Web問診システム」の活用をお勧めしています。Web問診は、患者が来院する前に問診を入力することが可能です。診療所の外で自宅などで入力することが可能であるため、ゆっくり落ち着いて入力することができます。結果、問診の抜け漏れも少なくなります。さらに、新型コロナウイルスの感染対策として、発熱患者等のトリアージの効果も期待できます。

 

電子カルテ入力のスピードアップ

電子カルテはいかに素早くカルテ作成を完了させるかが重要ですから、入力スピードのアップを考えなくてはなりません。スピードアップの秘訣は、「セット化」「クラーク運用」にあります。前者は電子カルテ操作の「省力化」を意味し、後者は電子カルテ操作の「業務分散」を意味しています。カルテ作成等に係る業務を減らし、その業務をサポートスタッフと分担することで、医師の業務負担軽減につながります。

 

診療行為と病名のセット化

「セット化」については、所見、検査、処置、処方、そして病名のすべてをセット化することで、入力の手間を大幅に削減することが可能です。

例えば、「かゆみ」を訴えている患者を考えてみましょう。患者の主訴、そして状態をしっかり確認し、その症状を引き起こす原因を探るために、検査を実施します。その後、症状に合わせて処方や処置を行います。処方は、かゆみや炎症止め、必要に応じて抗生物質などを選びます。病名は検査や処方に合わせて選びます。この一連の流れをある程度一覧にまとめておくことで、入力は飛躍的にスピードアップします。

 セットについては、最初に頻出する疾患別にいくつかセット化しておき、後から追加・変更を繰り返すことで、より良いセットが作られていきます。また、セットは医師やクラークが覚えやすいように名称を付けるとともに、配置についても、疾患ごとにまとめて配置しておくと探しやすくなります。

忘れてはならないのは、セットを更新した際には、必ず情報連携を行うことです。これは電子カルテを入力する誰もが心得て欲しいところです。いつの間にかセットが更新されていたり、配置が変わったりすると、トラブルのもとになります。

 

クラークの動き

 「クラーク」については、まず医師とクラークの役割分担を行います。役割分担とは、どの部分の入力を医師が行い、クラークは何を担うかを決めることです。これを決めておくことで、医師とクラークの連携がスムーズに進みます。

具体的には、初診であれば問診内容から類推し、どのセットを選ぶかを考えます。当然、患者の訴えは絶対ではないので、医師の診察を通して、修正が必要になります。ただし、患者の訴える症状からいくつかの疾患を想像する訓練することで、医師の動きに伴奏することが可能になるのです。これは疾患への理解とともに、経験が必要になりますので、長い目で育成していただくことをお勧めします。

また、婦人科は人に聞かれたくないナーバスな内容を含みますので、医師以外にスタッフがいることを患者が好まないことも多くあります。席の配置や服装、キーボードの入力音などに最善の注意を払う必要があります。クラークは医師の黒子に徹し、できるだけ存在を消すことがポイントです。一方で、クラークは電子カルテの入力業務に集中しすぎないように、常に患者に配慮しながら行動してください。

 

検査管理

婦人科の「検査」は、超音波検査、血液検査、細菌検査、細胞診などが考えられます。これらの検査の流れを、医師、看護師、クラークがしっかり理解しておくことでスムーズな運用が可能になります。具体的には、検査の実施や、検査結果のカルテ記載、結果の患者説明など一連の流れで整理しておくことをお勧めします。

 システム化のポイントは、検査結果の取り込みにあります。画像の結果は画像ファイリングシステムにまとめ、数値の結果は電子カルテで管理するというのが一般的な運用方法です。

 時間管理

 婦人科は、他の診療科に比べて患者が多いのが特徴です。そのため、待合室が混雑しやすく、待ち時間も長くなりがちです。そこで、多くの診療所では「順番管理システム」が導入されています。このシステムは銀行の発券システムのように、患者が1番、2番と診察番号(札)をシステムから発番し、それをもとに患者さんの診察順番を整理していくシステムです。

 最近では、「時間帯」予約と呼ばれる方法をとっているところも見られます。これは10:0010:30といった時間帯に、複数人の予約を取る方法です。ざっくりとした時間帯を決めておくことで時間のズレが緩和されます。時間予約と順番予約の良いところを組み合わせた方法でです。

これらのシステムはWebから簡単な操作で発番・予約、進行状況の確認が可能で、自分の順番が近づいてから、クリニックに向かうという受診行動が促されます。その結果、待合室で長時間患者さんが滞留することがなくなります。

 

まとめ

以下に婦人科のシステム上のポイントを5点まとめましたので、参考になさってください。

①問診業務はWeb問診を導入することで、効率化とトリアージが実現できる。

➁電子カルテはセット化、クラーク運用でスピードアップを図る

③検査は、実施、結果取り込み、説明をセットで考える

④画像結果は画像ファイリング、数値結果は電子カルテで管理する

⑤順番管理か時間帯予約を導入して、院内の待ち時間の短縮、密を避ける