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オンプレ型電子カルテとクラウド型電子カルテの違い

2022.07.20

 スマホやネットの普及は、私たちの生活に大きな変化をもたらしています。クラウドをベースにした生活が当たり前の時代となったのです。医療の世界でもクラウドの活用は進んでいます。電子カルテもクラウドが当たり前になりつつある中、あらためてクラウドとオンプレの電子カルテの特性の違いを考えてみます。

 

医療分野におけるクラウド解禁

医療分野で、クラウドサービスを利用できるように正式になったのは、2010年に改正された「診療録等の保存を行う場所について」の厚生労働省通知にさかのぼります。この通知では、従来の診療録等の医療情報は、医療機関及びそれに準じる医師会や自治体に限定されてきた取り扱いを、企業等が運用するサーバで管理することが認められたのです。これがいわゆる「医療分野でのクラウド解禁」です。

医療分野でのクラウド利用は、クラウド解禁以前から実はありました。「診療予約システム」など個人情報の影響が少ないシステムから始まっていたのです。その当時は、セキュリティ面での不安があり、個人情報の流出のリスクやインターネットの安定性の問題などから、レセコンや電子カルテの基幹システムでは、クラウド化の波が訪れるのは未来の話と考えられていました。

しかしながら、個人情報保護法の整備を受けて、クラウド利用に対するガイドラインを厚生労働省、経済産業省、総務省などが相次いで整備することにより、クラウドサービスを医療分野でも使いやすい環境整備が進みました。

 

クラウド型電子カルテの出現

そのような環境の変化を受けて、2015年ごろから徐々にクラウド型電子カルテが増えてきています。そもそも電子カルテの世界は長らく院内にサーバを置く「オンプレ型」が主流でした。電子カルテが保有する情報は、その性格上流出リスクが高いと考えられており、高いセキュリティレベルを必要とすることから電子カルテはインターネットにつながないという方針を取っているメーカーが多くありました。しかしながら、2019年現在では、先ほど紹介した政府による環境整備、実生活においてのクラウドサービスの一般化とその恩恵などから、クラウドタイプの電子カルテが相次いで出現しています。

クラウド型電子カルテで、真っ先に浮かぶのは「価格面」の恩恵でしょう。さらに、インターネットがつながればどこでも電子カルテの使用ができる「モバイル性」、端末やOSの依存も少ないことから、システム活用のハードルを下げる効果が出ていると思われます。

 

オンプレ型とクラウド型の違い

さて、オンプレ型とクラウド型の電子カルテの違いを整理しておきましょう。

まず、「サーバ管理」についてですが、オンプレ型は、サーバを診療所内に設置し、診療所自らが管理するのに対して、クラウド型は企業が用意したクラウドサーバを利用するため、サーバ管理は企業側で行うことになります。専門の担当者をおけない診療所にとっては助かることでしょう。

サーバ管理が企業側に移ることで、「サポート」の在り方も変化が生まれています。従来、電子カルテなど、診療所の基幹システムにトラブルがあると、診療機能が止まってしまうため、メーカーや販社が大急ぎで駆けつけ修理をしていました。この駆けつけサービスは距離の問題があり、すぐに対応できても数時間のロスタイムが発生していました。サポート拠点が近くにない場合は、大きなトラブルとなっていました。一方、クラウド型になると、システムトラブルのほとんどは企業内のサーバで解決可能になり、移動時間のロスタイムがなくなります。また、ハードのトラブルについても、インターネットにつながる環境さえ障害がなければ、ハードを交換するだけで対応が可能となります。「サポート」の考え方が根底から変わるのです。

2年に1回必ずある「診療報酬改定の対応」についても、リアルタイムで更新が可能になります。朝、電子カルテを立ち上げるだけで自動的に最新の情報に変わっているのです。

誰もが心配するインターネットの障害についても、「アプリタイプ」であれば、問題なく使用が可能です。インターネットが止まったら動かないというトラブルもなくなるのです。

このアプリタイプのクラウド型電子カルテは、インターネットスピードにも依存が少なくなり、快適な「操作性」を実現します。医師が毎日8時間以上使用する電子カルテが使いにくいとなれば、ストレスはどんどん蓄積されていきますから、この操作性やスピードは大変重要な問題だと考えます。

「コスト」については、クラウド型は「サブスクリプションモデル」が主流です。月々一定の金額を支払えば、継続して使用することが可能です。当たり前のようにかかってきた電子カルテの定期的に買い替えるコストはもうなくなるのです。(ただし、導入時にインストラクターが導入サポートや研修を出向いて行う場合は、当然人件費がかかります。これは必要経費と割り切って考える部分です。)