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診療科別DXの進め方(電子カルテと機器・システム連携)②
2022.07.22
クリニックにおけるDXを考える際、現状の「困りごと」に対して、デジタル機器を導入することで業務改革が図れるかを考える必要があります。困りごとについては、クリニックごと、診療科ごとに異なります。困りごとは十人十色なのです。そこで、診療科ごとに困りごとを解決するため、どのようにDXに取り組んでいくか考えます。今回は小児科、精神科、婦人科のDXを取り上げて解説します。
電子カルテを中心とした医療機器や周辺システムの連携は、クリニックDXにおいて必要不可欠となりました。DXとは「Digital Transformation」の略ですが、日本語に訳すと「デジタル機器を活用した業務改革」となります。
DXはデジタル化が目的ではなく、デジタルによる改革が目的となるので、当然、従来業務をデジタルに置き換えるだけでは不十分であり、新たな価値を生み出す必要があるのです。クリニックがDXによって、患者に新たな価値を提供することで、患者から支持されるクリニックへ生まれ変わることが可能となるのです。
小児科のDX
小児科クリニックがDXを考えた時、どんな業務改革をしたいかを考えてみましょう。小児科クリニックは患者が多く、しかも急性疾患が多い傾向にあります。そのため、待合室は常に患者であふれており、コロナ禍では感染の恐怖から、患者が減少に転ずる原因ともなりました。また、小児科においては、子供のワクチン接種(管理)も重要なポイントになります。つまり、通常の患者とワクチンの患者を待たせずスムーズに回すことが、DXのポイントとなります。
患者を待たせないためには、「患者集中の緩和」と「患者の滞在時間の短縮」が必要となります。「患者集中の緩和」は、予約システムなどを導入して、予約時間が来たら呼び出す仕組みを構築し、できるだけ待合室で待たない仕組みを作り出す必要があります。また、ワクチンの管理にも予約システムが有効です。
一方、「患者の滞在時間の短縮」は、問診、診察、検査、会計の流れをスムーズにし、時間短縮を図る必要があります。予約時にWeb問診を行い、診察や検査の準備を前倒しすること、会計についてもキャッシュレス決済などで、効率化を図ると良いでしょう。
精神科のDX
精神科クリニックがDXを考えた時、どんな業務改革をしたいかを考えてみましょう。精神科クリニックは、コロナ禍で患者が増えた診療科の1つです。患者増加の影響から、「初診の予約が取れない」という課題が出てきています。また、精神疾患の患者は定期的に通院するため、診察後に「次回の予約をスムーズに決定する」ことも重要になります。つまり、定期的に来院する再診患者の合間に、いかに多くの「初診枠」を生み出すことができるかがDXのポイントとなります。
初診の予約をスムーズに入れるためには、「初診枠」をあらかじめ設定し、常にホームページやSNS(TwitterやLINEなど)で告知を行う必要があります。また、初診の患者は、診察時間が長く、カルテも長文になります。そこで、カルテの記載時間を短縮する工夫としては、「医療クラーク」や「音声入力」などを活用することも考えると良いでしょう。さらに、医療クラークを配置することで、次回の予約調整を医療クラークに任せることができ、医師は次の患者を診ることができるというメリットも考えられます。
婦人科のDX
婦人科クリニックがDXを考えた時、どんな業務改革をしたいかを考えてみましょう。婦人科クリニックは、患者が多く、検査・処置も多いという特性があります。そのため、待合室はいつも患者であふれています。また、婦人科は患部を露出し確認する必要があり、衣服の着脱が伴います。これが重なることで、患者の順番が進まない原因ともなるのです。つまり、多くの患者を「同時並行」で診察していくことができるかが、DXのポイントとなります。
複数の患者を「同時並行」で診察するためには、物理的に複数の診察室、内診室を用意する必要があります。複数の診察室および内診室で、患者の対応を医師、看護師が交互に対応していくための体制づくりが必要となります。例えば、診察室2つに対し、内診室を1つ用意し、電子カルテを複数台設置し、複数の部屋を医師及び看護師が交互に訪れるような仕組みを作る必要があるのです。また、電子カルテの入力についても、医療クラークを配置することで、医師の負担を軽減しスピードアップを図ることが可能になるのです。