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コラムNo.8 薬局のブランディング(1)

2022.09.19

ブランドとブランディング

 

ブランディングとは、一般的には「ブランド」を形作るための様々な取り組みを指して使われている言葉だ。 「ブランド」は、商品やサービスを別の会社や組織の商品・サービスから区別するための要素である。たとえば、商品・サービスのデザイン、シンボルマーク、ロゴ、商標、名称、キャッチフレーズ、記号などといった要素の組み合わせである。

「ブランド」を消費者に認知してもらい、マーケットでのニーズを知り自社(商品・サービス)の強み・ポジションを明確化するのが「ブランディング」という活動だ。

また、「〇〇といえば自社の商品・サービス」「このロゴはどこどこの商品・サービス」…といったイメージをマーケットに愛着を感じてもらい、浸透させるのがブランディングという活動の目的である。

 

薬局のブランディング

 

 それでは、薬局におけるブランディングとはどういうものか?

このコラムでは、いくつかの要素に分けて説明をしたいと思うが、その前に前提となる要素を少々述べたい。

 その前提とは、薬局をチェーン薬局やラッグストアを意識したものではないということ。なぜ、そうか?ということだが、薬局は医療提供施設が前提となるからである。つまり、ほかの小売業とはちがって薬を提供するだけの「薬の窓口」ではないからである。さらに保険調剤でいえば、一次医療体制、二次医療体制の中で他の医療職種と連携した単独では十分機能できない仕事であること、また、薬を出すだけで仕事が完遂することがないこと。そういった事業形態の中で、ブランドやブランディングを考えていく必要があるわけである。

 

基本は患者対応

 

 薬局の調剤サービスでは、前述のとおり「クスリの取り揃え」のみではなく、患者個々の背景にあった対応がすべてである。それは、日頃の健康・疾病管理から、受付、指導、そしてフォローアップまで、常に薬剤師が行うことから、ブランディングの基本は、患者対応そのものであると言えよう。その中でも、医療人としてのコミュニケーションが基本である。

 またそこには、一般的な接客業である基本的なマナーは当然のことながら、薬剤師を中心としたスタッフ同士の作業や連携も患者から見られることになる。もちろん、薬学知識・経験が十分であることは当然であるが、医療について、そして社会制度についての知識とともに、薬局外の医師をはじめとした他職種とのスムースなコミュニケーションも必要である。

 さらに、「調剤」だけでなく、保健衛生を含めたすべてを持って対応できるだけの薬局・薬剤師であることがブランディングの重要な要素のひとつであることは基本であろう。

 

内装や外観

 

 薬局のハード(人以外の入れ物)はどうであろうか?

 どんなにお金をかけて一流のホテルのように着飾っても、ソフト面が充実していなければ、継続して利用されぬことは理解できるであろう。また、設備が日々整備されていない場合も同様であろう。古くても、環境(構造・設備)がいつもメンテナンスされていれば、そこにはソフト面の価値を倍加させることができると想像できる。

 繰り返すが、ハード面は日々メンテナンスされるべきものである。具体的には、壁などに貼付されているポスター・掲示物の日焼けや陳腐化、トイレ・待合室・椅子の清掃、患者から目視できるカウンター・調剤室等などのクリンリネスと整理整頓、といったものを含むことができる。むろん、外観としての看板や表示物も同様である。

 マンツーマンでも、街中薬局(いわゆる面タイプの薬局)でも、お金をかけずとも、患者や地域の方を迎えるための整備は、ブランディングに欠くことのできない重要な要素である。

 加えて、薬局の提供するソフトを体現する内装・外観であることが大切である。これらは、統一された意匠、素材なども含まれる。