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電子カルテにかかる実際の費用

2022.09.26

 電子カルテは、実際にいくらくらいかかるのでしょうか。メーカーのホームページに標準的な金額が書かれている場合と、メーカーから見積りを取ってみないと分からない場合があります。また、見積りを見ても、その内訳はかなり複雑で、簡単には理解することは難しいと感じるでしょう。そこで、電子カルテの実際の費用について解説します。


 電子カルテは、従来のオンプレミス(院内サーバ)型電子カルテとクラウド型電子カルテで、費用の考え方は大きく異なります。そこで、オンプレミス型電子カルテとクラウド型電子カルテを比較しながら、「電子カルテの費用」について考えてみます。

 

電子カルテの費用はレセコンの費用と併せて考える

電子カルテの費用を考える際「電子カルテはレセコンと一緒に購入するのが一般的」という考えを持つ必要があります。保険請求が必要な場合、電子カルテ単独で導入するケースはほとんどありません(現在使用中のレセコンに電子カルテを追加する場合を除く)。

レセコン一体型電子カルテであれば、レセコン機能は当然含まれています。一方、日医標準レセプトソフト(以下、ORCA)に連携する電子カルテは、電子カルテにORCAの費用を合わせて考えることになります。

 

イニシャルコストとランニングコスト

 電子カルテにかかる費用は、「イニシャルコスト」と「ランニングコスト」に分けて考えることができます。「イニシャルコスト」は、オンプレミス型電子カルテであれば、ソフトライセンス費用と導入・研修費用、そして端末代金が含まれます。一方、クラウドサーバ型電子カルテの初期費用は、ソフトライセンス費用料はなく、また導入・研修費用も自らでセッティングをする場合は、費用は必要ありません。また、「ランニングコスト」は、オンプレミス型電子カルテであれば、保守費用として、診療報酬改定や定期バージョンアップにかかる費用と、トラブル時の対応費が含まれています。一方、クラウドサーバ型電子カルテのランニングコストは、「月額利用料」として、ソフトライセンス費用料と診療報酬改定や定期バージョンアップにかかる費用、そしてとトラブル時の対応費が含まれています。

 

端末にかかるコスト

 パソコンやプリンター、スキャナーなどの「端末費用」は、オンプレミス型電子カルテはイニシャルコストに含まれている場合が多く、パッケージ化されています。しかしながら、最近ではユーザー自らが端末を用意するケースも出てきています。

一方、クラウドサーバ型電子カルテは、「端末フリー」がほとんどで、ユーザー自らが端末を用意することになります。端末を選ぶ際、CPU、メモリー、HDDなどのパソコンのスペックの指定がありますので、それを参考に選ぶことになります。

 

更新にかかるコスト

オンプレミス型電子カルテは、5年~6年に1回、マイクロソフト社のOSであるWindowsのバージョンアップに合わせた大幅なアップデートなバージョン が行われるため、基本的には「更新費用」がかかります(かからないメーカーもあります)。この更新コストは、新たに電子カルテを購入するのと同等額程度かかる場合があり、その更新費用に驚かれることもあるでしょう。

一方、クラウドサーバ型電子カルテは、「サブスクリプションモデル」が多く採用されているため「定額制」であり、更新費用は一切かかりません。定期的に端末を交換するコストだけがかかることになります。

 

周辺システムとの連携にかかるコスト

近年では、電子カルテに様々なシステムを連携して使用するのが当たり前となっています。連携が多いシステムの代表例としては、画像ファイリングシステムや予約システム、Web問診システムなどが挙げられます。そのほかにまた、院内の検査機器と連携するケースもあるでしょう。このような電子カルテにつながるシステムを「周辺システム」と呼ぶのですが、これらシステムと連携する際には「連携費用」として、コストがかかることがあるので、確認が必要です。

 

データコンバートにかかるコスト

現在すでに電子カルテを使用しており、新たに別の電子カルテに乗り換えるためには、過去のデータをコンバートする費用がかかることがほとんどです。これについてはメーカーにより対応が異なることが多くバラバラで、明確な基準はないようです。

データコンバートについては、「レセプトデータ」の場合、はレセプト請求情報が標準化されているために、コンバートはたいてい行えます。一方、「カルテデータ」は標準化されていないため、コンバートができるかどうかはメーカー次第となります。しっかりと費用も併せて確認すると良いでしょう。