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2023年1月、いよいよスタート!電子処方箋で業務がどう変わる?

2023.01.16

電子処方箋についての詳しいサイトを作りました。

厚労省より正式に、2023126日から「電子処方箋」をスタートすることが発表されました。医療機関・薬局は、その対応に向けて準備が必要になります。そこで、医療現場の「電子処方箋」の運用について解説します。

【関連コンテンツ】

電子処方箋と医療DX 前編 ・電子処方箋と医療DX 後編


厚労省は、これまで電子処方箋の運用開始時期について「令和5年1月」としてきましたが、正式に2023年1月26日から電子処方箋管理サービス(以下、管理サービス)の運用を開始することが発表されました。医療機関・薬局において、システムを導入し準備が完了した医療機関・薬局では、1月26日から管理サービスに接続し、利用することが可能になります。

 

電子処方箋の目的

 そもそも「処方箋」は、院外処方の場合に医師から薬剤師への処方内容の伝達を行うための書類です。また、その際に医師から一旦患者に渡され薬局に持ち込むことから、患者は処方内容を確認することができるため、患者にとって最も身近な医療情報の一つといえます。

処方箋を電子化することで、医療機関と薬局の情報連携や服薬管理の効率化などに資するだけでなく、「電子版お薬手帳」と連携することにより、患者自らが服薬等の医療情報の履歴を電子的に管理し、健康増進への活用の第一歩になるなど、多くのメリットがあります。 

ちなみに、電子版お薬手帳との連携については、処方・調剤情報がリアルタイムでマイナポータルにおいて閲覧でき、APIApplication Programming Interface)連携によって電子版お薬手帳にダウンロードできる仕様とされています。

政府はオンライン資格確認で全国の医療機関・薬局を結ぶネットワークを整備し、そのネットワーク上で薬剤情報をはじめとする医療情報をやり取りすることで、国民が多くのメリットを享受できると考え、急ピッチで整備が進められているのです。

 

電子処方箋の仕組み

電子処方箋は、社会保険診療報酬支払基金と国保健康保険中央会が運用する「管理サービス」を用いて、医療機関が電子処方箋をクラウド上のデータベースに登録し、薬局がそのデータベースから取得する方法を用いることで処方データを共有する仕組みです。管理サービスで取り扱う処方箋は、「院外処方箋」であり、いまのところ院内処方のケースは想定されていません。また、電子メールやSNSによる処方箋の送受信については、「医療情報の安全なやりとりを完全には確保できない」という観点から認められていません。

電子処方箋の導入は、将来的には地域医療情報連携やPHRPersonal Health Record)につなげるための第一歩と位置付けられています。今後は医師から薬局への調剤に必要な情報提供、例えば検査結果やアレルギー等の処方内容の照会への対応が提供されるようになり、薬局からも医師への調剤結果の提供(薬剤の変更や後発品への変更等)により、医療機関と薬局との情報連携や患者自らによる服薬情報の履歴の管理が一層進んでいくことが期待されています。

 

電子処方箋の運用の流れ

 電子処方箋の医療現場での運用の流れについて、患者が医療機関に来院し、診察を受けて電子処方箋が発行され、薬局で薬を受け取るまでの流れを解説します。

 

【医療機関の対応】

1.カードリーダ等で患者が電子処方箋の交付を希望していることを確認する。

処方箋の発行形態(電子又は紙の処方箋)の確認については「受付時」を想定していますが、診察時などにも行うことは可能。健康保険証や汎用カードリーダを用いて資格確認をする場合は、口頭等で電子処方箋の交付希望について確認する。

2.医師は診察を行い電子カルテ等で処方内容を入力する。

3.医師は処方・調剤情報の参照、重複投薬等のチェックを行う。

4.医師は処方内容を確定させ、電子処方箋を作成し、電子署名を付与し、管理サービスに登録する。

5.医療機関は管理サービスから電子処方箋の控えの電子ファイルの提供を受ける。控えには「引換番号」が記載されている。

6.医療機関は患者に電子処方箋の控えを提供する。

電子処方箋の「控え」の交付方法は紙を想定していますが、患者が迅速かつ簡便に確認できる方法であれば、具体的な手法は問わないとしています。例えば、オンライン診療等により紙による方法が困難なときは、オンライン診療アプリケーション等を活用し、控えを画面上に表示させる等の対応を行うことになります。また、新型コロナウイルス感染状況下における特例措置により電話による診療が行われる場合は、画面に表示することもできないため、患者の同意が得られれば、「口頭」で処方内容を伝達し、あわせて口頭で引換番号を伝達する方法によることも可能としています。

 

【薬局の対応】

7.患者の資格承認後、薬局は個人ごとの被保険者番号・記号等をキーとして、管理サービスに患者に係る電子処方箋を要求する。

複数の処方箋が交付されている場合は、薬局で調剤を希望する処方箋の選択については、患者が顔認証付きカードリーダにおいて選択したものしか薬局は要求できない仕組みとなっています。健康保険証の場合は、個人ごとの被保険者記号・番号等及び引換番号により行うことが可能。

8.管理サービスは電子処方箋を薬局に送信する。

9・薬剤師は処方・調剤情報の参照・重複投薬等のチェックを行う

10.薬剤師は電子処方箋について、必要に応じて医療機関に照会を行った上で調剤し、患者に服薬指導の上、薬剤の交付を行う。

11.薬剤師は医師に確認した内容等の必要事項を含め調剤結果を作成・管理サービスに登録する。

調剤結果に医師に必ず伝えるべき情報が含まれているときは、当該情報に重要情報である旨のフラグを立てることができます。調剤結果には、参照した電子処方箋や参照した処方箋データを含めることを求めています。

12.調剤済み電子処方箋を適切に管理・保存する。

 

図 電子処方箋の流れ

(次回に続く)