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開業時の集患(ホームページ・SNSの活用)

2023.01.30

2020年以来、長らくコロナ禍が続き、患者集めが非常に難しい時代が到来しています。そのような状況の中で今回は「開業時の集患」について考えていきたいと思います。クリニックにとって、開業時からすぐに患者が来院するという状況は、今の時代、本当にありがたいことです。長年やられている既存のクリニックでさえ、患者数が減ったと嘆いている状況ですから、新規にオープンするクリニックが患者を集めることができるか不安な方も多いかと思います。

【コラム目次】

  1. クリニックの集患はホームページがますます重要に
  2. キーワード選定
  3. どんなサイトを作るか
  4. MEOも忘れずに行う
  5. ホームページはクリニックのオープン前に公開しよう
  6. SNSの活用が本格化
  7. ホームページとSNSの違い
  8. SNSとホームページの連携

クリニックの集患はホームページがますます重要に

 現在、クリニックの集患で有効とされているのは、看板、ホームページ、パンフレットの配布、口コミなどがあります。このうち、ホームページでの集患の比率が年々高まっており、特にコロナ禍で一気に加速したと言われています。ホームページを作るのは当然のこと、ホームページの内容までしっかり考え、世界で最も利用されている検索サイト「Google」の検索エンジンで表示されやすい対策(SEO)が必要となります。

SEOSearch Engine Optimizationの略。検索エンジン最適化。

 

キーワード選定

このSEO対策については、「キーワードの選定」と「サイト要素」を考える必要があります。キーワードの選定については、地域のどんな医療ニーズに応えるか、どんな患者の来院を期待するかということを考えて選定します。これら潜在的な来院患者のことを「ペルソナ」と呼んだりもします。テクニック的には、実際の検索ボリュームをみながら、ビッグキーワード(多く検索されているワード)や、スモールキーワード(数は少ないが専門的なワード)、複数キーワードの組み合わせフレーズ、キーワードと地域名を合わせたフレーズなどを選んでいく作業を行います。

 

どんなサイトを作るか

次に、サイト要素とは、「どんなサイトを作るか」ということですが、それはどんなコンテンツのページを用意するかを考えることになります。まず、構造については今や主流なデバイスとなったスーマートフォンでの表示を意識して、できるだけページ遷移が少なく、最短距離で必要な情報にたどり着けるよう動線を意識して作る必要があります。現在は、患者の閲覧動線を分析し最適化されたテンプレートを盛り込んだクラウドサービスもあります。

また、設定したキーワードを多く盛り込むために、治療や疾患についての説明ページを用意することが重要になってきています。さらには外部サイトからのリンクを多く獲得することも上位に表示されるためには大切な要素となります。

MEOも忘れずに行う

最近では、「場所から検索を行う」という行動が増えており、Google Map上に上位に表示されること(MEO)も重要なプロモーション戦略となっています。まずはGoogleマイビジネスに登録し、情報を充実させるとともに、クリニックの外観や院内の写真などを登録します。

MEOMap Engine Optimizationの略。地図エンジンの最適化。

 

ホームページはクリニックのオープン前に公開しよう

サイトができたならば公開作業に移りますが、「いつから公開するか」という問題があります。検索エンジンはサイトを認識するのに時間がかかりますので、開院前のできるだけ早期に「新規オープン予定」として公開することをお勧めします。少なくとも開業前3カ月、早い方は半年前に公開しているクリニックもあります。ホームページの構築はぎりぎりで良いという考え方は、もう古いのかもしれません。

 

SNSの活用が本格化

 コロナ禍では「感染防止対策」を患者に正しい情報として届ける必要があります。例えば、患者に「通院して危険はない」と意識させなければ、患者は来院しません。ドアを開けるまで分からないということは避けたいところです。

そこで、クリニックの患者に向けた広報活動として、ホームページだけではなく、SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)の活用が見られるようになりました。現在のような緊急性の高い状況では、SNSが有効だと考えるクリニックが増えているのではないでしょうか。

 

ホームページとSNSの違い

そもそもSNSは、従来の情報メディアとの性質の違いがあります。ホームページなどでは、ユーザーは情報発信側から一方的に提供される情報を受け取ることしかできません。

一方、SNSの場合は、誰もが気軽に情報を発信できる「双方向性」の情報発信ツールとしての性質を持ち、投稿側・閲覧側という垣根が極めて小さい点が特徴です。そして近年では、検索エンジンよりもSNS内の検索機能で情報収集を行うケースも増えてきています。スマホの普及、そして新たな情報ツールとしての性質が、SNS利用者数の急速な増加を推し進めている理由と言えるでしょう。

 

SNSとホームページの連携

ホームページは検索エンジンからのユーザー閲覧を待つ「プル型メディア」であるのに対し、SNSはフォロワー(登録者)に対し、好きなタイミングで情報発信することができる「プッシュ型メディア」です。この両者を組み合わせることで、マーケティング効果を最大化できます。この流れは、新型コロナウイルスの感染拡大、それに伴う緊急事態宣言に起因した外出自粛、診療所の外来減少といった中で、医療界にも訪れようとしています。コロナが今後終息したとしても、巣ごもり生活の中で情報をインターネットに求める患者が増えたという現実により、クリニックの主流のマーケティング手法として定着していくことが予想されます。