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予約システムによる来院マネジメント

2023.03.13

コロナ禍で導入が進んだ予約システム。クリニックでは、待合室の混雑緩和、ワクチン接種の管理、そしてリピート率の向上のために、導入が進んでいます。

【目次】

  1. 予約システムは患者、スタッフクリニックを守る
  2. 予約システムの種類
  3. 「密」の回避に最適なものは?
  4. 予約システムはリピート率の向上にも有効

クリニックの待合室は人気があればあるほど密になりやすく、かつてから「長い待ち時間」は患者の不満の原因の第一位となっていました。コロナ禍で、クリニックは早急に密の改善に取り組まなければ、患者が来院しなくなるという状況が生まれました。

 また、20212月から新型コロナのワクチン接種が始まり、いまはインフルエンザと新型コロナのワクチン接種を同時並行して行う必要があります。この予防接種の対策として、予約システムは多く導入されました。クリニックは、コロナ禍の影響で患者の来院をコントロールする「来院マネジメント」が必要になったのです。

 

予約システムは患者、スタッフクリニックを守る

来院をコントロールするために、「予約システム」を導入することで、自宅に居ながらオンラインで「来院状況(混雑状況)」が確認でき、オンラインでホームページやスマホから自宅で予約が可能となります。自分の診療時間が近づいたら来院するという運用に変わり、新型コロナの感染を恐れ、受診を控えようと考える患者にとって、安心して来院できる環境を作り出すことが可能になるのです。つまり、クリニックは、ICTを活用することで、患者を守り、スタッフを守り、クリニックを守ることが可能になるのです。

 

予約システムの種類

 予約システムは複数のタイプがあり、それぞれ運用が異なります。ひとつは「順番管理」もう一つは「時間予約」です。順番管理は、「順番」を軸に患者の整理券を発行していく方法です。また、時間予約は、「時間」を軸に患者の予約を取っていく方法です。

最初にクリニックで利用されたのは「時間予約」です。このシステムは、時間で来院患者を管理する仕組みのため、患者と「受診する時間」を約束することで、時間がずれてしまうと患者の不満につながってしまいます。そのため、患者の診療時間にばらつきがあると、時間が押してしまい、時間を守れないという結果になってしまいます。そこで、時間予約を選ぶ診療所は限られ、ある程度時間が読める診療科に限られていたのです。

次に出てきたのが、「順番管理」です。患者は順番が書かれた「番号」をとることになります。あくまで順番であり、時間を予約したわけではありませんから、時間のズレによる患者の不満はありません。そのため、時間のズレが予想される診療科で主に採用されることになりました。

しかしながら、今度は患者が「順番通り来ない」というジレンマが生まれたのです。番号さえ取っておけば優先的に診てもらえると考えた患者は、まずは順番を押さえておけばよいという発想になり、早い順番を持っている患者がなぜか遅い順番に来院するという行動をとるケースが問題になったのです。

そこで、時間と順番の折衷案として、最近では「時間帯予約」という方法がとられるようになっています。この時間帯予約は、30分~1時間というざっくりとした時間を予約する方法ですので、時間内であればいつ来てもよいので、かなり融通の利く仕組みです。

 

「密」の回避に最適なものは?

さて、密の回避にはどのタイプの予約システムが有効でしょうか。密の回避には、「時間予約」が最も効果が高く、患者が時間通り来れば待合室の密はほとんど発生しません。また、「時間帯予約」も同じ時間帯に数名の予約患者しかいないため、密はほとんど発生しません。一方、「順番管理」は順番通りに患者が来院すれば良いのですが、前もって来る人もいれば、ぎりぎりに来る人もおり、この影響から少し「密」は残ってしまいます。つまり、時間>時間帯>順番という順に密の解消レベルが高くなるのです。

 

予約システムはリピート率の向上にも有効

 コロナ禍で感染対策、ワクチン接種の対策として、「予約システム」の導入が増えました。この予約システムは、患者のリピート率向上にも有効です。 

現在、政府が強く打ち出している「かかりつけ医」として、クリニックは患者に定期的に来院してもらう必要があります。診察終了時に「1週間後に来てください」「1カ月後に来てください」と患者に伝えても強制力が弱く、実際には来ない患者も多くいました。そこで、予約システムを導入して、診察室あるいは受付で次回の予約をとり、予約券をお渡しすることでリピート率が飛躍的に向上するのです。患者は予約券のおかげで予約日(時間)をしっかり意識し、約束を守ろうと来院するのです。

このようにコロナ禍で注目された「予約システム」ですが、今後も重要なクリニックのデジタルツールとして普及していくことでしょう。