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「オンライン資格確認の現状と課題」(2)
2023.06.26
政府は、2024年秋にマイナンバーカードと健康保険証の一体化を図り、健康保険証を廃止するとしています。一方で、資格情報の誤登録などのトラブルが明らかになっており、マイナ保険証に対する不安の声も聞かれます。そこで、今回はトラブル時の対応方法について解説します。
【目次】
1.2024年秋の健康保険証の廃止が決定
2023年6月2日に、マイナンバーカードの活用拡大に向けた「改正マイナンバー法」などの関連法が参議院本会議で賛成多数で可決、成立しました。この結果、2024年秋に現行の健康保険証を廃止して「マイナ保険証」に一本化することが決まったことになります。
具体的な対応としては、健康保険証を廃止した後に、マイナンバーカードによりオンライン資格確認を受けることができない状況にある者は、「患者からの求めに応じ、各医療保険者等は、医療機関等を受診する際の資格確認のための『資格確認書』を、書面又は電磁的方法により提供することとする」としています。
資格確認を受けられないケースとして、マイナンバーカードを紛失した・更新中の者、介護が必要な高齢者やこどもなどマイナンバーカードを取得していない者、ベビーシッターなどの第三者が本人に同行して本人の資格確認を補助する必要がある場合など、を想定しています。なお、資格確認書の有効期間は1年を限度として、各保険者が設定することとするとしています。
2.発行済み健康保険証の取扱い
また、現在発行済みの健康保険証は、改正法が施行された後1年間、先に有効期間が到来する場合は有効期間までは有効とみなす経過措置を設けるとしています。翌年の2025年秋には健康保険証が完全に廃止される計画となっています。
(出典)マイナンバー法等の一部改正法案について(3/23,厚労省)
3.マイナンバーカードを巡るトラブルに改善を求める声
一方、マイナカードを巡っては、マイナ保険証に別人の情報を紐づけるミスや、公金受取口座の誤登録、カードの取得者が受け取る「マイナポイント」の別人への付与など、問題が相次いで判明しています。
医療機関にとっては、不安・混乱の中での対応となっており、地域の保険医協会や日本歯科医師会などの医療関係団体は、マイナンバーカードに関する緊急アンケートを実施し、現状の混乱について報告するとともに、改善を求める声が上がっています。
4.有効な資格が存在しないケース
さて、オンライン資格確認のトラブルについて、医療機関はどのように解消していけば良いのでしょうか。オンライン資格確認・医療情報化支援基金の医療機関等向けポータルサイト(https://www.iryohokenjyoho-portalsite.jp)では、「マイナンバーカードでの資格確認の結果、資格を喪失しているなど有効な資格が存在しない」ケースでは、患者が退職等で月末に資格を喪失し、その翌月の初めに来院した場合については、中間サーバー等からオンライン資格確認等システムに最新の資格情報が連携されていない場合が考えられるとしています。
その際の対応方法としては、「マイナンバーカードの券面に記載された生年月日情報に基づいて自己負担分(3割負担等)をお支払いいただき、事後に正確な資格情報の確認ができた段階で、訂正の必要がある場合には、所要の手続を行っていただくことが考えられます」と回答しています。また、マイナンバーカードとは別に、患者が健康保険証または保険者の証明書等を持参している場合は、健康保険証等を確認し患者の自己負担分を受領することも可能としています。この際、「オンライン資格確認データと健康保険証のデータが異なる場合は、オンライン資格確認データを優先するというルール」は例外として処理することになります。
5.誤入力が疑われるケース
また、今回報道があった誤登録の際の対応については、「資格確認の際に別人の情報が表示され、マイナンバーの誤入力が疑われる」ケースとして、対応方法が示されています。まず、システム上は、オンライン資格確認を実施した患者とは異なる人の情報が提供されるものの、資格情報を直接確認することにより、誤りに気付くことが可能だとしています。その際は、「オンライン資格確認等コールセンターにその旨をお知らせいただくとともに、オンライン資格確認等システムからの提供情報の削除をしてください」と回答しています。
具体的な対応についても、先に挙げた「有効な資格が存在しない」ケースと同様に、マイナンバーカードの券面に記載された生年月日情報に基づいて自己負担分を請求し、事後必要な訂正を行うという手順が示されています。この場合も健康保険証を持参している場合は、そちらで対応することも可能としています。
いずれにしても、誤登録の問題が解決するまでの期間は、医療機関はマイナンバーカードと健康保険証の両方を患者に用意いただくことが賢明と考えます。