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電子処方箋のメリット・補助金

2022.08.29

 2023年1月開始予定の「電子処方箋」はどんなメリットがあるのでしょうか。診療所・病院、薬局、患者の立場でのメリットについて、厚生労働省の「そうだったのか、電子処方箋」に基づき解説します。


 「電子処方箋」のメリットについて、「そうだったのか、電子処方箋(厚労省)」の基づき、医療機関、薬局、患者のそれぞれの立場から確認してみましょう。

医療機関にとってのメリット

 まず、医療機関にとっては、「電子処方箋」が普及することで、複数の医療機関・薬局をまたいで、直近のデータを含む過去3年分の投薬データが参照できるようになり、正確な処方情報を基に診察・処方が可能になるとしています。現在進めている「オンライン資格確認」による薬剤情報はレセプトデータに基づいているため、レセプト請求後のデータとなり、直近データを確認することはできませんでした。しかしながら、電子処方箋が普及した場合、リアルタイムで処方情報が共有できるようになるのです。

 また、処方について「重複投薬」がないか、「併用禁忌」にあたらないかを、「電子処方箋管理サービス」でチェックし、その結果が参照できるようになります。複数の医療機関・薬局をまたいだ患者の処方データを対象とした同チェックは、処方箋発行に係る現行の業務フローの中に組み込むことができ、医師の診察・処方をサポートするとしています。

薬局にとってのメリット

薬局にとっても、複数の医療機関・薬局をまたいで、直近のデータを含む過去3年分の投薬データが参照できるようになり、正確な処方情報を基に調剤が可能になります。

また、現在薬局では、処方箋の情報をレセコンや薬歴に入力する際、手入力で行うか処方箋に記載されたバーコードを読み取って入力しています。これらはアナログ作業となるため、データ入力の手間と人為的なミスが存在し薬局の負担となっていました。

「電子処方箋」により、処方箋のデータをシステムに取り込むことが可能になり、手入力の負荷が軽減されるとともに、入力ミスの軽減が期待できるとしています。さらには電子処方箋の場合、紙の処方箋を物理的に保管する必要もなくなり、保管スペースの確保やファイリング作業が不要となります。

医療機関・薬局の相互のメリット

医薬分業が進む現在、医療機関と薬局の間で、処方に不備がないかを確認し、不備があった場合は「疑義照会」として薬局から医療機関に問題処方についてフィードバックをしています。この仕組みは、電話であったり、FAXであったりと、いまだアナログな部分も多く、医療機関と薬局の情報連携の際に大きな手間となっていました。

「電子処方箋」が普及することで、医師が処方箋を発行する際に「電子処方箋管理サービス」側で項目に不備がないかチェックするため、形式的な不備による問合せ件数の削減が期待でき、医師側、薬局側で重複投薬や併用禁忌のチェックを利用することで、疑義照会自体の件数が減少することが期待されています。

患者にとってのメリット

 患者にとっても、医薬品が一元管理され、患者自らが「マイナポータル」やそれと連携する「電子お薬手帳」で閲覧することが可能になることも大きなメリットでしょう。医療機関と薬局が連携して情報共有することで、重複投薬・併用禁忌のチェックが行われ、正確で安全な診察・処方・調剤が受けられるようになるのです。

医療機関・薬局が「電子処方箋」を導入する場合の補助金

医療機関・薬局が「電子処方箋」を開始するには、①オンライン資格確認の導入②電子署名等(HPKI)の取得③現在のシステムの改修、などが必要になります。上記のメリットを享受するためには、ある程度の費用がかかることから、政府より電子処方箋導入に向けての補助金が用意されています。

電子処方箋管理サービスの導入にかかる費用について、例えば診療所であれば、2023年3月31日までにシステムを導入した場合、「19.4万円を上限に補助(事業額の38.7万円を上限にその1/2を補助)」とされています。2023年4月1日以降は補助率が1/3に下がるとしています。できるだけ早期に導入したほうが有利な補助率となっています。

(出典)電子処方箋の導入に関する補助金の内容について(支払基金HP)

 政府は、オンライン資格確認により全国の医療機関・薬局を結ぶネットワークを構築し、そのネットワーク上で「電子処方箋」により処方情報を共有しようとしています。今後は、処方のみならず、健診情報や病歴、手術歴、最終的にはカルテそのものを共有できる社会を実現し、それらの情報を分析し2次利用することで、医療の質向上を高めるという「データヘルス改革」の流れの1つなのです。