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メディカルクラークの運用(後編)

2022.11.21

 メディカルクラークの運用は、診療科でも異なりますし、それぞれの診療所の人員配置によりスタイルは様々です。一見、基本的な流れは相違がないように感じるでしょうが、細部を見るとかなり異なっています。そこで、今回は、電子カルテにおける診療所でのメディカルクラーク(以下、クラーク)の運用例をいくつかご紹介します。自らの診療所の人員体制やスタイルと勘案して参考になさってください。

 

クラーク運用の基本

 まず基本の形ですが、診療所におけるクラーク運用は、医師1名に対してクラーク1名となります。このクラークについては受付とポジションを兼務していることが多く、ほとんどの診療所が交代制を取っています。大抵は3名ほどのスタッフが交代でクラーク業務に従事しています。理由は、クラーク業務は大変集中力のいる仕事であり、医師の隣に座ることで緊張もしますから、スピードを一定に保つために、交代制をとっているのです。

 クラーク運用は、問診を入力しカルテの主訴所見欄を入力カルテの処方・処置欄を入力、そして医師が確認・追記し「承認」する、という流れで進みます。この医師が「承認」するという行為をしっかり行うことで、クラークは安心して業務を遂行することができます。法的にも、この承認業務はクラーク運用において義務付けられているのですが、慣れてくると少しおざなりになる部分ですので、しっかりと行ってください。

 

診察室が2つで医師が1名の場合

 診察室が2つあり、医師が2つの診察室を行き来する運用をしている診療所では、医師1名に対して、クラークを2名配置するケースがあります。その場合、クラークは患者さんの呼び込み患者さんの着替えなどの介助簡単な問診など(主訴や、前回との変化、残薬など)を確認し、医師が来る前におぜん立てを行っています。このおぜん立てをしっかりすることで、医師はスムーズに診察に入ることができ、タイムロスも大幅に縮小します。患者数の多い診療所にとっては、このクラークの役割こそがスピードアップの秘訣と言えるでしょう。

 

診察室が2つで医師が2名の場合

一方で、医師が2名いて診察室ごとに固定されている場合は、医師とクラークを1対1で配置することになります。この場合の運用は、基本の運用とほぼ同じになります。これは部屋数が増えても、各部屋に医師が1名いる場合は変わりません。

運用上、異なる部分は、患者さんの振り分けにあります。2診で医師が2名いる場合は、診察スピードが医師ごとに異なるため、どうしても対応する患者数に偏りが出がちです。診療の合間に行われる検査や処置などとの兼ね合いを見ながら、受付が上手に振り分けを行うことが重要になります。受付は問診から、必要な検査・処置を予測することが必要になります。受付とクラークが交代で取り組むことで、これは可能になります。受付とクラークが兼務していることのメリットの1つです。

 

診察室が複数あり医師が1名の場合

 例えば、診察室が4つある場合はどうでしょうか。この場合は少し工夫が必要です。医師とクラークが対になって部屋を回り、看護師をそれぞれの部屋に配置するという運用になります。この場合、看護師が問診、患者介助を行い、医師とクラークの到着を待つことになります。看護師の代わりに看護助手が対応している場合もあります。

配置を整理すると、医師1名、看護師(看護助手)3~4名、クラーク1~2名という配置になります。ここで、看護師を3、4名、クラーク1、2名としたのは、医師の診療スピードによって増減があるためです。できるだけ、各自が業務をスムーズに、手持ち無沙汰にならないように配置することが重要となります。また、看護師にも電子カルテの操作の一部を担っていただきますので、看護師にも入力スピードが求められることも忘れてはならないポイントです。

 

まとめ

 診察室の数とスタッフの配置にフォーカスして、クラークの運用例をご紹介しました。運用例でも分かるように、患者数に応じて、どれだけの部屋を用意し、どれだけのスタッフを配置し、各人がどのような役割を担うかということが大切であるとわかるでしょう。患者数やスタッフ数が異なる診療所は、クラークの運用スタイルも異なって当然です。

また、部屋数もいきなり増やすことは難しいでしょうから、徐々に2診、3診と増やしていけば良いと思います。クラークの成長とともに、運用バリエーションは増えていきます。是非、それこそが診療所の成長だと考えて取り組んでください。