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電子カルテ運用のポイント ~リハビリテーション~

2023.01.10

 2022年診療報酬改定において、質の高いリハビリテーションを推進しつつ事務手続の簡素化を図るため、実施計画書の要件が見直されました。昨今その実施計画書の署名の扱いについて医療機関様からご質問も増えております。

 本稿では、「リハビリテーション」運用の留意点やカルテ記載についてお伝えさせていただきたいと思います。


Point1: リハビリテーションの運用手順

①医師の指示

※具体的な指示事項が必要。例)リハビリテーションの必要量及び内容、リハビリテーションを実施するに当たっての禁忌事項等(R2/3/31 疑義解釈その1 問124)

②リハビリ開始

③機能検査等を基に効果判定

④実施計画書の作成(7日以内 遅くとも14日以内)

 ※1回目以降3ヶ月(暦月)に1回、作成及び説明が必要

⑤患者または家族等に医師により説明の上交付し、計画書にサインを頂く

 ※自筆の署名(電子的な署名を含む。)がある場合には印は不要(R2/3/31 疑義解釈その1 問117)

 ※計画書作成前に署名を得ることを要件とはしていない(R2/3/5 R2年診療報酬改定説明会Q&A 厚労省)

⑥計画書の写しをカルテに添付



Point2: 上記Point1の⑤の署名における2022年改定時の変更

計画書が2回目以降であり、計画書に患者自ら署名が困難で、家族が遠方居住などで署名が困難な場合

⇒家族等に情報通信機器等で計画書の内容を説明し、内容及びリハビリの継続の同意を得た旨をカルテに記載すれば、署名がなくても差し支えない。※添付だけでは不可

<留意点>

この場合も、患者または家族等に計画書の交付は必要です。

なお、交付する計画書の署名欄は、計画書を作成した医師が、署名欄に同意を取得した旨、同意を取得した家族等の氏名及びその日時を記載します。(R4/3/31 疑義解釈その1 問201)

そのほか身寄りがなく患者自ら署名が困難な場合は、署名は空欄とし、理由をカルテに記載することが必要です。



Point3: リハビリ実施にあたり必要なカルテ記載と添付

カルテ記載

全患者

機能訓練の内容の要点及び実施時刻(開始と終了)をカルテ等に記載

疾患別リハの標準的算定日数を超えて継続して疾患別リハを行う患者

継続日をカルテに記載

カルテ添付

リハビリ実施計画書の写し



Point4: 実施計画書の留意点

・リハビリテーション総合実施計画書を作成した場合は、リハビリテーション実施計画書として取り扱うこととして差し支えない。(R2/3/31 疑義解釈その1 問120)

患者の状況に大きな変更がない場合に限り、リハビリ実施計画書に該当する1枚目の新規作成は省略しても差し支えない。なお、その場合も3ヶ月に1回以上リハビリ実施計画書の作成及び説明等が必要。(R2/3/31 疑義解釈その1 問125)

・多職種協働で作成したリハビリ実施計画書の説明は、リハスタッフではなく医師による説明が必要(R2/3/31 疑義解釈その1 問121)

・作成は原則7日以内だが、入院期間が5日の場合は入院期間中に作成。(R2/3/31 疑義解釈その1 問118)

術前にリハビリを実施し、術後、手術日を起算日として新たにリハビリテーション料を算定する場合は、新たに実施計画書を作成。(R2/3/31 疑義解釈その1 問119)

・記載事項の指標はADL項目としてBIまたはFIMのいずれかを用いる。




リハビリの分野では、国の政策として2017年よりVISIT(通所・訪問リハ事業所からの計画書等の情報)、2020年よりCHASE(全介護サービス対象で高齢者の状態・ケア等の情報)、2021年よりLIFE(VISITとCHASEの統合)からデータ収集し、効果や課題の把握がなされています。

情報提供元:株式会社ウォームハーツ