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「オンライン資格確認の続報(訪問診療・オンライン診療・医療機関以外の施設など)」

2023.02.20

これまで不透明であった在宅専門のクリニックや訪問看護ステーション、オンライン診療、柔整・あんま・はり・灸の施術所についての対応が明確化されてきました。そこで、今回は医療機関・薬局以外のオンライン資格確認(以下、オン資)の対応方法について解説します。

【目次】

  1. オンライン資格確認義務化に関する経過措置
  2. 医療機関・薬局以外の新たな資格確認の仕組み
  3. 在宅医療における資格確認
  4. オンライン診療時の資格確認
  5. 柔整あはきの施術所等の資格確認


オンライン資格確認義務化に関する経過措置

2023年4月から保険医療機関・保険薬局にオン資の導入が原則として義務付けられることから、昨年末から現在にかけて導入に係る作業依頼が集中しており、大幅な遅れが出てきています。また、世界的な半導体不足の影響などによって、パソコンやリーダーも在庫不足が起きており、現場は混乱が続いています。

そこで政府は、2023年4月までに導入準備が間に合わない医療機関・薬局に対して、経過措置を設けることとしました。

中医協で答申された内容によると、2023年3月末時点で、やむを得ない事情がある保険医療機関・薬局は以下の通り経過措置を設けるとしています。

【ケース別経過措置】

1)2023年2月末までにベンダーと契約締結したが、導入に必要なシステム整備が未完了の保険医療機関、薬局【システム整備中】

(経過措置)システム整備が完了する日まで【遅くとも2023年9月末まで】

(補助金)2023年9月末 事業完了まで継続

2)オン資に接続可能な光回線のネットワーク環境が整備されていない保険医療機関、薬局

【ネットワーク環境事情】

(経過措置)オン資に接続可能な光回線のネットワークが整備されてから6ヶ月後まで

(補助金)2024年3月末事業完了まで継続

3)訪問診療のみを提供する保険医療機関

(経過措置)訪問診療のオン資(居宅同意取得型)の運用開始(2024年4月)まで

(補助金)2024年3月末補助交付まで実施

4)改築工事中、臨時施設の保険医療機関、薬局

(経過措置)改築工事/臨時施設が終了するまで

(補助金)2023年2月末までに契約し、2023年9月末までに事業完了の場合には、補助金の対象

5)廃止・休止に関する計画を定めている保険医療機関、薬局

(経過措置)廃止・休止まで【遅くとも2024年秋まで】

(補助金)2023年2月末までに契約し、2023年9月末までに事業完了の場合には、補助金の対象

6)その他特に困難な事情がある保険医療機関・薬局

※例外措置又は1~5の類型と同視できるか個別判断

(経過措置)特に困難な事情が解消されるまで

(補助金)2023年2月末までに契約し、2023年9月末までに事業完了の場合には、補助金の対象

医療機関・薬局以外の新たな資格確認の仕組み

 また、義務化を進める上で課題として残されていた、在宅専門クリニックや訪問看護ステーション、オンライン診療、柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師(柔整あはき)の施術所にもオン資を導入するための仕組みを新たに構築したうえで、導入時期が明確化されています。

 在宅医療の現場では、資格確認のために、毎回の訪問時に、顔認証付きカードリーダーを患者宅に持ち込むことが困難なため、「居宅同意取得用Webサービス」を新たに構築し、患者宅でも容易に資格確認ができるように進めるとしています。この仕組みは、オンライン診療の際にも使用することが可能です。

 一方、柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師の施術所についても、オン資の導入が検討されてきましたが、現場の状況を踏まえて、資格確認が容易に行える「資格確認限定用Webサービス」を新たに構築する予定となっています。

 

在宅医療における資格確認

訪問診療など在宅医療の場合のオン資格については、初回の訪問時は、医療関係者が持参したモバイル端末等で確認することになります。また、薬剤情報等の提供に関する同意も、同様にモバイル端末等を用いて実施します。2回目以降の訪問は、医療関係者が患者宅等を訪問することから、患者の「なりすましリスク」が低いことを踏まえ、医療機関等で資格の有効性確認を行う仕組みとするとしています。また、その際の薬剤情報等は、診療中に口頭で同意を得たうえで、情報を取得する仕組みとするとしています。

オンライン診療時の資格確認

オンライン診療においては、患者と医師は画面越しでの対応となり、医師が直接患者と対面することがありません。そこで、患者自らが、資格確認や薬剤情報等の提供に関する同意を、患者本人のモバイル端末またはPCを用いて実施することが想定されています。その際、Webサービス(居宅同意取得用)へのアクセスは、オンライン診療等アプリとAPI連携を行う仕組みが考えられており、患者本人がWebサービス(居宅同意取得用)へ直接アクセス可能な仕組みも実装予定としています。

なお、資格確認及び薬剤情報等の提供に関する同意は、通常の外来診療と同様に、医療機関等を利用する都度で行う仕組みとするとしています。

柔整あはきの施術所等の資格確認

診療を行わない柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師の施術所や健診・保健指導実施機関については、現在利用している保険証の資格情報の代替として、必要な資格情報のみを取得できる簡素な仕組みを構築するとしています。また、この仕組みは、オンラ資義務化の例外医療機関等(紙レセプト運用医療機関)についても導入し、必要な資格確認を行える方向で検討するとしています。この際、薬剤や特定健診情報は取得できず、あくまで資格情報のみの取得となることから、4桁の暗証番号入力なしを基本とする仕組みとすることが想定されています。