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レセプト審査が厳しくなっていませんか?

2023.02.27

レセプト審査が厳しくなった背景には、審査支払機関の改革とデジタル化政策が関係しています。従来型の医事スタッフの目視によるレセプト点検の方法では難しい時代が到来しているのではないでしょうか。

最近、「レセプトの審査が厳しくなった」という声をよく耳にします。クリニックで過去に比べて返戻・査定が増加傾向にあるというのです。その背景には、政府が進める2つの施策が影響しているのではないかと考えます。1つは審査支払機関の改革、もう1つはオンライン資格確認や電子処方箋などのデジタル化政策です。これらの施策によって、効率的な容赦のないチェックが始まっているのです。

【目次】

  1. 審査支払機関の改革
  2. デジタル化政策
  3. 医療機関はどんな準備を進めるべきか


 

1.審査支払機関の改革

現在、「審査支払機関の改革」が急ピッチに進んでいます。具体的には、地域間の差、社支払基金と国保連の差を解消し、全国統一ルールのもと、審査結果の不合理な差異解消されるような体制整備が進められているのです。

20213月に厚労省の「審査支払機能の在り方に関する検討会」がまとめた工程表では、コンピュータチェックの統一スケジュールとして、202110月に支払基金のコンピュータチェックの全国統一、202210月に国保連のコンピュータチェックの全国統一が行われ、20244月には支払基金と国保連で整合性のとれたコンピュータチェックを構築するとしています。つまり、20244月には支払基金と国保連間のチェックの差がなくなろうとしているのです。

このコンピュータチェックは、現在AIが活用されており、効率化が進んでいます。支払基金の報告によると、コンピュータとヒトのチェックの割合は202210月時点でコンピュータチェックが8割(83.1%)を超え、202310月には9割に達するとしています。

(出典)審査支払機能の在り方に関する検討会報告書 改革工程表(厚労省,2021/03/29

 

審査支払機関の改革によって、地域間の差異、支払基金・国保連間の差異の解消が行われ、コンピュータチェックの比率が高まろうとしているいま、医療機関にとっては審査が厳しくなることを意味し、「これまで通っていたレセプトが通りにくくなる」という結果を招いているのではないでしょうか。

 

2.デジタル化政策

 また、政府の進めるデジタル化政策も根本的な目的は、医療費の抑制にあります。202110月から始まった「オンライン資格確認」は、20234月から原則義務化が始まろうとしています(実際には、医療機関側の整備の遅れがあるため、時間的猶予が設けられました)。オンライン資格確認は、オンライン請求の回線を利用しており、オンライン資格確認が進むことで、オンライン請求も進むという状況が作られています。政府は全国隅々にオンラインで情報をやり取りする基盤を構築しようとしているのです。

 また、全国のネットワーク上での情報のやり取りの第一弾として、2023126日から「電子処方箋」の運用が開始されました。こちらは現時点で義務化はされていませんが、オンライン資格確認と同様に、普及状況が芳しくなければ、義務化も当然視野に入っていることと考えられます。この電子処方箋は、処方箋をデジタル化するだけが目的ではありません。電子処方箋の仕組みの中に、薬剤の重複チェック・併用禁忌のチェックが行える仕組みが盛り込まれているのです。このチェックは、医療機関・薬局をまたいで行えるようになっており、この仕組みを活用することで、薬剤の重複等に関するエラーは解消されると目論んでいるのです。言い換えれば、これを契機に審査支払側の医療機関をまたいだ重複等チェックの強化が進むと考えます。

 

3.医療機関はどんな準備を進めるべきか

 厚労省の「審査支払機能の在り方に関する検討会」の報告書の中で、将来的には「審査支払機関のシステムの構築においては、可能な限り、医療機関や保険者等の外部機関も活用できるようにするべきである。このような業務支援基盤が実現すれば、結果的に、社会全体としてのコスト削減を図ることができる」としています。審査支払機関が開発するレセプトチェックシステムを医療機関側に公開することで、返戻・査定がほとんどない仕組みが構築できると考えているのです。ただ、それは審査支払機関のシステムが完了したのちの話なので、2025年以降になろうかと考えます。

 当面、クリニックは「厳しくなったレセプト審査」に対して、どのように対応していけば良いのでしょうか。方法としては、電子カルテに搭載されているレセプトチェックの仕組みを活用する、それに加えて外付けのレセプトチェックシステムを活用する方法が考えられます。審査支払機関と同じように、コンピュータで1次点検を行い、そこでエラーとなったレセプトを医事スタッフが目視点検するという2段階のチェックを行う方法です。

 市販されているレセプト点検ソフトの主なものを挙げておきますので、参考にしてください。

 

<主なレセプトチェックソフト>

Mighty Checker EX(エーアイエス)https://www.tais.co.jp/products/mighty-checker-ex/

べてらん君コラボPlus(富士フィルム)https://www.fujifilm.com/jp/ja/healthcare/emr/receipt-solution/veteran-collabo-plus

レセスタ(メディサージュ)https://recesta.jp/

レセチェッくんPro(レセデンドットコム)https://rezeden.com/

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