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レセプト点検のタイミング

2023.03.06

レセプト点検は通常、月初に集中的に行われています。そのため、残業や休日出勤の原因となっていました。働き方改革が進む中、残業を減らす必要性が出ています。そこで、レセプト点検の効率化を図るために、「システム化」とクラークによる「即時点検」について解説します。

【目次】

  1. レセプ点検の問題点
  2. 働き方改革で分散点検・コンピュータチェックが進む
  3. クリニックにおけるクラーク運用
  4. クラークによるレセプトの「即時点検」
  5. まとめ

クリニックにおいて「レセプト請求」は必ず月1回訪れる重要な業務です。この請求業務は、近年オンライン請求が主流となっており、従来の紙請求に比べて大幅な業務削減が進んでいます。実施時期としては、毎月5日~10日の期間に行われ、クリニック毎月何日を請求送信日と決めて、逆算してレセプト点検を行っています。レセプト点検を行う目的は、不備のないレセプトを作ること、すなわち「返戻・査定」がないレセプトを作るために行っています。

 

レセプ点検の問題点

この「レセプト点検」ですが、たいていのクリニックでは月初に集中的に行われています。この月1回のレセプト点検は、通常業務に加えての業務となるため、残業や休日出勤が増えてしまうという問題があります。また、月末・月初に業務が集中することも、点検を担当するスタッフにとっては負担になっています。

また、レセプト点検時に「算定漏れ(本来算定できる点数を算定していないこと)」があっても、患者から自己負担金を徴収していないために、基本は修正することはできず、結局行えるのは「病名を追加」や「取り下げ修正(レセプト請求をすると返戻・算定につながるために修正する)」という「マイナスの点検」になりがちです。

 

働き方改革で分散点検・コンピュータチェックが進む

 2019年から「働き方改革」関連法案が順次施行され、残業上限規制や有休休暇の消化がクリニックでも進んでいます。そのため、クリニックでもできるだけ残業や休日出勤を減らそうという動きが見られます。そのような影響から、レセプトの点検も毎週、空き時間を見つけて行うようにすることで、月末月初の業務集中を避けようとするクリニックも出てきています。

また、電子カルテのレセプトチェック機能や、レセプト点検ソフトの活用も進んでおり、コンピュータで1次点検をし、スタッフが2次点検をするという方法をとるクリニックも増えています。こうすることですべてのレセプトをいちからチェックする方式から、コンピュータが問題があると判断したレセプトのみをチェックする方式に変わるため、チェック件数が減り、大幅な業務削減が図れるのです。

 

クリニックにおけるクラーク運用

 そのような中、政府は医師及び医療従事者の負担軽減を目的にタスクシフティングやICTの活用を推奨しています。中でも、医師の事務作業の負担軽減を目的に医師事務作業補助者(いわゆるクラーク)の配置を評価した「医師事務作業補助体制加算」が2008年に新設され、大規模病院を中心に配置が進んでいます。現在では、約1/3の病院でクラークの配置が行われています。

一方、現時点では、無床のクリニックには同加算は算定できませんが、電子カルテの代行入力を目的にクラークを配置するケースも増えています。クリニックの場合のクラーク配置は、医師の事務作業の軽減というよりは、診療スピードの向上を目的にしたものが多いように感じます。診療とカルテ記載を同時に行うためにクラークを配置しようとするものです。

 

クラークによるレセプトの「即時点検」

 医師の隣にクラークを配置し、電子カルテの代行入力をすることを「クラーク運用」と呼んでいます。クリニックの場合、クラークはもともと医事業務を担当していたスタッフの配置転換が多いため、診療報酬事務の知識を持っているという特性があります。この特性を生かせば、レセプト点検を診察中または診察終了直後に行えるのではないかと考え、「レセプトの即時点検」を行っているクリニックもあります。また、会計時にも受付スタッフによる会計前点検が行われるため、2重チェックの効果もあります。

具体的な点検項目としては、管理料の算定漏れのチェック薬剤の用量、禁忌等のチェック病名と薬の適合チェック(突合点検)算定月、回数のチェック(縦覧点検)その他カルテの記載漏れチェックなどになります。診療報酬事務に詳しいスタッフが、カルテを書くということから生まれた新たなレセプ点検の方法です。

実際にレセプト点検を診察時に実施することで、「病名漏れ」や「算定漏れ」が大幅になくなるという効果があり、月末月初のレセプト点検がほとんどなくなるという効果があるそうです。

 

まとめ

「レセプト点検は月1回」というこれまでの常識は、月末月初の業務集中による「残業増加」「休日出勤」という問題点を引き起こしていました。医療においても「働き方改革」が叫ばれる中、業務集中を避けるために「毎週点検」をする体制にしたり、「クラーク配置」によって、診療中に医師の隣で「即時点検」したりすることで、大きな業務削減・効率化が行われているのです。「レセプト点検のタイミングを変更する」ことで業務効率化が図れるとするならば、一度検討してみてはいかがでしょうか。