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【押さえておきたい新薬情報】片頭痛の急性期治療薬(5-HT1F受容体作動薬)
2023.04.17
この記事は…
大学病院で医薬品情報を担当していた薬剤師が、年に4回承認される新薬のなかから話題の新薬をピックアップ。その特徴や作用機序、必ず押さえておきたいポイントを分かりやすく解説します。
2022 年 6 月、片頭痛の急性期治療薬のレイボー®錠(一般名:ラスミジタンコハク酸塩)が発売されました。世界初の選択的セロトニン(5-HT)1F受容体作動薬(ジタン系薬)で、トリプタンとは別の5-HT受容体に結合し、トリプタンが使えないアンメット・メディカル・ニーズを満たす可能性があります。
片頭痛の急性期治療薬には、①アセトアミノフェン、②NSAIDs、➂トリプタン、④エルゴタミン、⑤制吐薬などがあり、重症度に応じて使い分けられます。片頭痛の病態は、中枢での疼痛シグナル伝達、及び末梢での三叉神経系の過活動が関与するとされ、5-HT1F受容体との関連性が指摘されてきました。トリプタンは、5-HT1B/1D受容体作動薬で、血管平滑筋にある5-HT1B受容体を介する血管収縮と三叉神経に存在する5-HT1D受容体を介して、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)やグルタミン酸などの炎症性ペプチドの放出を抑制し、発作を頓挫させます。2000年のトリプタンの登場により、片頭痛治療は大きく前進しました。しかし、発作から20~30分以内の服用(早過ぎ・遅過ぎの場合は、効果なし)という服用タイミングの難しさがあります。さらに、トリプタンが効かないノンレスポンダーや、血管収縮作用のために使えない虚血性心疾患などが存在します。レイボーⓇは、5-HT1F受容体に選択的に結合することにより、中枢での疼痛情報の伝達を抑制し、神経原性炎症に関わる三叉神経からのCGRP放出を抑制します。5-HT1B受容体への親和性は低く、非臨床試験では血管収縮作用を示しませんでした。そのため心血管系に危険因子をもつ患者の急性期治療薬として期待されます。また、レイボー®は、服用タイミングに影響されにくく、臨床試験において、発作後1時間未満に服用した場合も、1時間以降に服薬した場合も、服用2時間後に頭痛が改善しました。ただし、「予防目的で使用しない」、「24時間以内の総投与量が200mgを超えない」などの注意があります。低分子(分子量:872.81)、脂溶性(分配係数:2.97)で、血液-脳関門を通過します。浮動性めまいや傾眠など、中枢系副作用が用量依存的に発現します。ほとんどは軽度から中等度で、1時間以内に現れ、数時間以内に消失しますが、自動車運転を控えることや、めまい・傾眠による高齢者の転倒には注意喚起が必要です。
商品名 |
レイボーⓇ錠50mg、100mg |
一般名 |
ラスミジタンコハク酸塩 |
会社名 |
イーライリリー/第一三共 |
適応症 |
片頭痛 |
用法・ |
通常、成人にはラスミジタンとして1回100mgを片頭痛発作時に経口投与する。ただし、患者の状態に応じて1回50mg又は200mgを投与することができる |
関連する注意 |
片頭痛発作時のみに使用し、予防的に使用しないこと |
重要な基本的注意 |
眠気、めまい等があらわれることがあるので、本剤投与中は自動車の運転等をしないこと |
妊婦 |
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(有益性投与) |
小児 |
小児等を対象とした臨床試験は実施していない |
副作用 |
浮動性めまい、動悸、回転性めまい、悪心、疲労(無力症を含む)、異常感(ゆったり感、酩酊感を含む)、筋力低下、嗜眠(倦怠感、不快感を含む)、錯感覚、傾眠(鎮静、過眠症を含む)、感覚鈍麻、協調運動障害(歩行障害、不器用等を含む) |
薬価 |
50㎎324.70円、100㎎570.90円 |
使用に際しては、添付文書を必ずお読み下さい。
急性期治療薬エビデンスサマリ:薬効のgroupが1(有効)の薬
薬剤 |
推奨の強さ |
エビデンス |
薬効の |
トリプタン |
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ジタン系 |
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