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“問題解決力”を鍛える。
2023.05.15
夕食の献立を考えることもスポーツジムに通うべきかどうか悩むことも部下をモチベートさせることも・・・、生きることは問題を解決することといっても過言ではないほど私たちは日々、大なり小なり問題と闘っています。
にもかかわらず、正しい問題解決の方法を理解しているかと言われるとどうでしょうか?習ったことはないし、そもそも正しいやり方なんてあるのだろうかと思いますよね。
今回は、問題を効率よく正しく解決に導くための手法についてお話しします。
【目次】
1.問題解決のための4つのステップ
人は問題に直面するとすぐに「どうしよう?」と解決策を考えがちです。しかし、そこはグッと我慢して下図のような4つのステップに従って考えてください。
各ステップの説明は後述しますが、ここで注目していただきたいことがあります。それは、問題と課題は違うということです。問題とは、客観的に存在する良くない現象のことです。課題とは、解決の当事者が主体的に何をすべきかを定めたものです。ですから、問題は「整理する」「抽出する」ものであり、課題は「設定する」ものです。
似て非なる言葉です。細かい違いのように思うかもしれませんが、問題をどう捉えるか、課題をどう設定するかということがとても重要なのでここでしっかり押さえておいてください。
2.ステップ1:問題点の整理
ここが問題解決のスタートです。スタート地点を正しく定める必要があります。「問題なんて見ればわかるし、正しく定めるなんて大げさでは?」と思われるかもしれません。
テストで出題される問題は明確です。何を解けばいいのか、何をやっつければいいのかがはっきりしています。しかし、実社会で発生する問題は、その姿・形を私たちが正しく捉えているかというとそうでもありません。
たとえば、調剤の待ち時間が長くて患者さんからクレームが発生していて、スタッフも焦ってミスが増えて、もしかしたら他の薬局に患者さんが流れているかもしれないし、そのせいで売上が落ちているかもしれない。そんな状況があったら皆さんは何を問題と捉えますか?
「待ち時間が長い」「待ち時間が不満」「調剤ミスが増えている」「売上減少」など、様々な捉え方ができます。問題の捉え方によって解決は変わってきます。だから問題解決の出発点を正しく定めることが重要なのです。
解決の当事者であるあなたが本当に解決したいことは何ですか?
3.ステップ2:原因分析
次に考えることは問題を引き起こしている原因を分析することです。先ほどの例から「待ち時間が長い」を問題とした場合、その原因は何でしょうか?
このように“なぜ?なぜ?”と繰り返して、深堀していきます。問題点と一次原因が結果と原因の因果関係になっています。同様に一次原因と二次原因も結果と原因の因果関係になっています。
ここで注意すべきポイントは、「原因を決めつけない」ということです。経験豊かな人ほど過去の事例から原因を推測しやすいので、それ以上の思考が広がらずに原因を幅広く分析することができません。あらゆる角度から原因を抽出します。そのためのヒントをお伝えしましょう。
以下の4つのパターンから原因を考えてみてください。上図の三次原因がまさにこの4つのパターンから考えたものになります。
パターン1 |
必要性を感じていない |
IT化の必要性を感じていない |
パターン2 |
やり方がわからない |
必要性は感じているけど、IT化のやり方がわからない |
パターン3 |
実行が困難 |
やり方はわかっているけど、お金がなくて実行できない |
パターン4 |
実行すると別の問題が発生する |
実行できるけど、IT化にスタッフが対応できないという別の問題が発生する |
このような視点からさまざまな原因の可能性を抽出していきます。その上でその原因が本当にあてはまるかどうかの“裏取り”をして潰していきます。
問題を引き起こしている原因は何ですか?
4.ステップ3:課題設定
一番の難関はこの課題設定です。課題とは、前述したように解決の当事者が主体的に取り組むことを示したものです。したがって、「〇〇する」という表現になります。もう少し詳しく申し上げると、課題は「根本原因」を「どういう方向で解決に導くか」の2つをセットで表現します。
・根本原因とは?
ステップ2の原因分析において、おおよそ3次原因または4次原因まで進めると根本原因が見えてきます。すなわち、やっつけたい敵の黒幕が見つかるということです。問題点にもっとも影響のある原因が根本原因です。それは一つの問題に対して一つだけとは限りません。2つ3つあるかもしれません。
先ほどの例でいうと、たとえば「待ち時間が長い」という問題を引き起こしている主たる原因(根本原因)は「IT化すると現場の反対が起きる」こと、といった具合です。
・解決の方向性とは?
この根本原因を裏返したのが「解決の方向性」です。すなわち「IT化すると現場の反対が起きる」をひっくり返して「IT化しても現場の反対が起きないようにする」とするわけです。これが取り組むべき課題となります。
したがって、IT化しても現場の反対が起きないようにしつつ、IT化を進めることで待ち時間を短縮させるという問題解決になります。
あなたがやっつける敵の正体は何ですか?
【おまけ】 根本原因を裏返して課題を設定するアプローチが“ロジカルシンキング”です。しかし、ロジカルシンキングは万能ではありません。課題設定のアプローチはほかにもあります。“ラテラルシンキング”と“クリティカルシンキング”です。 ・ロジカルシンキング(論理思考):演繹法と帰納法 3つの思考法を使いこなせれば、問題解決の達人になれること間違いなし! (「ビジネス思考法使いこなしハンドブック」より) |
5.ステップ4:実行策立案
課題設定までできれば問題解決の6割は達成したといえます。あとはこの課題をどう実行するかを考えるだけです。
実行策は「アイデア」と「アクションプラン」の2つに分けて考えることができます。
・アイデアとは?
「IT化しても現場の反対が起きないようにする」ためには何をすればいいかというアイデア出しを行います。
スタッフを集めてミーティングを開き、忙しさを解消するためにIT化が必要であること、IT化によってどんなメリットを享受できるのかなどを説明しよう。といったアイデアを出すということです。
・アクションプランとは?
アクションプラン=行動計画です。いつ、いつまでに、誰が、誰に、どこで、何をするということを決めます。
上記アイデアであれば、誰が、いつ、どこにスタッフを集め、誰が、何分かけて、どんな説明を、どういう方法で行うのかを決めるということです。
特に重要なのはアクションプランです。課題は問題解決のための大きなスローガンのようなものです。課題をどう実行するのかというアクションプランを定めないと人は実行に移せません。
あなたは課題をどう実行しますか?
普段私たちは頭の中でこの4つのステップを自然と考えて問題解決を進めていると思います。しかし、それをさらに意識的に実施することで驚くほど効果的に、効率的に問題を解決することができます。特に感情を排して思考を進めることができるのが最大の効能です。
問題に直面したらすぐに解決策を考えるのではなく、立ち止まって冷静に問題解決思考を進めてください。遠回りなようで実は近道ですから。
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1998年東京薬科大学卒、千葉大学博士課程修了(薬学博士) 山梨大学医学部附属病院、クリニック、複数の薬局で勤務。2001年から城西国際大学薬学部の教員として約20年勤務。大手チェーン薬局にて人事・教育・採用部門に従事。2017年に株式会社ツールポックスを設立。経営コンサルティング、キャリア支援、従業員研修などのサービスを展開。北里大学客員准教授兼務。