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「医療DX推進」の工程表

2023.07.24

2023616日に「骨太の方針2023(経済財政運営と改革の基本方針2023)が閣議決定されました。同方針の中で、医療DXの推進について、2024年秋の健康保険証の廃止や電子処方箋の推進、全国医療情報プラットフォームの創設、電子カルテ情報等の標準化、診療報酬改定DXといった内容が盛り込まれています。今回盛り込まれた内容は、62日に開催された医療DX推進本部において「工程表(案)」としてまとめられており、各施策の具体的な実施時期が示されています。

【目次】

  1. 2024年秋には健康保険証の廃止
  2. 全国医療情報プラットフォーム
  3. 電子処方箋の普及
  4. 電子カルテ情報の標準化
  5. 標準型電子カルテ
  6. 診療報酬改定DX(標準型レセコン)


 

1.2024年秋には健康保険証の廃止

「オンライン資格確認」については、20234月に原則、医療機関・薬局での義務化が進められ、まだ対応できていない、訪問診療・訪問看護等、柔道整復師・あん摩マッサージ師・はり師・きゅう師の施術所等でのオンライン資格確認について、「マイナンバーカードの機能の搭載によるスマートフォンでの健康保険証利用の仕組みの導入等の取組を進める」としています。また、2024年秋には健康保険証の廃止を目指すことが示されています。

さらに、公費の対応については、まず生活保護のオンライン資格確認について2023年度中に導入するとしています。

 

2.全国医療情報プラットフォーム

「全国医療情報プラットフォーム」については、新たに「電子カルテ情報共有サービス(仮称)」を創設し、まずは3文書6情報(診療情報提供書、退院時サマリー、健康診断結果報告書、傷病名、アレルギー情報、感染症情報、薬剤禁忌情報、検査情報、処方情報)を電子カルテ情報と位置づけ、医療機関間や医療機関と薬局との間で情報共有・交換する仕組みを構築するとしています。

また、自治体の検診情報、介護、予防接種や母子保健に関する情報を連携させる仕組みを構築することで、医療機関・薬局等と自治体の間で必要な情報を共有可能にするとしています。

さらには、介護事業所が保有する介護現場で発生する情報についても、介護事業所・医療機関等で情報を共有できる基盤を構築することが示されています。

 

3.電子処方箋の普及

 「電子処方箋」については、普及拡大に向けて、利便性を含めた周知広報や電子署名への対応に取り組むとともに、2025年3月までに、オンライン資格確認を導入した概ねすべての医療機関・薬局に導入することを目指して必要な支援を行うとしています。

また、電子処方箋の普及することで、多剤・重複投薬等の適正化を進めるとし、2023年度内にリフィル処方等の機能拡充を実施するほか、2024年度以降、院内処方への機能拡充や重複投薬等チェックの精度向上などに取り組むとしています。

 

4.電子カルテ情報の標準化

「電子カルテ情報」については、まずは3文書6情報の共有を進め、順次、対象となる情報の範囲を拡大していく流れが示されています。具体的には、2023年度に透析情報及びアレルギーの原因となる物質のコード情報、2024年度に蘇生処置等の関連情報や歯科・看護等の領域における関連情報の標準規格を整備するとしています。また、2024年度中に、救急時に有用な情報等の拡充を進めるとともに、救急時に医療機関において患者の必要な医療情報が速やかに閲覧できる仕組みを整備するとしています。

さらに、医療情報を薬局側に共有できるよう、薬局におけるレセコン・薬歴システムにおける標準規格(HL7 FHIR)への対応を検討することに加えて、薬局側から医療機関側に提供される、服薬状況等のフィードバック情報に関し、その内容や共有方法、必要性等についても今後検討するとしています。

 

5.標準型電子カルテ

「標準型電子カルテ」については、標準規格(HL7FHIR)に準拠したクラウドベースの電子カルテの整備を行っていくとしています。具体的には、2023年度に必要な要件定義等に関する調査研究を行い、2024年度中に開発に着手し、一部の医療機関での試行的実施を目指しています。本格的な実施は、2026年度後半を予定しています。

また、現在、電子カルテシステムの導入率は全医療機関で5割程度ですが、未導入の医療機関を含め、電子カルテ情報の共有のために必要な支援策(補助金等)を検討しつつ、遅くとも2030年には概ねすべての医療機関において必要な患者の医療情報を共有するための電子カルテの導入を目指すとしています。

 

6.診療報酬改定DX(標準型レセコン)

 「診療報酬改定DX」については、診療報酬改定時に、医療機関やシステムベンダが短期間で集中してシステム改修やマスタメンテナンス等の作業に対応することで非効率が起きていることを問題視しています。

その改善を目的に、2024年度にマスタ及び電子点数表を改善し提供、併せて、診療報酬算定ルールの明確化・簡素化を図り、診療報酬の算定と患者の窓口負担金計算を行うための全国統一の共通的な電子計算プログラムである「共通算定モジュール」の開発を進め、2025年度にモデル事業を実施した上で、2026年度において本格的に提供するとしています。なお、標準様式を実装した「標準型レセプトコンピュータ」についても、標準型電子カルテとの一体的な提供も行うことが考えられています。

(出典)医療DX推進本部(2023.6.2,内閣官房)