• 医科
  • #診療報酬改定

【特集】令和6年度診療報酬改定  「外来医療①」

2023.08.03

 621日に開催された中央社会保険医療協議会(中医協)の総会では、第1回目となる外来医療に関する議論が行われました。議論の中で、外来医療における課題として、かかりつけ医機能・医療機関連携生活習慣病対策外来機能の分化の推進オンライン診療の4項目が示されています。

【目次】

  1. かかりつけ医機能・医療機関連携
  2. 生活習慣病対策
  3. 外来機能の分化の推進
  4. オンライン診療
  5. 外来医療に関する論点


1.かかりつけ医機能・医療機関連携

「かかりつけ医機能」を評価する点数として、平成26年度改定で、「地域包括診療料・加算」を、平成28年度改定で、「認知症地域包括診療料・加算」「小児かかりつけ診療料」を、平成30年度改定で、「機能強化加算」が新設されています。また、令和4年度改定で、地域包括診療料等の対象疾患に「慢性心不全及び慢性腎臓病」を追加し、機能強化加算についても、かかりつけ医機能を有する医療機関および医師の「実績要件」を追加しています。さらに、前回の改定で診療情報提供料()から「連携強化診療情報提供料」に名称を変更し、対象患者に「紹介重点医療機関からの患者等」を追加しています。

一方、医療DXとして、「全国医療情報プラットフォーム」の構築や「電子カルテ情報の標準化」において、情報の共有にあたっての標準規格化された3文書(診療情報提供書および退院サマリー、健診結果報告書)6情報を普及促進し、医療の質向上のために活用されていくことが示されています。

先に行われた「令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会」においては、外来医療に関し、「主治医と介護支援専門員等との連携」、「認知症患者への対応」、「人生の最終段階における医療・介護についての意思決定支援をより早期から行う」こと等について意見が出されています。

令和5年の医療法改正では、かかりつけ医機能について、「国民への情報提供の強化」や「かかりつけ医機能」の報告に基づく地域での協議の仕組みを構築し、協議を踏まえて医療・介護の各種計画に反映することとされています。

 かかりつけ医機能をさらに推進するため、これまでの評価をどのように見直していくのが論点となります。

 

2.生活習慣病対策

「生活習慣病対策」を評価する点数として、平成14年度改定で「生活習慣病管理料」が新設されました。平成30年度、令和2年度改定では、生活習慣病の算定要件について、重症化予防の観点から算定要件の見直しが行われています。また、令和4年度診療では、投薬の費用を包括評価の対象外にすることで、より算定が進むような変更が行われています。

生活習慣病管理料など生活習慣病対策に関連する点数について、これまでの評価をどのように見直していくのが論点となります。

 

3.外来機能の分化の推進

「外来機能の分化の推進」については、医療機関相互間の機能の分担、連携のさらなる推進のため、紹介率や逆紹介率が低い場合の「初診料等の減算」や、紹介状なしで受診する場合等の「定額負担の導入」が進められてきました。令和4年度改定では、定額負担を徴収する医療機関の対象範囲を「紹介受診重点医療機関(一般病床200床以上に限る)」に拡大するとともに、保険給付範囲と定額負担の額等が見直されています。

より外来機能の分化が推進されるように、定額負担の対象範囲の拡大ならびに患者負担の見直しなどが論点となります。

 

4.オンライン診療

「オンライン診療」の診療報酬上の評価は、平成30年度改定で新設され、令和2年度改定で、実態等を踏まえた見直しが行われています。さらに、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえ、臨時的・特例的取扱い(0410対応)を実施し、オンライン診療による初診を可能とする等の対応が行われています。この特例は7月末で廃止されています。

令和4年1月に「オンライン診療の適切な実施に関する指針」が見直され、令和4年度改定で、オンライン診療料を廃止し、情報通信機器を用いた場合の初診料として再編を行い、算定できる「医学管理料を拡充する」とともに、算定要件の緩和等が行われています。

よりオンライン診療が推進するように、これまでの経緯を踏まえて点数の拡充が行われるかどうかが論点となります。

 

5.外来医療に関する論点

 外来医療に関する論点としては、以下の3点が示されており、今後中医協でさらに議論を重ねていき、改定項目への落とし込みが行われる予定です。

  •  中長期的に地域の医療提供体制が人口減少や高齢化等に直面する中、令和5年の医療法改正を踏まえた「かかりつけ医機能」の強化等や外来機能の明確化・連携を推進し、患者にとって安心・安全で質の高い外来医療の提供を実現するための、診療報酬の在り方について、今後の医療DXの推進も踏まえ、どのように考えるか。

  • 生活習慣病対策、外来機能の分化を推進していく観点から、効果的・効率的な医療を提供するための、診療報酬の在り方についてどのように考えるか。

  • 前回改定を踏まえ、今後のオンライン診療の適切な評価についてどのように考えるか。

 


筆者:株式会社EMシステムズ EM-AVALON事務局
特記ない場合には当サイト内コラム・画像などは投稿者及び当社が作成したものとなります。