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電子カルテ運用のポイント ~下肢創傷処置と下肢創傷処置管理料~

2023.11.13

 

下肢潰瘍は、血流改善や足変形への対応、全身管理といった状態に応じた処置や管理が推進されています。そのため、令和4年改定において「下肢創傷処置」及び「下肢創傷処置管理料」が新設されました。

本稿では、皮膚科や形成外科、整形外科を標榜のクリニック様からご質問の多い「下肢創傷処置」の算定ポイントや「下肢創傷処置管理料」のカルテ記載を中心にお伝えさせていただきたいと思います。


 

【目次】

  1. Point1: 対象患者
  2. Point2: 「下肢創傷処置」の施設基準や医師の規定
  3. Point3: J000-2「下肢創傷処置」の算定留意点
  4. Point4: B001 36「下肢創傷処置管理料」の算定留意点
  5. Point5: J000-2「下肢創傷処置」B001 36「下肢創傷処置管理料」のカルテ記載とレセプト記載

 


1.Point1: 対象患者

000-2「下肢創傷処置」→動脈性、糖尿病性、静脈性混合など下肢潰瘍があり、処置が必要な患者

001 36「下肢創傷処置管理料」→下肢潰瘍に継続的な管理が必要な患者(※当該管理料の算定月に下肢創傷処置を算定している患者)

 

2.Point2: 「下肢創傷処置」の施設基準や医師の規定

000-2「下肢創傷処置」    ⇒施設基準の届出が不要

001 36「下肢創傷処置管理料」 ⇒施設基準の届出とカルテ記載が必要

 

000-2「下肢創傷処置」は施設基準の届出が必要なく、留意事項通知でも医師の規定はございません。
「皮膚科や形成外科の常勤医がいませんが算定できますか」といったご質問をクリニック様から受けますが、常勤医である必要はございません。算定要件を満たせば、下肢創傷処置の算定が可能です。

また、下肢創傷処置を行えるのは医師のみではなく、医師の指示を受けた看護師も可能です。

 

3.Point3: J000-2「下肢創傷処置」の算定留意点

①対象部位と潰瘍の深さによる区別

※下肢創傷処置 足趾の浅い潰瘍は、「1 足部(踵を除く)の浅い潰瘍 135点」を算定。
 (令和4622日 疑義解釈その14 問6

②下肢創傷処置を算定した場合、次の項目は併算定できません。
000 創傷処置,J001‐7 爪甲除去(麻酔を要しないもの),J001‐8 穿刺排膿後薬液注入

③複数箇所のJ000-2下肢創傷処置を行った場合、主たるもののみ算定します。

④次の場合の処置は、算定できません。
軟膏の塗布のみ
湿布の貼付のみ
⇒下肢創傷処置とは、洗浄や足浴、保護材による処置、創傷免荷に伴う処置などです。

 

4.Point4: B001 36「下肢創傷処置管理料」の算定留意点

①下肢創傷処置を算定した月に月1回限り算定します。

②糖尿病合併症管理料は、併算定できません。

②初回算定時に治療計画の作成が必要です。

③患者及び家族等に治療計画を説明、同意を得ることが必要です。

施設基準により医師の規定があります。

 ⇒整形外科,形成外科,皮膚科,外科,心臓血管外科又は循環器内科の診療従事経験5年以上+下肢創傷処置に関する適切な研修 の修了

「下肢創傷処置に関する適切な研修」とは、
一般社団法人日本フットケア・足病医学会「日本フットケア足病医学会認定師 講習会」のうち「Ver.2」や「下肢創傷処置・管理のための講習会」

 

5.Point5: J000-2「下肢創傷処置」B001 36「下肢創傷処置管理料」のカルテ記載とレセプト記載

000-2「下肢創傷処置」
レセプト
請求の際は、レセプトコード830100535 下肢創傷の部位及び潰瘍の深さを記載

 

001 36「下肢創傷処置管理料」
カルテ
毎回の指導の要点をカルテに記載

 

参考)一般社団法人フットケア・足病医学会 下肢創傷処置管理料チェックリスト

①創傷管理 ②血流評価 ③免荷指導
④リハビリ指導 ⑤セルフケア指導 ⑥その他の指導

 

レセプト
請求の際は、レセプトコード850190198 下肢創傷処置実施年月日を記載

 

下肢創傷処置は、これまで長期の入院で治療されてきましたが、今後は歩行機能を維持しつつ、早期に外来処置へ移行されることが見込まれます。クリニック様での算定機会も、今後増加していくと思われます。

 EM  

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筆者:株式会社ウォームハーツ

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