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医療・介護・障害福祉サービスの連携

2023.11.27

 1020日に開催された中央社会保険医療協議会(中医協)の総会では、個別事項として「医療・介護・障害福祉サービスの連携」について議論が行われました。主に「主治医と介護支援専門員との連携」「医療機関と高齢者施設等との連携」などについて課題と論点が示されています。

【目次】

  1. 主治医と介護支援専門員との連携
  2. 医療機関と高齢者施設等との連携


1.主治医と介護支援専門員との連携 

主治医と介護支援専門員との連携については、令和5年の医療法改正で「かかりつけ医機能報告」制度が創設されており、地域包括ケアにおけるかかりつけ医機能として、各医療機関から都道府県知事に報告することが求められています。そこには、介護サービス等との連携が含まれています。

介護支援専門員に対するアンケートによると、医療機関との情報共有における問題点や負担が大きいことは、「医療機関側に時間をとってもらうことが困難」が最も多く、それを改善する工夫として最も多いものは、「受診時に同行し主治医と面談」となっています。

一方、介護保険制度の介護支援専門員の運営基準においては、サービス担当者会議を通じて専門的な知見を求めること、医療サービスを提供する際は医師の意見を求めること、医師の医学的観点からの留意事項を尊重して居宅サービス計画を策定することが規定されています。医療側については、かかりつけ医機能を評価する「機能強化加算」や「地域包括診療料・加算」において、介護保険制度の利用等の相談対応、主治医意見書の作成などが算定要件とされています。

医療機関における介護との連携の取組について、主治医意見書の作成はほぼ全ての施設が取り組まれているものの、「サービス担当者会議への参加」は地域包括診療料・加算の届出がある施設で54.0%、届出がない施設では33.9%となっています。また、「介護支援専門員とのケアプラン策定等に係る相談時間の確保」は届出施設では53.5%、届出のない施設では31.9%となっています。

そこで、次期改定に向けて、機能強化加算等かかりつけ医を評価する点数において、医療介護の連携をさらに進めるためにも、「医療の視点を踏まえたケアマネジメントを提供するためには、サービス担当者会議等を通じて、認識が共有され、より医療と生活の双方の視点に基づいたケアプランが策定されることが重要となるが、このような主治医と介護支援専門員との連携を推進するためにどのような方策が考えられるか」が論点として挙げられています。

2.医療機関と高齢者施設等との連携

現在、高齢者施設等においては、介護保険施設(介護医療院・介護老人保健施設・特別養護老人ホーム)では協力病院を、介護保険施設以外の高齢者施設等(特定施設・認知症グループホーム)については協力医療機関を定めることが運営基準上求められています。

「同時報酬改定に向けた意見交換会」では、高齢者施設と医療機関の連携体制として、協力医療機関との関係性も含めた要介護者に適した緊急時の対応、入院・医療についてのルール化、医療・介護の連携の制度化を進めていくべきとの意見が出ています。

また、地域包括ケア病床における介護保険施設等との連携の実態は、介護保険施設からの電話等による相談対応はほとんどの病棟で可能ではあるが、緊急時の往診対応はできない施設が多いとしています。機能強化型在宅療養支援病院でも対応可能な割合は70%程度に留まっています。

また、在宅療養支援病院については、特別養護老人ホームに往診を行っていない割合は75%程度で推移しており、介護老人保健施設、介護医療院への往診にいたってはほとんど行われていないのが実情となっています。特別養護老人ホーム、介護老人保健施設の入所患者の入院の多くは、在宅療養支援病院で受け入れられており、近年傾向に大きな変化はないとしています。

そこで、医療機関と高齢者施設等との連携については、介護保険施設等と協力医療機関のあり方、実際の医療機関と介護保険施設等の連携状況、医療機関における介護保険施設等の入所者の病状急変時の対応状況及び在宅療養支援病院、在宅療養後方支援病院並びに地域包括ケア病棟等に求められる役割を踏まえ、介護保険施設等と医療機関が平時から介護保険施設入所者の緊急時の対応等についてあらかじめ取り決めを行う等して連携を行い、介護保険施設等入所者の病状急変時に電話相談、往診、オンライン診療、入院の要否の判断を含めた入院調整等を適時適切に行えるような体制整備が論点として挙げられています。

(出典)中央社会保険医療協議会総会(2023.10.20,厚労省)