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【特集】令和6年度診療報酬改定 「訪問看護および訪問診療のオンライン資格確認、生活保護の対応」
2023.12.18
10月18日に開催された中央社会保険医療協議会(中医協)の総会で、訪問看護ステーションのオンライン資格確認の義務化およびオンライン資格確認の用途拡大について、答申が行われました。また、医療扶助(生活保護)のオンライン資格確認についても解説します。
【目次】
1.訪問看護ステーションのオンライン資格確認の導入の義務化
令和6(2024)年秋の保険証廃止後も利用者がマイナンバーカードで安心して必要な訪問看護を受けられる環境を整備するために、「令和6年秋に訪問看護におけるオンライン資格確認の導入を義務付ける」としています。また、令和6年秋時点でやむを得ない事情がある場合は、期限付きの経過措置等を設けるとしています。
【経過措置】
|
やむを得ない事情 |
期限 |
1 |
義務化の2か月前の月末までにベンダーと契約締結したが、導入に必要なシステム整備が未完了の事業所(システム整備中) |
システム整備が完了する日まで(遅くとも義務化の6か月後の月末まで) |
2 |
オンライン資格確認に必要な光回線ネットワーク環境が整備されていない事業所(ネットワーク環境事情) |
オンライン資格確認に必要な光回線ネットワーク環境が整備されてから6ヶ月後まで |
3 |
改築工事中の事業所 |
改築工事が完了するまで |
4 |
廃止・休止に関する計画を定めている事業所 |
廃止・休止まで(遅くとも義務化の6か月後の月末まで) |
5 |
その他特に困難な事情がある事業所 ※1常勤の看護職員その他の従業者の年齢が、平成30年3月31日において、いずれも65歳以上である場合【介護保険におけるオンライン請求の経過措置と同じ】 ※2※⑴~⑷の類型と同視できるか個別判断 |
特に困難な事情が解消されるまで |
2.オンライン資格確認の用途拡大に伴う対応
訪問診療など在宅医療の現場においては、医療関係者が居宅を訪問することから、患者のなりすましリスクが低いことを踏まえ、医療機関等との継続的な関係のもと訪問診療等が行われている場合は、2回目以降の訪問について、令和5(2023)年12月1日以降、訪問診療等におけるオンライン資格確認の仕組み(居宅同意取得型)に実装される再照会機能を活用した資格確認を行うことが可能になりました。
なお、初回訪問時のマイナンバーカードによる本人確認に基づく資格情報の取得及び薬剤情報等の提供に関する同意は、医療関係者が持参したモバイル端末等を用いて実施することとされています。
(出典)中央社会保険医療協議会総会(2023.10.18,厚労省)
3.医療扶助(生活保護)におけるオンライン資格確認導入
現在、オンライン資格確認では健康保険証の資格確認のみ対応されており、生活保護など公費の対応についても行えるようにと医療機関から多くの要望が上がっていました。
そこで、令和6(2024)年3月より、医療扶助(生活保護)のオンライン資格確認の運用が開始されることになりました。ただし、要否意見書についてはこれまでどおり、紙媒体での運用となります。なお、医療扶助のオンライン資格確認の本格運用開始後でも、紙の医療券/調剤券が発行されるようなケースとしては、被保護者がマイナンバーカードを保有していない場合や、医療扶助のオンライン資格確認が未導入の医療機関・薬局を受診する場合等が考えられ、その際は従来通り紙の医療券/調剤券が発行されるとしています。
また、医療扶助のオンライン資格確認に医療機関が対応するためには、現在のオンライン資格確認の仕組みに、追加のパッケージソフトが必要になります。レセコン回収のための助成金については、以下の通りです。
〇病院:28.3万円を上限に補助(事業額の56.6万円を上限にその1/2を補助)
〇診療所又は大型チェーン薬局以外の薬局:5.4万円を上限に補助(事業額の7.3万円を上限にその3/4を補助)
〇大型チェーン薬局:3.6万円を上限に補助(事業額の7.3万円を上限にその1/2を補助)
なお、同助成金は、令和5(2023)年12月31日までに導入完了し、令和6(2024)年3月31日までの交付を希望される場合は、令和6(2024)年1月15日が助成金申請期限となりますが、システムベンダーの遅れもあり、同期限までの申請に間に合わない場合の延長については今後新たに周知するとしています。
【医療扶助のオンライン資格確認の概要】
(出典)医療扶助のオンライン資格確認(厚労省ホームページ)