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【特集】令和6年度診療報酬改定「令和6年度改定に向けた議論の概要、第1ラウンドまとめ」

2023.10.02

 8月30日に開催された中央社会保険医療協議会(中医協)の総会では、4月から8月にかけて行われた改定の第1ラウンドのまとめとして「令和6年度診療報酬改定に向けた議論の概要」が公表されました。今後は、この内容を踏まえて、後半の第2ラウンドの議論が行われることになります。

【目次】

  1. 医療DXについて
  2. 外来について
  3. 入院について
  4. 在宅について
  5. 感染症について
  6. 働き方改革について
  7. 小児医療・周産期医療について


1.医療DXについて

 「医療DX」については、今後の推進計画として内閣府がまとめた「医療DXの推進に関する工程表」を基に議論が行われました。

「全国医療情報プラットフォーム」の構築や「電子カルテ情報の標準化」については、情報共有を進めるために標準規格化された紹介状など3文書、検査結果・傷病名など6情報を普及促進し、医療の質向上のために活用していくとしています。

「診療報酬改定DX」については、算定モジュールの開発の進め方や診療報酬改定時期の後ろ倒しなどが議論され、令和6年度改定より施行時期を診療報酬は「6月1日施行」、薬価は例年通り「4月1日」にすることが了解されました。

「電子処方箋」については、まずは2024年度中の普及に努め、医療機関・薬局・患者間での処方および調剤の情報共有、マイナポータルと電子お薬手帳の連携によって、薬剤情報の有効活用を通じて質の高い医療を提供していくとしています。

「サイバーセキュリティ対策」については、これまで診療録管理体制加算などで、セキュリティ安全管理体制にかかる要件を評価してきたが、医療機関・薬局全体で取り組むためにサイバー攻撃の対策を推進するための評価を検討するとしています。

2.外来について

 「外来」については、令和5年の医療法改正を踏まえ、「かかりつけ医機能の強化」や「外来機能の明確化・連携」を推進し、患者にとって安心・安全で質の高い外来医療の提供を実現するための、診療報酬の在り方について、今後の医療DXの推進も加味して検討していくとしています。かかりつけ医機能をさらに推進するため、これまでの評価をどのように見直していくのかが論点となります。

また、「生活習慣病対策」並びに「外来機能の分化」を推進していく観点から、効果的・効率的な医療を提供するための診療報酬の在り方を検討するとしています。生活習慣病関連の点数の見直しや、定額負担の対象範囲の拡大並びに患者負担の見直しなどが論点となります。

さらに、「オンライン診療」の評価も議論に上がっており、より一層の普及を進めていく姿勢がうかがえます。

3.入院について

 「急性期入院医療」については、高齢者の救急搬送件数が増加傾向にあることを踏まえ、急性期病棟と地域包括ケア病棟の機能分化を促進し、個々の患者の状態に応じた適切な医療資源が投入される効率的かつ質の高い入院医療の提供を推進するための評価のあり方を検討するとしています。

「回復期入院医療」については、在宅患者の救急対応を急性期病棟で行っているケースが多いことから、今後は地域包括ケア病棟を在宅医療の後方支援病棟と位置付けていきたいとしています。また、回復期リハビリテーション病棟において、質の高いリハビリテーションを提供するための評価のあり方が論点として挙げられています。

「慢性期入院医療」については、療養病床に係る経過措置が終了することを踏まえ、長期療養が必要な患者に対する適切な入院医療の評価のあり方が論点として挙げられています。

4.在宅について

 「在宅」については、高齢化の進展に伴い、在宅医療の需要が大幅に増加することが見込まれている中で、地域包括ケアシステム推進の観点から、「在宅医療の提供体制」を検討していきたいとしています。特に、在宅患者の急変時の対応や、情報共有・連携を充実させるための方策、そして本人・家族の希望に沿った医療・ケアの促進について、検討を行っていくとしています。

「訪問診療・往診」については、質の高い医療サービスを十分な量提供できるよう、訪問診療・往診等に係る診療報酬上の評価の見直しを図っていくとしています。

「訪問看護」については、24 時間対応に応えられる訪問看護の提供体制の構築を推進する観点から、複数ステーションの連携を踏まえた診療報酬上の評価が論点として挙がっています。

5.感染症について

 「感染症」については、新型コロナウイルス感染症が5類に引き下げられた現在も、いまだ感染蔓延が続いている状況を踏まえ、引き続き医療機関・薬局・訪問看護事業所における感染対策を進めていくとしています。また、新興感染症以外の感染症に対する医療提供体制についても、感染対策に必要な人員確保、個人防護、個室管理、他施設と連携等の観点から、恒常的な感染症対応を検討していくとしています。

6.働き方改革について

 「働き方改革」については、2024年4月から医師についての時間外労働の上限規制が適用され、働き方改革に向けた継続的な取り組みが求められる中、これまでの医師をはじめとした医療従事者の働き方改革の取り組み(柔軟な勤務体制、デジタルツールの活用、タスクシフティングなど)や、診療報酬上の対応を踏まえ、働き方改革の推進に対する診療報酬の評価の在り方が議論されることになります。

7.小児医療・周産期医療について

 「小児医療」については、急速に進む少子化の進展とともに、医療の高度化が進むなか、小児医療の現状を踏まえた上で、外来、入院、高度急性期医療、医療的ケア児、緩和ケアに係る診療報酬の在り方について検討していくとしています。

「周産期医療」については、産婦人科標榜の医療機関の機能の集約化が進められるとともに、ハイリスク妊産婦が増加するなか、良質な周産期医療の提供体制を維持するために、周産期医療に係る診療報酬の在り方の検討を行っていくとしています。