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電子カルテ運用のポイント ~アレルギー性鼻炎免疫療法治療管理料~

2024.01.09

 

現在、アレルギー性鼻炎は国民の49.2%が罹患する国民病とされ、自然に改善することが少ない状況です。治療においては、自然経過を改善できる唯一の方法としてアレルゲン免疫療法(皮下免疫療法,舌下免疫療法)があります。

アレルゲン免疫療法は、初回投与30分以上観察が必要であり、適切な治療の普及を推進する為、令和4年度改定では「アレルギー性鼻炎免疫療法治療管理料」が新設されました。

アレルゲン免疫療法の1つである舌下免疫療法は、5歳から12歳の小児のアレルギーマーチの進行を止めうる有益な治療法としても効果が期待されています。

本稿では、耳鼻咽喉科を標榜のクリ二ック様以外からもご質問をいただく「アレルギー性鼻炎免疫療法治療管理料」について運用の留意点をお伝えさせていただきたいと思います。

 

【目次】

  1. Point1: 対象患者
  2. Point2: 特定疾患療養管理料や外来管理加算との併算定
  3. Point3: インフォームドコンセントを得て開始
  4. Point4: カルテ記載とレセプト記載
  5. Point5: 疑義解釈(令和4年3月31日 疑義解釈その1問144)
  6. Point6: 施設基準
  7. その他参考: 学校生活管理指導表の提出が望ましい例と診療情報提供料(Ⅰ)

 


1.Point1: 対象患者

アレルゲン免疫療法(皮下免疫療法,舌下免疫療法)による治療の必要を認めるアレルギー性鼻炎の外来患者

 

※通知等で「アレルギー性鼻炎」が主病である規定はありません。医師によりアレルギー性鼻炎と診断されている必要があります。

 

2.Point2: 特定疾患療養管理料や外来管理加算との併算定

<同日や同月 特定疾患療養管理料を算定している場合>

「アレルギー性鼻炎」と「特定疾患療養管理料の別に厚労大臣が定める疾患」に対してそれぞれ指導し、「アレルギー性鼻炎免疫療法治療管理料」と「特定疾患療養管理料」のそれぞれの要件を満たしていれば、併せて算定できます。

なお、特定疾患療養管理料は、厚労大臣が定める疾患が主病である必要があります。

 

<同日の外来管理加算>

アレルギー性鼻炎免疫療法治療管理料と外来管理加算は同日に算定可能です。

外来管理加算の要件を満たし、
同日に外来管理加算が算定できない項目(処置や生体検査等)を実施していないことに留意下さい。

 

3.Point3: インフォームドコンセントを得て開始

①アレルギー性鼻炎の診断をする

②文書により治療内容等(*1)を説明し、患者の同意を得る

 *1…治療内容,期待される効果,副作用等

 ※説明・指導文書例 下記URLP64,65をご参照下さい。

鼻アレルギー診療ガイドライン

日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会,鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会

③アレルゲン免疫療法を行う

 

4.Point4: カルテ記載とレセプト記載

カルテ

アレルゲン免疫療法について患者に説明した内容の要点を記載。

レセプト

請求の際は、レセプトコード850100407 初回算定年月日を記載。

 

<レセプト記載例>

医学管理    280

アレルギー性鼻炎免疫療法治療管理料イ   280×1

初回算定年月日(アレルギー性鼻炎免疫療法治療管理料);令和5109

 

5.Point5: 疑義解釈(令和4年3月31日 疑義解釈その1問144)

(問) 「B001」の「35」アレルギー性鼻炎免疫療法治療管理料について、既にアレルギー性鼻炎免疫療法を開始していた患者が、転居等により、紹介を受けて他の保険医療機関において治療を開始する場合、「イ1月目」の点数は算定可能か。

(答)算定不可。当該患者については、「ロ 2月目以降」に限り算定可。

 

6.Point6: 施設基準

本項目を算定する場合、以下①~③を満たしていればよく、届出の必要はありません。

①当該保険医療機関内にアレルギーの診療に従事した経験3年以上の常勤医師が1名以上配置のこと(*2)

*2…週3日以上常態勤務かつ、所定労働時間週22時間以上勤務の非常勤医師(アレルギーの診療に従事経験3年以上)2名以上を組み合わせることで常勤医の基準を満たすと見なす。

②アレルゲン免疫療法に伴う副作用が生じた場合に対応できる体制を整備していること。

③院内の見やすい場所にアレルゲン免疫療法を行っている旨の掲示をするなど、患者に必要な情報提供をしていること。

 

7.その他参考: 学校生活管理指導表の提出が望ましい例と診療情報提供料(Ⅰ)

学校生活管理指導表の提出が望ましい例としては、花粉シーズンの間、体育や屋外活動に参加しないよう主治医より指導されたり,3日以上連続ステロイド内服の場合が挙げられます。

また、診療情報提供料(Ⅰ)通知(17より

アナフィラキシーの既往歴のある患者

学校生活管理指導表を診療状況の文書として提供した場合は、診療情報提供料(Ⅰ)を算定できると解されます。

(皮下免疫療法は、特に増量過程でアナフィラキシーが生じる可能性があります)

 

 

舌下免疫療法については、e‐ラーニングの受講の必要があります(既に、日本耳鼻咽喉科学会の舌下免疫療法講習会を受講された医師の方は、改めてe‐ラーニングを受講する必要はありません。)

e‐ラーニング・e‐テストは、受講時期について、規定は有りません。下記URLを参照下さい。
https://www.jibika.or.jp/archive/members/information/info_e-learning-1.pdf

 

 EM  

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筆者:株式会社ウォームハーツ

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