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令和6年度診療報酬改定 「令和6年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(案)」

2024.01.16

1月10日に行われた中央社会保険医療協議会(中医協)の総会で、「令和6年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(案)」が示されました。なお、項目立てについては、20231211日に社会保障審議会医療保険部会・医療部会において取りまとめられた「令和6年度診療報酬改定の基本方針」に即したものとなっています。

【目次】

  1. 現下の雇用情勢も踏まえた人材確保・働き方改革等の推進
  2. ポスト2025を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療DXを含めた医療機能の分化・強化、連携の推進
  3. 安心・安全で質の高い医療の推進
  4. 効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上


 

Ⅰ 現下の雇用情勢も踏まえた人材確保・働き方改革等の推進

Ⅰ-1 医療従事者の人材確保や賃上げに向けた取組

Ⅰ-2 各職種がそれぞれの高い専門性を十分に発揮するための勤務環境の改善、タスク・シェアリング/タスク・シフティング、チーム医療の推進

Ⅰ-3 業務の効率化に資する ICT の利活用の推進、その他長時間労働などの厳しい勤務環境の改善に向けての取組の評価

Ⅰ-4 地域医療の確保及び機能分化を図る観点から、労働時間短縮の実効性担保に向けた見直しを含め、必要な救急医療体制等の確保

Ⅰ-5 多様な働き方を踏まえた評価の拡充

Ⅰ-6 医療人材及び医療資源の偏在への対応

 

(解説)人材確保・働き方改革の推進については、令和6年度改定の最重要課題と捉えられており、改定のプラス要素として位置づけられています。医師及び医療従事者の賃上げや、勤務環境の改善、タスク・シフティング、ICTの利活用などについて評価が行われる予定です。

 

Ⅱ ポスト2025を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療DXを含めた医療機能の分化・強化、連携の推進

Ⅱ-1 医療DXの推進による医療情報の有効活用、遠隔医療の推進

Ⅱ-2 生活に配慮した医療の推進など地域包括ケアシステムの深化・推進のための取組

Ⅱ-3 リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理の連携・推進

Ⅱ-4 患者の状態及び必要と考えられる医療機能に応じた入院医療の評価

Ⅱ-5 外来医療の機能分化・強化等

Ⅱ-6 新興感染症等に対応できる地域における医療提供体制の構築に向けた取組

Ⅱ-7 かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師の機能の評価

Ⅱ-8 質の高い在宅医療・訪問看護の確保

 

(解説)2025年に向けて地域包括ケアシステムの構築や医療DXを進め、医療機能の分化・強化、連携を推進する考えが示されています。特にクリニックについては、外来医療の機能分化・強化やかかりつけ医の評価、在宅医療などが盛り込まれており、最も影響する項目となります。

 

Ⅲ 安心・安全で質の高い医療の推進

Ⅲ-1 食材料費、光熱費をはじめとする物価高騰を踏まえた対応

Ⅲ-2 患者にとって安心・安全に医療を受けられるための体制の評価

Ⅲ-3 アウトカムにも着目した評価の推進

Ⅲ-4 重点的な対応が求められる分野への適切な評価(小児医療、周産期医療、救急医療等)

Ⅲ-4-1 高齢者の救急医療の充実及び適切な搬送の促進

Ⅲ-4-2 小児医療、周産期医療の充実

Ⅲ-4-3 質の高いがん医療及び緩和ケアの評価

Ⅲ-4-4 認知症の者に対する適切な医療の評価

Ⅲ-4-5 地域移行・地域生活支援の充実を含む質の高い精神医療の評価

Ⅲ-4-6 難病患者に対する適切な医療の評価

Ⅲ-5 生活習慣病の増加等に対応する効果的・効率的な疾病管理及び重症化予防の取組推進

Ⅲ-6 口腔疾患の重症化予防、口腔機能低下への対応の充実、生活の質に配慮した歯科医療の推進

Ⅲ-7 薬局の地域におけるかかりつけ機能に応じた適切な評価、薬局・薬剤師業務の対物中心から対人中心への転換の推進、病院薬剤師業務の評価

Ⅲ-8 薬局の経営状況等も踏まえ、地域の患者・住民のニーズに対応した機能を有する医薬品供給拠点としての役割の評価を推進

Ⅲ-9 医薬品産業構造の転換も見据えたイノベーションの適切な評価や医薬品の安定供給の確保等

 

(解説)安心・安全で質の高い医療の推進では、真っ先に物価高騰への対応が示されており、食材料費、光熱費の高騰に配慮した内容が盛り込まれることになります。また、重点分野として、小児医療、周産期医療、救急医療などの評価を打ち出しています。さらに、生活習慣病の予防についても、さらなる評価を進めたい考えです。

 

Ⅳ 効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上

Ⅳ-1 後発医薬品やバイオ後続品の使用促進、長期収載品の保険給付の在り方の見直し等-2 費用対効果評価制度の活用

Ⅳ-3 市場実勢価格を踏まえた適正な評価

Ⅳ-4 医療DXの推進による医療情報の有効活用、遠隔医療の推進(再掲)

Ⅳ-5 患者の状態及び必要と考えられる医療機能に応じた入院医療の評価(再掲)

Ⅳ-6 外来医療の機能分化・強化等(再掲)

Ⅳ-7 生活習慣病の増加等に対応する効果的・効率的な疾病管理及び重症化予防の取組推進(再掲)

Ⅳ-8 医師・病院薬剤師と薬局薬剤師の協働の取組による医薬品の適正使用等の推進

Ⅳ-9 薬局の経営状況等も踏まえ、地域の患者・住民のニーズに対応した機能を有する医薬品供給拠点としての役割の評価を推進(再掲)

 

(解説)効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上については、例年であれば改定のマイナス要因として位置づけられています。特に改定率でもあるように、薬価の引き下げ進めるために、後発医薬品やバイオ後続品の使用を促進するだけではなく、長期収載品の保険給付の在り方を見直す考えが示されています。

 

今後は1月中に、議論の整理案をもとに、具体的な診療報酬項目および点数への落とし込みが行われることとなります。