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令和6年度診療報酬改定 「令和6年度改定に係るこれまでの議論の整理(クリニック関連項目)」

2024.01.29

1月12日に行われた中央社会保険医療協議会(中医協)の総会で、「令和6年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理」が示されました。その後、19日に公聴会が開かれました。これにより、大筋の改定項目が出そろったことになります。そこで、今回は議論の整理の中から、クリニックに関連する項目を取り上げて解説します。

【目次】

  1. <初・再診料等>
  2. <医療DX>
  3. <オンライン診療等>
  4. <患者への情報提供に関するデジタル化>
  5. <医療と介護の連携>
  6. <外来医療の機能分化>
  7. <リハビリ>
  8. <精神>
  9. <在宅医療>


 

<初・再診料等>

外来診療において標準的な感染防止対策を日常的に講じることが必要となっていること、職員の賃上げを実施すること等の観点から、「初再診料」等の評価を見直すとしています。

また、近年の情報化社会の進展に伴うサービスの多様化に対応する観点から、「時間外対応加算」については、(デジタル化を踏まえた)時間外の電話対応等の多様な在り方を考慮した評価体系に見直すとしています。

 

Ⅱ <医療DX>

2023年4月に義務化された「オンライン資格確認」については、以下の見直しを行うとしています。

①医療情報・システム基盤整備体制充実加算の評価の在り方を見直す。

②オンライン資格確認の利用実績に応じた評価、電子処方箋の更なる普及や電子カルテ情報共有サービスの整備を進めることとされていることを踏まえ、医療DXを推進する体制について、新たな評価を行う。

③在宅医療における診療計画の作成において取得された患者の診療情報や薬剤情報を活用することで質の高い医療を提供した場合について、新たな評価を行う。

④初回訪問時等に利用者の診療情報・薬剤情報を取得・活用して、指定訪問看護の実施に関する計画的な管理を行い、質の高い医療を提供した場合について、新たな評価を行う。

⑤ 救急時医療情報閲覧機能の導入により、救急患者に対する迅速かつ的確で効率的な治療を更に推進する観点から、総合入院体制加算、急性期充実体制加算及び救命救急入院料について要件を見直す。

 

<オンライン診療等>

情報通信機器を用いた診療(オンライン診療)については、従来の医師と患者の一対一の関係とともに、へき地医療における「D to P with N」を実施する場合の新たな評価や、指定難病患者に対する治療における「D to P with D」の評価として、「遠隔連携診療料」の対象患者を見直すとしています。

また、情報通信機器を用いた診療における閉塞性無呼吸症候群に対する持続陽圧呼吸(CPAP)療法を実施する際の基準を踏まえ、情報通信機器を用いた場合の「在宅持続陽圧呼吸療法指導管理」について新たな評価を行うとしています。

さらに、情報通信機器を用いた精神療法に係る指針を踏まえ、情報通信機器を用いて「通院精神療法」を実施した場合についても新たな評価を行うとしています。

 

<患者への情報提供に関するデジタル化>

診療報酬上、書面での検査結果、その他の書面の作成又は書面を用いた情報提供等が必要とされる項目については、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」の遵守を前提に、デジタル作成又はデジタルによる情報提供等が可能であることを明確化するとしています。また、掲示物についても、保険医療機関、保険薬局及び指定訪問看護事業者における書面掲示について、原則ウェブサイトでの掲載を必要にしていくとしています。

 

V <医療と介護の連携>

医療機関と介護保険施設の適切な連携を推進する観点から、在宅療養支援病院、在宅療養後方支援病院、在宅療養支援診療所及び地域包括ケア病棟について、介護保険施設の求めに応じて協力医療機関を担うことが望ましいことを踏まえ、要件を見直すとしています。

 また、医療と介護の両方を必要とする状態の患者が可能な限り施設での生活を継続するために、医療保険で給付できる医療サービスの範囲を見直すとし、具体的には介護保険施設及び障害者支援施設において対応が困難な医療行為について医療保険による算定を可能とするとしています。

 さらに、介護・障害福祉サービスにおける連携を推進するために、「介護連携加算」について名称変更及び要件の見直しを行うとしています。

VI <外来医療の機能分化>

生活習慣病に対する質の高い疾病管理を推進する観点から、「生活習慣病管理料」について要件及び評価を見直すとともに、「特定疾患療養管理料」についても対象患者を見直すとしています。また、「特定疾患処方管理加算」についても、リフィル処方及び長期処方の活用並びに医療DXの活用による効率的な医薬品情報の管理を適切に推進する観点から、要件及び評価を見直すとされました。

 「地域包括診療料」等については、かかりつけ医と介護支援専門員との連携の強化、かかりつけ医の認知症対応力向上、リフィル処方及び長期処方の活用、適切な意思決定支援及び医療DXを推進する観点から、要件及び評価を見直すとしています。

「小児かかりつけ診療料」については、小児に対する継続的な診療を一層推進する観点から要件及び評価を見直すとしています。

VII <リハビリ>

「疾患別リハビリテーション料」については、医療機関と介護保険の訪問・通所リハビリテーション事業所のリハビリテーションに係る連携を更に推進する観点から要件を見直すとしています。

また、医療保険のリハビリテーションと障害福祉サービスである自立訓練(機能訓練)の円滑な移行を推進する観点から、病院・診療所が自立訓練(機能訓練)を提供する際の「疾患別リハビリテーション料」等の要件が見直されます。

VIII <精神>

「通院・在宅精神療法」については、質の高い精神医療の提供を推進する観点から評価を見直すとともに、精神疾患の早期発見及び早期に重点的な診療等を実施する体制を有する医療機関が精神療法を行った場合の新たな評価を行うとしています。また、情報通信機器を用いて通院精神療法を実施した場合についても新たな評価を行うとしています。

「小児特定疾患カウンセリング料」については、発達障害等、児童思春期の精神疾患の支援を充実する観点から、要件及び評価を見直すとともに、発達障害等を有する小児患者に対する「情報通信機器を用いた医学管理」についても新たな評価を行うとしています。さらに、児童・思春期の精神疾患患者に対する外来診療の充実を図る観点から、多職種が連携して患者の外来診療を実施した場合の評価を新設するとしています。

「診療情報提供料()」について、精神障害の特性を踏まえ医療機関と障害福祉サービスとの連携を推進する観点から、の情報提供先を見直すとしています。

心的外傷に起因する症状を有する患者の適切な介入を推進する観点から、精神科を担当する医師の指示を受けた公認心理師が必要な支援を行った場合の評価を新設するとしています。

IX <在宅医療>

介護保険施設の入所者の病状の急変時に、介護保険施設の協力医療機関であり、平時からの連携体制を構築している医療機関の医師が往診を行った場合に新たな評価を行うとしています。

24時間の在宅医療の提供体制については、在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院と連携体制を構築している在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院以外の他の保険医療機関が訪問診療を行っている患者に対して在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院が往診を行った場合の評価を新設するとしています。また、「在宅療養移行加算」の評価の見直しも行うとしています。

「往診料」については、患者の状態に応じた適切な往診の実施を推進する観点から、緊急往診の評価を見直すとしています。「訪問診療料」については、在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院について、一人あたりの訪問診療の算定回数が多い医療機関の評価を見直すとしています。また、「頻回訪問加算」についても要件及び評価を見直すとしています。

「在宅時医学総合管理料」及び「施設入居時等医学総合管理料」についても、質の高い在宅医療の提供を適切に評価する観点から、訪問診療の算定回数等に応じた評価を見直すとしています。「訪問看護指示書」及び「精神科訪問看護指示書」についても、レセプト情報の利活用を推進する観点から記載事項及び様式を見直すとしています。

在宅患者に対して、医師・歯科医師が計画的な医学管理を行う際、医療・ケアに携わる関係職種がICTを用いて記録した診療情報等を活用した場合の評価を新設するとしています。

在宅の末期がん患者以外の患者に対する緩和ケアを充実させる観点から、注射による麻薬の投与に係る指導管理について新たな評価を行うとしています。一方、在宅の末期がん患者については、患者の急変時等にICTの活用によって患者に関わる医療従事者等の間で共有されている人生の最終段階における医療・ケアに関する情報を踏まえ、医師が患者に対して療養上必要な指導を行った場合の評価を新設するとしています。「ターミナルケア加算」についても、本人の望む場所でより患者の希望に沿った看取りを支援する観点から要件を見直すとしています。