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令和6年度調剤報酬改定からこれからの薬局づくりを考える 第3回「“荒れた”令和6年度調剤報酬改定 答申の発表」

2024.02.19

214日に答申が発表され、調剤報酬改定の内容が明らかとなりました。早速内容を見てみると、“大どんでん返し”といえる点数が設定されました。2025年に控える「患者のための薬局ビジョン」「地域包括ケアシステム」に向けどのような改定になるのか、全ての内容をお伝えは出来ませんが、まずは抑えておきたいポイントを書いてみます。

 

※本記事は2024214日に作成をしています。

 

■調剤基本料の大幅増加!期待される賃上げ

診療・調剤報酬共に「賃上げ」が大きなテーマだった令和6年度改定ですが、調剤においては改定率発表時に「40歳未満の勤務薬剤師・医療事務に対する」というワードがトレンドになりました。その後の厚労省調査では財源として「処方箋1枚当たり0.7点程度」という調査結果が出ていましたが、蓋を開けてみると「3点」の増加となりました。

 

調剤基本料1    42点→45

調剤基本料2    26点→29

調剤基本料3イ   21点→24

調剤基本料3ロ   16点→19

調剤基本料3ハ   32点→35

特別調剤基本料A  7点→5

特別調剤基本料B  7点→3

 

調剤報酬において、基本料増加分の賃上げへの補填は要件化されておらず、どのような対応をするのかは経営者の判断にゆだねられています。当初1点増を予想しており、「賃上げに回せるのか」という不安の声も多く聞いていましたが、消費税増税時でも1点の増加が、今回は3点の増加です。厚労省は機を見て薬局従業者の賃上げ状況の把握に関する調査を行うと発表していますが、この結果は今後大きな論点となりそうです。

 

■対人業務に取り組む薬局はどうする?地域支援体制加算はマイナス

地域支援体制加算はまさしく“大どんでん返し”。だれがこの結果を予想したのかと言わざるを得ない、各区分点数(7点)の引下げです。

 

地域支援体制加算1 ・・・39点→32

地域支援体制加算2 ・・・47点→40

地域支援体制加算3 ・・・17点→10

地域支援体制加算4 ・・・39点→32

算定要件については既に短冊を確認済みかと思いますので割愛しますが、求められる実績要件に「小児特定加算」が加わり、9項目から10項目になっています。基本料1それ以外で求められる実績回数が異なります。加算1と3は「3項目」、加算2と4は「8項目」のクリアが求められます。

 

■対応が必須となるインフラ整備に対応する加算

基本料の増点は喜ばしいですが、地域支援体制加算を取得する薬局にとっては実質マイナスといえる改定となりました。また現時点で加算2を算定する薬局が、新報酬による加算1を算定することになった場合、「基本料+3点」「地域支援体制加算▲15点」と実質10点以上の基礎点数の引き下げとなります。

本改定では連携強化加算が見直され「2点→5点」と増点になりました。また医療DXの体制整備に関し「医療DX推進体制整備加算」(4/1)が新設されました。これらの基本料加算の合計は「3点増点+4点(月1回)」で7点となります。現在取得している地域支援体制加算を維持することは必須ですが、さらにその上で2つの基本料加算を取得することが「現状維持」のためには必要になります。

 

短冊を見る限り、「変化の少ない改定」と予想していましたが、答申の発表により業界を賑わす大きな改定へと変化しました。このほか、在宅に関する報酬の見直し・新設も多くあります。より多くの情報を集め、整理し6月スタートに向けた準備を進めていくことが求められます。

 

【元資料】

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001210969.pdf


筆者:駒形公大(株式会社Kaeマネジメント 代表取締役 / 2025年戦略推進本部長)