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コミュニケーションツールとしてのOTC活用術 - OTC医薬品の効果的な相談と販売による薬局機能向上 -

2024.03.06

2月22日に一般社団法人リードコンファーマ主催、弊社と株式会社グッドサイクルシステムが共催となるオンラインセミナー「コミュニケーションツールとしてのOTC活用術」を開催した。処方箋調剤を主とした薬局でOTC医薬品販売に取り組んでいる鈴木氏より、OTC医薬品販売におけるコミュニケーション例、適切な販売のためのポイント等、現場で役立つ知識の説明がなされた。その内容の一部を紹介する。

 

【セミナー講師と演題】
演題:コミュニケーションツールとしてのOTC活用術 -OTC医薬品の効果的な相談と販売による薬局機能向上-
講師:有限会社ウインファーマ セルフメディケーション推進室 室長
横浜市西区薬剤師会 理事
  鈴木 伸悟氏

【目次】

  1. 最近のOTC医薬品の状況と調剤報酬改定におけるOTC48薬効群について
  2. 解熱鎮痛薬のポイント
  3. 「かぜ薬ください」と来局した方への対応
  4. コミュニケーションの具体例
  5. ただ市販薬を売るだけでなく、適切な受診勧奨を


 1.最近のOTC医薬品の状況と調剤報酬改定におけるOTC48薬効群について

新型コロナウイルス禍を経てOTC医薬品市場が伸びており、新型コロナの5類移行後にも外出機会の増加やインバウンド回復を追い風にOTC医薬品の需要は膨らんでいる。

2024年度調剤報酬改定において地域支援体制加算の算定要件として、48薬効群の品目を取り扱うことが加えられた。現場からは、「ドラッグストアで多数の扱いがある中、薬局に置く必要があるのか」「売れることが見込めない」といったネガティブな声も挙がっている。

48薬効群のカテゴリーごとに1品を形式的に置くだけではロスのリスクが上がるとして、相談が多いカテゴリーは複数品配置して、提案する機会の少ない薬効群は1品のみとする実践的な配置がポイントとなる。また、複数品を選択する際の例として解熱鎮痛薬を2品置く場合は、NSAIDsの単剤とアセトアミノフェン単剤を選択して成分重複を防ぐ。売れ行きをみてカテゴリーに需要があると感じたら、NSAIDsの配合剤や別成分のNSAIDs単剤、子どもが使えるアセトアミノフェン単剤を置くなどラインナップの拡大を検討していくとよい。

2.解熱鎮痛薬のポイント

NSAIDsは抗炎症作用があり解熱鎮痛作用が強く、アセトアミノフェンは抗炎症作用がほとんどないという違いがある。アセトアミノフェンを選択すべきとされる対象は、15歳未満・高齢者・胃が弱い・喘息の既往・腎機能低下・インフルエンザの疑い等があるが、来局者は効果を求めているため、NSAIDsで問題ない場合にはそちらを選ぶことがニーズを満たすことになる。

また、解熱鎮痛薬の「〇〇プレミアム」などの売れ筋商品は、アリルイソプロピルアセチル尿素等の催眠鎮静成分が含まれているものが非常に多く、運転する場合は禁忌である。運転しない場合でも日常生活のパフォーマンス低下につながる恐れがあるため、大事な試験や会議などが服用後に控えていないか確認すると良い。

3.「かぜ薬ください」と来局した方への対応

来局者がセルフ購入する機会の多い総合感冒薬は、1つの薬で幅広い効能を持つため便利、かつコストも安く済む場合が多い点がメリットである。一方デメリットとしては、症状に対して不要な成分も含まれており、副作用やアレルギーのリスクが増すことだ。

総合感冒薬以外に、個別のOTC医薬品を組み合わせて使用する方法もある。例えば咳と微熱の症状がある場合は、咳止めの単剤と解熱鎮痛薬の単剤を提案する。メリットは、不要な成分の服用を控えることが可能で、熱が下がったタイミングで解熱鎮痛薬は服用中止するなど調整もできる点。しかし、総合感冒薬よりコストが高くなる場合が多いのがデメリットとなる。来局者自身で選ぶのは難しいため、専門家から提案して選択肢を示すことが大切である。

4.コミュニケーションの具体例

・総合感冒薬
20代の元気そうな女性が総合感冒薬を希望された。つらい症状を確認すると「まだひき始めで少し寒気がする程度」、なおかつ花粉症の薬を服用中であった。抗ヒスタミン成分が重複すること、そもそもかぜ症状が1つだけの場合は総合感冒薬を選ぶ必要性がないことを説明して葛根湯を代わりに提案。かぜ薬の接客では、「特につらい症状はなんですか?」と確認すると適切な提案につながる。

・便秘薬
コーラックを手に取られた女性。症状を伺うと、不規則な生活によりたまたま便秘になっており、初めて便秘薬を使うとのこと。刺激性下剤は作用が強く、連用すると耐性ができやすいため、非刺激性の酸化マグネシウム単剤を販売した。便秘薬では「初めてかどうか」を確認するのがポイント。

・胃薬
胃痛でガスター10を希望された高齢の男性。年齢を伺うと85歳。ガスター10はせん妄を引き起こすリスクがあるため80歳以上は禁忌、65歳以上は相談することとなっている。販売せずに受診勧奨または、高齢者でも服用可能な代替薬の提案が選択肢となる。指名購入でも、服用できない場合があるため注意が必要。

5.ただ市販薬を売るだけでなく、適切な受診勧奨を

薬局はOTC医薬品を売るのが目的ではなく、OTC医薬品を適切に販売して地域住民の役に立つことが求められている。適切な受診勧奨も大切な役割であり、受診勧奨すると来局者は気を遣って何か買わなくてはと思われるが、無理に販売する必要はない。受診後の処方箋を持って薬局に戻ってきてくれることも多々あり、薬局の患者を増やすためにも受診勧奨は重要である。 OTC医薬品はコミュニケーションツールであり、「選んでもらった市販薬が効いた」「自分が飲んではいけない薬を教えてくれた」「処方薬だけでなく市販薬も相談できる」と喜んでもらえると、信頼感が生まれ薬局のリピーターを生むきっかけとなる。

鈴木氏は、薬局政策を取り巻く環境の変化などで今後OTC医薬品はますます注目され、薬局・薬剤師はOTC医薬品の有効活用や適正使用の推進がより求められていくだろうと考えを述べた。そして、OTC医薬品販売のために必要なスキルを高め、セルフメディケーションを提供できる体制の充実を目指そうと呼びかけて、セミナーを締め括った。

 

レポート作成:株式会社エニイクリエイティブ MIL編集部


講演で述べられているように、薬局には地域生活者への健康支援の役割が期待されており。OTC医薬品の提供を軸とするセルフメディケーション支援もますます重要になってきます。 弊社ではレセコンと接続対応するPOSレジシステムなど、OTC販売をサポートする製品も取りそろえております。各薬局様に合わせた最適な運営をお手伝いしますので、ぜひご相談下さい。

《EM-AVALON編集部より》

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