• 調剤
  • #薬局経営
  • #改定情報

令和6年度調剤報酬改定からこれからの薬局づくりを考える |  第5回「調剤報酬改定への対応の方向性を考える」

2024.03.12

波乱となった令和6年度調剤報酬改定ですが、6月に向けた対応の方向性を考えなくてはいけません。
見直しとなった項目、新設された項目の内容から薬局の状況に合わせて優先順位をつけ、行動を起こす必要があります。
本改定は「外来を主体とする薬局」「在宅を主体とする薬局」で対応すべき項目が少し変わってきますので解説をしたいと思います。

【目次】

  1. 全薬局対応必須の「連携強化加算」「医療DX推進体制整備加算」
  2. 「外来を主体とする薬局」は地域支援体制加算に“全集中”
  3. 「在宅を主体とする薬局」は在宅薬学総合体制加算2に挑戦

1.全薬局対応必須の「連携強化加算」「医療DX推進体制整備加算」

地域支援体制加算の引下げ(▲7点)に注目が集まります。その対応として「連携強化加算(2点→5点」「医療DX推進体制整備加算(4点)」の取組が求められます。すでに連携強化加算を取得している薬局では「+3点」となり、両加算の取得で「+7点」となります。基本料の増加分(+3点)は処遇改善への財源として考えると、この加算に取り組まなければいけないことは言うまでもないです。地域支援体制加算の届出がない薬局に関しては、本改定により「地域支援体制加算の届出」要件が削除されたことで「+5点」、医療DXと併せると「+12点」となります。ほぼ全ての処方箋に対して加算されるため、経営への影響は大きいと言えます。


(※)医療DX推進体制整備加算は月1回に限り算定




2.「外来を主体とする薬局」は地域支援体制加算に“全集中”

前回のコラムで令和6年度改定は「在宅改定」だとお伝えしました。外来の処方箋を主とする薬局にとって目新しい報酬は「特定薬剤管理指導加算3」の新設に止まります。優先すべき新設報酬がないということは、既存の報酬に対してどれだけ取り組めるのかということが優先になります。地域支援体制加算は減額の他、見直しにより加算1・2と共に求められる実績項目が増加しています。実績回数の緩和により多少ハードルが下がったものの加算2(40点)から加算1(32点)に届出を変更する薬局も多いのではと思います。そうなると減算は「▲7点」から「▲15点」(旧報酬47点)となり、先に述べた2つの基本料加算では補填することが困難です。だからこそ、地域支援体制加算に求められる対人業務を優先的に取り組む必要があります。一方、現在届出の無い薬局は加算1を届け出ることで「+41点」という伸びしろを持っています。




3.「在宅を主体とする薬局」は在宅薬学総合体制加算2に挑戦

近年在宅を主体とする「在宅専門薬局」も多く登場しています。そのような薬局は新設された「在宅薬学総合体制加算2」(50点)の届出に挑戦です。在宅患者調剤加算の後継報酬なので、加算の対象は「在宅の処方箋」と限定されます。外来メインの薬局は在宅処方箋の比率が低く、求められる施設基準をクリアするための投資との兼ね合いが必要になります。在宅メインの薬局は対象処方箋が多く、従来の在宅患者調剤加算(15点)から「+35点」となります。月間100名かつ月2回の在宅処方箋と仮定した場合、月間7万円の増加となります。無菌調剤処理を行える体制が要件に含まれますが、導入後に運用されるかどうかは置いておき十二分に投資は回収できます。在宅薬学総合体制加算2の取得を機に、より一層の高度在宅への取組という方向性が見えてきます。

調剤報酬改定への対応は個々の薬局の状況に応じて異なります。目指すべき地域支援体制加算の対人業務も同様です。薬局として幅広い処方箋・患者に対応することは大前提ではありますが、個々の薬局の状況をよく分析し対応すべき優先順位をつけていくことが重要です。




【元資料】
2024年3月5日告示「別添三(調剤点数表)」に基づいて作成


筆者:駒形公大(株式会社Kaeマネジメント 代表取締役 / 2025年戦略推進本部長)