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令和6年度診療報酬改定における医療DXの評価

2024.03.21

 3月5日に令和6年度診療報酬改定の告示が行われました。告示によって、ひとまず改定内容が確定されたことになります。令和6年度改定では広範にわたり、医療DXに関する評価が行われています。そこで、今回は医療DXの評価について解説します。

【目次】

  1. Point1: 医療情報・システム基盤整備体制充実加算の見直し
  2. Point2: 医療DX推進体制整備加算の新設
  3. Point3: 在宅医療DX情報活用加算の新設
  4. Point4: まとめ


●Point1: 医療情報・システム基盤整備体制充実加算の見直し


【医療情報取得加算】
初診時
・医療情報取得加算1(オン資以外)   3点
・医療情報取得加算2(オン資)     1点
再診時(3月に1回に限り算定)
・医療情報取得加算3(オン資以外) 2点
・医療情報取得加算4(オン資)   1点


算定に当たっては、オンライン資格確認により当該患者に係る診療情報を取得等した場合と他の保険医療機関から当該患者に係る診療情報の提供を受けた場合とされています。なお、施設基準については、①オンライン請求、②オンライン資格確認の体制が求められるとともに、「オンライン資格確認を行う体制を有していること、当該保険医療機関を受診した患者に対し、受診歴、薬剤情報、特定健診情報その他必要な診療情報を取得・活用して診療を行うこと」といった内容を院内掲示並びにウェブサイトでの掲示が必要となります。

●Point2: 医療DX推進体制整備加算の新設

 厚労省は、さらにオンライン資格確認により取得した診療情報・薬剤情報を実際に診療に活用可能な体制を整備し、電子処方箋及び電子カルテ情報共有サービスを導入し、質の高い医療を提供するため医療DXに対応する体制を確保している場合の評価として、「医療DX推進体制整備加算」を新設しています。

(新)医療DX推進体制整備加算 8点

 算定に当たっては、医療DX推進に係る体制として別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関を受診した患者に対して初診を行った場合、月1回に限り8点を所定点数に加算するとしています。
定点数に加算するとしています。 施設基準は以下の通りです。

(1)オンライン請求を行っていること。
(2)オンライン資格確認を行う体制を有していること。
(3)医師が、電子資格確認を利用して取得した診療情報を、診療を行う診察室、手術室又は処置室等において、
   閲覧又は活用できる体制を有していること。
(4)電子処方箋を発行する体制を有していること(経過措置令和7年3月31日まで)。
(5)電子カルテ情報共有サービスを活用できる体制を有していること(経過措置令和7年9月30日まで)。
(6)マイナンバーカードの健康保険証利用の使用について、実績を一定程度有していること。
   (令和6年10月1日から適用)
(7)医療DX推進の体制に関する事項及び質の高い診療を実施するための十分な情報を取得し、及び活用して
   診療を行うことについて、当該保険医療機関の見やすい場所及びウェブサイト等に掲示していること。

●Point3:在宅医療DX情報活用加算の新設

在宅医療においても、居宅同意取得型のオンライン資格確認等システム(2024年6月開始予定)、電子処方箋、電子カルテ情報共有サービスによるオンライン資格確認により、在宅医療における診療計画の作成において取得された患者の診療情報や薬剤情報を活用することで質の高い在宅医療を提供した場合について、「在宅医療DX情報活用加算」が新設されます。

(新)在宅医療DX情報活用加算 10点

算定要件は、別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関において電子資格確認等により得られる情報を踏まえて計画的な医学管理の下に、訪問して診療を行った場合に、月1回加算するとしています。ただし、医療情報取得加算及び医療DX推進体制整備加算等との併算定はできないとしています。
施設基準については以下の通りです。

(1)オンライン請求を行っていること。
(2)オンライン資格確認を行う体制を有していること。
(3)(医科)電子処方箋を発行する体制を有していること(経過措置令和7年3月31日まで)。
(4)電子カルテ情報共有サービスを活用できる体制を有していること(経過措置令和7年9月30日まで)。
(5)(2)の体制に関する事項及び質の高い診療を実施するための十分な情報を取得し、及び活用して
   診療を行うことについて、当該保険医療機関の見やすい場所に掲示していること。
(6)(5)の掲示事項について、原則としてウェブサイトに掲示していること。

●まとめ

厚生労働省は、医療DX政策として、オンライン資格確認については、2023年4月に医療機関における整備を義務化することで普及が進みました。一方で、2023年1月から始まっている電子処方箋については、あまり普及が進んでいない現状もあり、普及を進めるために新たな評価を新設しています。さらに、2024年から開始される電子カルテ情報共有サービスの普及についても、サービス開始前にもかかわらず点数に織り込まれたことになります。

(出典)令和6年度診療報酬改定の概要(医科全体版)(2024/3/5 厚労省)