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令和6年度診療報酬改定 疑義解釈①

2024.04.12

 3月28日に令和6年度診療報酬改定の「疑義解釈のその①」が通知されました。
疑義解釈は、改定内容の不明点を医療機関から募り、それに対して解釈を明らかにするものです。
今後、随時通知されていきます。
今回提示された疑義解釈の①の中から、クリニックに重要なものを選んで解説します。

【目次】

  1. 医療DX推進体制整備加算
  2. 生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ)
  3. リフィル処方箋
  4. ベースアップ評価料

1.医療DX推進体制整備加算

  令和6年度改定において、医療DXに対応する体制を確保している場合の評価として、
「医療DX推進体制整備加算」が新設されました。
その際、施設基準として
とされましたが、具体的な内容について、
と解釈を示しており、明確に電子カルテシステムが提示されています。

 また、同じく施設基準において、「マイナ保険証を促進する等、医療DXを通じて質の高い医療を提供できるよう取り組んでいる」については、具体的にどのような取組を行い、また、どのような掲示を行えばよいかという問いに対しては、保険医療機関において「マイナ保険証をお出しください」等、マイナ保険証の提示を求める案内や掲示を行う必要があり、「保険証をお出しください」等、単に従来の保険証の提示のみを求める案内や掲示を行うことは該当しない、としています。

2.生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ)

  見直しが行われた生活習慣病管理料の施設基準において、「患者に対して療養計画書により丁寧に説明を行い、患者の同意を得るとともに、当該計画書に患者の署名を受けた場合に算定できるもの」とされていますが、署名の取扱いについて、「初回については、療養計画書に患者の署名を受けることが必要。ただし、2回目以降については、療養計画書の内容を患者に対して説明した上で、患者が当該内容を十分に理解したことを医師が確認し、その旨を療養計画書に記載した場合については、患者署名を省略して差し支えない」としており、継続的に療養計画書を作成する際は署名を省略できることが明確になっています。

また、「療養計画書の内容について医師による丁寧な説明を実施した上で、薬剤師又は看護職員等の当該説明を行った医師以外のものが追加的な説明を行い、診察室外で患者の署名を受けた場合」算定が可能かという問いに対しては「可能」としており、したがって診察室以外でも、たとえば処置室で看護師が行っても良いことになります。

さらに、「生活習慣病管理料(Ⅰ)及び(Ⅱ)を算定した月において、当該算定日とは別日に、当該保険医療機関において、生活習慣病管理料(Ⅰ)及び(Ⅱ)を算定した患者に対して診療を行った場合に、外来管理加算を算定することは可能か」という問いに対しては、「外来管理加算の算定要件を満たせば可能」としており、別日に別の目的で来院した場合は包括から除外されることと解釈できます。

 一方、「生活習慣病管理料(Ⅰ)及び(Ⅱ)を算定した月において、当該算定日とは別日に、当該保険医療機関において、生活習慣病のために診療を行った場合に、医学管理等、検査、注射及び病理診断の費用は算定可能か」という問いに対しては、「不可」としており、生活習慣病の診療が目的である場合は、別日でも包括は継続となることが分かります。

3.リフィル処方箋

 地域包括診療加算および地域包括診療料、生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ)の施設基準において、「患者の状態に応じ、28日以上の長期の投薬を行うこと又はリフィル処方箋を交付することについて、当該対応が可能であること」について、院内の見やすい場所に掲示していることが求められているが、具体的にどのような内容を掲示すれば良いかという問いに対しては、「医療機関において、患者の状態に応じ、「28日以上の長期の投薬が可能であること、リフィル処方箋を交付することのいずれの対応も可能であることを掲示すること。なお、具体的な掲示内容としてはポスターを活用しても差し支えない」としており、具体的なポスターのイメージが示されています。

4.ベースアップ評価料

  賃上げの対応として「ベースアップ評価料」が新設されました。その際、対象となるスタッフのイメージが示されており、「その他医療に従事する職員(医師及び歯科医師を除く)とは、具体的にどのような職員か」という問いに対して、「医療機関における業務実態として、主として医療に従事しているものを指す。ただし、専ら事務作業(医師事務作業補助者、歯科業務補助者、看護補助者等が医療を専門とする職員の補助として行う事務作業を除く)を行うものは含まれない」と解釈を示しています。これにより、受付やレセプト業務などにのみ従事する事務員は含まれないことが明らかになっています。

また、ベースアップ評価料の賃金改善に伴い増加する「法定福利費等」については、① 健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、児童手当拠出金、雇用保険料、労災保険料等における、賃金改善に応じた増加分(事業者負担分を含む)② 退職手当共済制度等における掛金等が増加する場合の増加分(事業者負担分を含む)と具体的な範囲が示されています。

出典)長期処方・リフィル処方せんについてのポスター<厚労省>
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001236954.pdf



筆者:株式会社EMシステムズ EM-AVALON事務局