• 調剤
  • #改定情報
  • #薬局経営

シリーズ・令和6年度調剤報酬改定からこれからの薬局づくりを考える           第8回「地域支援体制加算等に求められる情報の周知とは」

2024.04.30

 新報酬が始まる6月に向けて申請の準備が始まります。疑義解釈も随時公表され4月・5月は理解を深める時期と言えます。
今回は多く問い合わせを頂いている「地域支援体制加算・連携強化加算・在宅薬学総合体制加算」の3つの報酬に求められる「情報の周知」について解説します。

【目次】

  1. 求められる情報の周知とは
  2. 添付書類が必要な報酬を理解する
  3. 行政機関又は薬剤会等を通じた情報の周知とは


1.求められる情報の周知とは

 まずは前提となる情報の整理をします。各報酬の算定要件については既にご確認をされているかと思います。地域支援体制加算・連携強化加算は報酬の見直しにより「地域の行政機関・薬剤師会等のウェブサイトで広く周知」という施設基準が新設されています。この情報の周知は新設された「在宅薬学総合体制加算」にも付与されています。
この記載は厚生労働省が公表している改定資料(スライド)の各項目のところには記載されず、「薬局の体制に係る情報の周知に関する要件」として補足的に記載されています。
そのため、3月時点では把握しておらず、4月に入り情報を精査していく中で知ったという方も多いと思います。

 地域支援体制加算には「休日・夜間を含む開局時間外でも調剤及び在宅業務に対応出来る体制」、連携強化加算には「災害や新興感染症発生時における対応可能な体制を確保していること」、在宅薬学総合体制加算には「急変時等の開局時間外における在宅業務に対応出来る体制」を周知することが求められています。

出典:令和6年診療報酬改定の概要(調剤)|厚生労働省

 

2.添付書類が必要な報酬を理解する

 施設基準の届出用紙は、3月に発表された改定資料と共に、厚労省ウェブサイトに掲載されていることはご存じでしょうか。
知る人ぞ知るという場所に実は掲載されています。
厚生労働省「令和6年度診療報酬改定」というページの中にある「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(※)という資料が該当します。医科・歯科・調剤に係る全ての事項が記載されているため932ページというボリュームです。調剤報酬に係る届出様式は790ページからスタートします。

 近年申請の簡易化ということで、添付書類の簡略化が進められていますが、一部必要な添付資料がある為、個々の届出様式をきちんと確認する必要があります。

 今回の情報周知に関しては、地域支援体制加算の届出様式の中に「地域の行政機関または地域の薬剤師会から公表されていることが確認できる書類」の添付が求められています。一方で、連携強化加算・在宅薬学総合体制加算については、届出様式に「地域での周知の方法」というチェック項目がありますが、添付する資料は求められていません。

 

3.行政機関又は薬剤会等を通じた情報の周知とは

 施設基準に定められる情報の周知に対し、疑義解釈その1では「薬局機能情報への掲載では情報の周知に該当しない」としていますが具体的な方法などは明記されていません。

ここからは弊社が独自に調べた情報の提供となります。
まず日本薬剤師会より各都道府県薬剤会に対し、情報周知に関するリストを作成・掲載するように依頼が出されています。疑義解釈においても「都道府県単位で集約して周知されていることが望ましい」と記載されており、所属する都道府県薬剤会を中心に動いていきます。その依頼の中には「非会員でも登録できるように」という一文も記載されています。そのような状況下で、4月中旬(原稿作成時)の状況ですが各薬剤師会において進捗状況は様々となっています。

出典:令和6年度診療報酬改定 疑義解釈その2|厚生労働省

  【各薬剤師会による対応の一部】
  ・会員へ案内済み(または案内の予定)
  ・非会員を含めて案内
  ・非会員に対して案内(メール等)は行わないが、ホームページでは受け付ける
  ・非会員に対しては作業費用として有償で対応する
  ・掲載、募集方法について検討中

 個別具体的なご紹介はできませんが、このような状況です。会員薬局についてはどの地域も差がない対応に思われますが、非会員の薬局に対する対応は異なる点が注意です。

 現時点で、ウェブサイトでのみアナウンスをするという場所もありますので、薬剤師会への確認、ウェブサイトの確認は必須となります。すでに掲載に対する申し込みを修了した地域も確認できています。
届出に係ることですので、今後色々と課題が見えてくることが想像できます。

 掲載するリストの更新も年1回という地域もあれば複数回を予定している地域もあります。お伝え出来る情報に限りがありますが、6月から始まる新報酬ですが既に準備は着実に進んでいます。

 

(※)特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて 

 

 

筆者:駒形公大(株式会社Kaeマネジメント 代表取締役 / 2025年戦略推進本部長)