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介護事業所における集客手法最前線
2024.05.17
【目次】
1.介護事業所における集客の課題
法改正から約2カ月が経過しました。医療系のサービスも6月に改正を控え、皆様、お忙しいことと存じます。さて、今回のテーマは集客です。新規開設、施設展開、既存施設の稼働率アップなど、集客はつきものです。各種加算も利用者がいなければ算定できず、経営の大きなテーマになります。特にデイサービスやサービス付き高齢者向け住宅に関して「新型コロナウィルス感染症蔓延時に稼働率が下がり、その後、目標とする水準まで戻ってきていない」という声を聞くこともあります。
本稿と同一テーマを動画での詳細の解説となる無料オンラインセミナー「介護事業所における集客手法最前線」が2024年6月20日に開催されます。どなたでもお気軽に参加いただけますので、是非、お気軽にご参加いただければと思います。
集客をおこなう上でまず重要なことは、自事業所が地域の中で「どのような長所があるか」「どのような役割を担っているか」です。地域には多数の事業所があり、自社の”強み”が明確に伝わっていることが大切です。
介護事業所は介護保険の歴史においても、その求められる機能が少しずつ変化しています。特に近年は科学的介護推進やアウトカム評価の導入等、より質の向上を目指した様々な要素が取り入れられてきました。自立支援や家族支援等、従来より大切にされてきていたことが重要なことに変わりがありませんが、そういった新たな要素に対応できているかも重要になります。
次に、その自事業所の“強み”がわかりやすくPRされているということです。PRとはもちろん「我々は●●な事業所です」ということが地域の中で明確である事も大切ですが、近年は特に、それを支える根拠も重要です。「我々は●●という実績があります」「●●という実績の出ているサービスを取り入れています」「●●という体制を整えて、これまでしっかり受け入れをしてきました」という形で表現できることが大切です。
機能訓練を例にとってみます。デイサービスでいえば、一時期に、半日2回転や機能訓練特化を標ぼうした事業所が開設されました。当初はその目新しさやサービスの有用性もあり、高稼働率で運営されていたことと思います。しかし、その重要性が業界に浸透すると、最近では機能訓練をおこなっていないデイサービスの方が珍しくなりました。この中で継続して、機能訓練特化型デイサービスとして運営するとすれば、よりレベルの高いサービスや根拠、実績が求められるでしょう。または、「歩行に特化」するなど、細分化する必要があるでしょう。
2.“強み”の類型と根拠の考え方
“強み”をいくつかの類型に分けて、どの様な表現が可能なのかを考えてみましょう。
- ①機能訓練
- いずれのサービスにおいても、オーソドックスな強みとなるのが機能訓練です。近年は通常の機能訓練に加えて、一体的サービスの提供や科学的介護、ADL維持等といった要素が付加されてきています。こういった取り組みをおこないながら、実際に利用者の身体機能の維持・改善にアウトカム(結果)を出しているのであれば、それは充分な強みになると言えるでしょう。
実際に、利用者のアウトカムを集計し、それをツールに落とし込んで配布しているという事業所もありますし、一部のソフトではデータがそのままアウトプットできるというケースもあります。取り組んでいることの根拠と成果の見える化が必要になってくるといえるでしょう。介入自体も提案するようなツールも多く発表されているので、自社に合った内容で取り入れるのも良いでしょう。
- ②認知症ケア
認知症ケアに重点を置いている介護施設も増えてきています。今回の介護報酬改定でも、グループホームや特別養護老人ホームにおける認知症チームケア推進加算の創設や、小規模多機能居宅介護における認知症加算の強化がなされ、重点化されている項目になります。認知症関係の加算となると、利用者総数における認知症利用者の割合等が要件となることが多い為、実際にそれを提示することで受け入れ実績の根拠とすることができるでしょう。また、こちらも各種加算の根拠となっていますが、認知症介護実践者研修や認知症介護実践リーダー研修の修了者の人数等も有用でしょう。
また、アウトカム評価は確立されていませんが、Vitarity IndexやDBD13、ICFステージングにおける認知機能の分野等、認知機能に関する指標を測定しその維持等を機能訓練同様アウトプットすることができれば、それも強力な材料となるでしょう。科学的な根拠のあるメソッドやツール等の導入も有効です。根拠の補強にもなりますし、ツールによっては成果をより分かりやすく表現してくれるものもあります。
- ③余暇活動(趣味、レクリェーション等)
上記ばかりではなく、介護施設においてはどの様な時間を過ごすのかということも重要になります。特に入居系サービスの場合などは、よりこちらに力を入れられているという施設も多いかも知れません。
余暇サービス等については実際におこなった実績に加えて、利用者の写真や、手書きのアンケート等をツールに盛り込むと良いでしょう。特に、利用者や家族の声、事例はより強いイメージを抱かせます。また、それに顧客満足度といった統計データのアウトプットを紐づけることができれば、説得力はより一層増すことになります。
他にも、上記に対応した機器の導入やハードの工夫も強みとなります。伝統的なケアの手法と新しいテクノロジーを取り入れたサービスの提供など、技術の進化に併せてケアの進化も必要です。いずれも“強み”に対して根拠を提示し、それがよりデータとして可視化されているものである程、説得力が増していくということにご納得いただけるのではないかと思います。
3.集客ツールに必要な3つの要素
この様に自事業所の“強み”とその根拠が明確になることで、初めて集客活動ができるといっても過言ではありません。これらを明確にした後に、今度はそれを分かりやすく集客ツールに落とし込むということが必要になってきます。ツールには様々な種類があります。近年はSNSに力を入れている企業も多いかと存じます。SNSは使い方によっては有用ではありますが、コストがかかること、集客や短期的な売り上げの向上にはつながりにくいなど、難易度が高い面もあります(SNS広告は除く)。
今回は、使用する機会が最も多いパンフレット(ここではチラシなどの簡易的なもの)について解説していきます。パンフレットを作る時、私たちは必ず3つの要素を入れるようにしています。
- ①キャッチフレーズ
「施設の特長を一言で言うと?」というのがキャッチフレーズになります。こちらは言うまでもなく施設の“強み”を端的に表すものです。最も目立つ場所に配置し、興味を持ってもらうためのトリガーとなります。
- ②こんな方にお勧めです!(対象の明確化)
施設の対象者を分かりやすく具象化したものになります。チェックリスト状にして5~7類型を提示するようにしています。こうすることで、いままさに悩みを抱えられている方に「もしかして自分のためのサービスなのではないか」と感じていただき、興味を喚起することができます。
- ③5つの特長(強みの整理)
施設の特長を複数、写真付きで紹介するようにしています。この部分で、自施設の“強み”とその根拠を提示することになります。コンテンツとしては「①キャッチフレーズ」「②こんな方にお勧めです!」の2つを経由して、興味を持った方が更なる情報を求めて閲覧する箇所となります。そのため、より詳細で信頼や期待につながるような情報を提示していきたい箇所となります。
これらの要素を組み込むことで、情報を届けたい対象に、わかりやすくかつ必要な情報を無事届けることができるツールが完成します。ここまで準備ができて、次に広告の出稿やケアマネジャーへの営業へとつながっていきます。
また、近年はパンフレットの様な神の媒体にQRコードを掲載することで、任意のインターネットページへ誘導することが可能になりました。通常のホームページへはもちろんのこと、SNSや、施設の魅力を伝えるための動画へとアクセスし、紙だけでは伝わり切らない雰囲気を伝えることに成功しているケースもあります。特に強みをわかりやすくまとめた動画は受け手に強い印象を与えるので、PR素材として出来れば用意しておきたいところです。
簡単にではありますが、今回は介護事業所における集客手法について解説しました。ケアマネジャーへの営業等については文字の都合上、解説ができませんでしたが、これら集客活動のより詳しい解説につきましては2024年6月20日に開催されます無料オンラインセミナー「介護事業所における集客手法最前線」にてお届けできればと考えております。ご興味をお持ちの方は、是非、ご参加いただけますと幸いです。