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実際のところ電子カルテにつながるもので何を買ったらよいの?
2024.05.27
【目次】
- Point1: クリニックDXの背景(電子カルテ+アルファの時代)
- Point2: 予約システム
- Point3: Web問診システム
- Point4: 検査・画像ファイリング/院内検査管理システム
- Point5: 自動精算機・キャッシュレス
- Point6: オンライン診療
- Point7: まとめ
Point1: クリニックDXの背景(電子カルテ+アルファの時代)
3年間に渡るコロナ禍の影響で、患者のクリニックに対するニーズは大きく変化しました。たとえば、感染を恐れて長い待ち時間を嫌う患者は、Webやスマホなどから予約を希望するようになりました。また、受付の対応についても、問診をスマホからできないかというニーズも生まれ、診療さえもがオンラインでできないかも考えるようになっています。また、会計についても、時代の移り変わりに伴い、キャッシュレス決済のニーズが増えてきています。
このように、コロナ禍をきっかけに、患者のデジタル化の要望が高まっており、クリニックが対応していくためには電子カルテ+アルファ(周辺システム)の考え方が重要な時代となっています。この「クリニックDX」にいかに対応するかで、格差が生まれつつあるのではないでしょうか。
Point2: 予約システム
電子カルテ+アルファ(周辺システム)の代表格が「予約システム」です。予約システムはクリニックの「待ち時間が長い」という課題に対して、患者集中を分散させることで、来院患者の平準化を目的に導入が進んでいます。予約システムは、「順番管理」「時間予約」「時間帯予約」の3種類があります。
順番管理システムは、銀行の発券システムのように順番を発行し、来院順番でコントロールするシステムです。課題としては、順番前にフライングできてしまったり、順番が来ても来院されなかったりすることがあり、順番通り進まないことへの対策が必要となります。
時間予約システムは、あらかじめ定めた時間に患者を誘導し、来院時間をコントロールするシステムです。患者によって診察時間の増減が多い場合は、患者と約束した時間を守れず、予約したのに待ち時間が発生するという問題が生まれます。
順番管理と時間予約の中間的なシステムとして最近注目が集まっているのが、時間帯予約システムです。あらかじめ定めた時間枠の中で、数人予約をとることで、来院動向をコントロールするシステムです。時間枠が決まっているため、患者が大幅に前後することが少なく、また、時間のズレも枠内の人数調整で吸収できます。
Point3: Web問診システム
コロナ禍でトリアージの観点から普及が進んだのが「Web問診システム」です。Web問診の導入効果として、問診内容が電子カルテに転記できるとともに、事前に問診がとれることで発熱等感染症患者と通常患者のトリアージが可能になります。
Web問診システムの導入に際してポイントとなるのが、入力するタイミングと高齢者への対応です。来院後にWeb問診をする場合は、かえって紙より遅くなるという問題があり、また患者がWeb問診の記入に手間どると、診察室に呼べず、待ち時間となってしまいます。
そこで、事前に予約の時にWeb問診を入力するように仕向ける必要があります。また、やむを得ず当日入力になる場合は、年齢層によって、Webか紙を選択できるようにするとよいでしょう。
Point4: 検査・画像ファイリング/院内検査管理システム
クリニックには、レントゲンや内視鏡、エコーなど様々な医療機器が存在します。これらの医療機器から出力される画像や検査結果は、電子カルテで管理する場合と、別に検査・画像ファイリングを導入する場合があります。
導入に当たっては、どの検査・画像をどのシステムで管理するかを考えてシステムを構築することが必要となります。これは診療科によって異なるために、診療科ごとの特性に応じて使い分ける必要があります。
血液検査(外注)…電子カルテで直接管理する。
血液検査(院内)…院内検査システムで管理する。
X線、エコー、内視鏡…画像ファイリングシステムで管理する。
心電図、聴力検査…画像ファイリングシステムで管理するが、専門のシステムが必要な時もある。
デジカメ…電子カルテで直接管理する。
Point5: 自動精算機・キャッシュレス
2019年頃からわが国で「働き方改革」が始まり、生産性向上が重要になっています。また、東京オリンピックの開催などにより海外渡航者が増え、その影響から自動精算機・キャシュレス決済の普及が進んでいます。この流れは、クリニックにも確実に到来しています。
自動精算機・キャッシュレスを進めることで、スタッフがほとんど現金を取り扱わなくなりため、レジのつり銭が合わないことがなくなります。朝のレジ準備、夜のレジ締めも一瞬にして終わり、人員削減や残業時間の短縮に効果があるとされています。
自動精算機には、セルフレジとセミセルフレジの2種類のタイプがあり、人の配置の有無や、細かな受付対応(返金・一時入金など)が必要かどうかで使い分けられています。また、最近では自動精算機とキャッシュレス決済を同時に導入することが一般的になっています。
Point6: オンライン診療
オンライン診療については、2018年に正式に保険診療で対応が可能となり、その後2020年4月に新型コロナの影響からオンライン診療・服薬指導は時限的に初診から可能になり、2022年4月にオンライン診療・服薬指導が恒常化されました。
しかしながら、多くのクリニックでオンライン診療システムを導入したものの、利用が進まないという問題が出たり、オンライン診療のシステム操作に戸惑う患者により、通常診療の妨げになってしまったりなど問題はまだあり、爆発的な普及には今一歩という状況が続いています。
オンライン診療をスムーズに進めるためには、利用シーンを限定するなどの工夫が必要です。例えば、オンライン診療を継続受診、検査結果説明、感染症患者の相談などに限定するなどの方法です。また、オンライン診療の一時対応を、外来と同じように看護師・受付にお願いし、医師の対応を減らすことも大切です。
Point7: まとめ
クリニックのデジタル化は、かつての電子カルテ中心から、電子カルテ+アルファ(周辺システム)の時代へと変容を遂げています。電子カルテおよび画像ファイリングを基幹システムと位置付け、3密対策(患者対応)として、予約システムやWeb問診の導入を、業務効率化として自動精算機・キャッシュレス決済の導入が進みました。そのため、電子カルテにつながるシステムとの連携がシステム構築のポイントとなっているのです。
システムを構築するうえで重要なのは、システムに対して期待する効果をあらかじめ明確にしておくことです。システムの導入が目的ではなく、システムを導入することで得られる業務効率化に主眼を置くべきでしょう。
最後に、医療DXは、ヒトから単純・定型業務を奪い、本当に大切な患者満足を高める業務に集中する環境を作ることであることを忘れないでください。
著者作図
筆者:株式会社EMシステムズ EM-AVALON事務局
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