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グループホーム(共同生活援助)令和7年度から義務化! 地域連携推進会議とは?

2024.06.24

 

令和6年4月の障害福祉サービス等報酬改定により、グループホーム(共同生活援助)に“地域連携推進会議”の定期的な開催を義務付けられました。

令和6年度は経過措置期間となりましたが、1年後の令和7年度から義務化されます。

今回は、義務化される“地域連携推進会議についてお伝えします。


 

【目次】

  1. 報酬改定で義務付けられたことは
  2. 地域連携推進会議とは
  3. 地域連携推進会議の開催とは
  4. 地域連携推進会議開催以外にすること
  5. 今後に向けて実施することは

 


1.報酬改定で義務付けられたことは

運営基準において、「各事業所に“地域連携推進会議”を設置して、地域の関係者を含む外部の目(又は第三者による評価)を定期的に入れる取組を義務付ける。ただし、令和6年度までは経過措置として、事業者の努力義務務付ける。(施設入所支援も同様)」と定められました。

厚生労働省は、事業運営の透明性を高め、支援の質の担保・向上につなげたいと考えられていることから、新設された項目です。

現在、地域連携推進会議の開催ができていないことによる罰則は設けられていません。

 

≪具体的に義務付けされたこと≫

①利用者及びその家族、地域住民の代表者、共同生活援助について知見を有する者並びに市町村の担当者等により構成される地域連携推進会議を開催し、おおむね1年に1回以上、運営状況を報告するとともに、必要な要望、助言等を聴く機会を設けなければならない。
②会議の開催のほか、おおむね1年に1回以上、会議の構成員が事業所を見学する機会を設けなければならない。
③①の報告、要望、助言等についての記録を作成し、これを公表する。

 ※外部の者による評価及び当該評価の実施状況の公表又はこれに準ずる措置として都道府県知事が定めるものを講じている場合には、適用しない。
 ※日中サービス支援型における協議会への報告義務は、これまでと同様。
 ※上記規定は、令和6年度から努力義務化、令和7年度から義務化。

 

2.地域連携推進会議とは

域連携推進会議は、施設等と地域が連携することにより、4つの目的を達成するための会議体です。

① 利用者と地域との関係づくり
② 地域の人への施設等や利用者に関する理解の促進
③ 施設等やサービスの透明性・質の確保
④ 利用者の権利擁護

出典:(資料2)地域連携推進会議の手引き(別冊)資料編|大阪府福祉部

地域連携推進会議の構成員は、利用者、利用者家族、地域の関係者、福祉に知見のある人、経営に知見のある人、施設等所在地の市町村担当者などを想定されています

有意義な意見交換ができる人数として、5名程度が望ましいです。

構成員には、利用者、利用者家族、地域の関係者は必ず選出することが必要です。

 

出典:(資料2)地域連携推進会議の手引き(別冊)資料編|大阪府福祉部

下記に必ず選出が必要な構成員についてお伝えします。

(1)利用者
意思表示が出来ない利用者の場合には、成年後見人や家族に代理してもらう等の工夫が必要です。また、代理人だけでなく利用者本人にも会議に参加いただくなど、できる限り利用者の意思を汲み取ることができる対応が望ましいです。

(2)利用者家族
構成員に選出する家族は、多様な視点を入れるため、利用者とは別の利用者の家族であることが望ましいです。なお、利用者家族が施設等の近隣にいない、利用者や施設等と家族との関係が良好でないなど、利用者家族の参加が難しい場合も想定されます。そういった場合は、成年後見人、利用者家族と関わりのある支援者、家族会の会員など、利用者家族の代弁者となり得る立場の方に参加いただくことが望ましいです。

(3)地域の関係者
地域の関係者は、例えば、自治会・町内会などの地域団体の方、民生委員、商店街の方、学校関係者、地域で活動している NPO 法人、地域の障害当事者などが想定されます。
なお施設の近隣の住民を選出することも可能です。

 

3.地域連携推進会議の開催とは

最低でも施設等内での会議を年1回以上施設等への訪問を年1回以上実施することが必要です。ただしグループホーム外の会議室等で開催することも可能です。

また、会議は対面実施、訪問は施設等への現地訪問を原則としつつ、構成員の都合等によりオンラインで行うことも可能です。

 

会議の設置は、指定を受けた事業所単位となりますが、複数の共同生活住居を設置している場合には、その共同生活住居ごとに年1回以上、地域連携推進員が訪問する機会を提供する必要があります。

 

出典:地域連携推進会議の手引き|大阪府

会議の議題は、目的を達成するための議題を設定することが必要です。また施設等側からの一方的な報告にならないよう、構成員と双方向で意見交換できる議題が望ましいです。

例えば、施設等からは、利用者の日常の生活の様子、地域の関係者に対する障害の理解促進、職員の支援の様子、施設等の運営状況(収支、実費精算など)、施設等の行事案内、BCPの策定状況などを報告し、また地域の関係者からは地域事情、地域のイベント・行事等の情報を共有し、参加を促してもらうことで双方向の理解につながります。

また地域連携推進員からも、施設等を訪問した際に受けた印象や気付いた点等について報告してもらい、 施設等の運営上の工夫や改善点等について意見交換する時間を設けることも有益です。

 

4.地域連携推進会議開催以外にすること

会議開催後は、速やかに地域連携推進会議で施設等が行った報告、構成員から受けた要望、助言等についての議事録を作成することが必要です。作成した議事録は、参加した構成員に内容を確認していただくことが必要です。

その後、議事録を公表する必要があります。ホームページや広報誌への掲載、事業所内への掲示など、多くの方が閲覧可能となるよう広く公表します。

また、障害福祉サービス事業所は、「障害福祉サービス等情報検索」に情報を掲載しています。将来的には、地域連携推進会議の議事録についても、「障害福祉サービス等情報検索」に掲載することが求められる可能性も考えられます。

 

5.今後に向けて実施することは

地域連携推進会議の構成員の決定、開催場所、見学訪問の方法、議題内容、公表方法、開催に向けた書類整理など令和6年度中に準備することは多くあります。

令和7年度から義務化ですが、義務化のタイミングから開始する前に今年度中に試験的に実施してみることがおすすめです。

また支援の質の確保に向けて、令和5年末に“食材料費の取扱い等について”通知があったことから、実費精算の対応がされているか、法人の経営状況はどうか、職員の教育体制などについてなど、どのような内容の質問が構成員からあるか予測できません。

様々な質問に備え、今年度中に透明性の高い事業所運営へ進めていくことが望ましいです。

 

 

参考通知:

事 務 連 絡 令和5年10月20日厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部
令 和 6 年 2 月 6 日障 害 福 祉 サ ー ビ ス 等 報 酬 改 定 検 討 チ ー ム
令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容
令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要
大阪府福祉部障がい福祉室生活基盤推進課指定・指導グループ 地域連携推進会議の手引きについて

 

 

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筆者:日本クレアス税理士法人

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