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電子カルテ運用のポイント ~⑳遠隔画像診断~
2024.07.11
ICTの発展や地域の医療提供体制、医療ニーズの変化に伴い、遠隔医療は近年需要が高まっており、医療従事者の働き方改革にも寄与すると期待されています。
厚労省は適正な推進の為、「オンライン診療その他の遠隔医療の推進に向けた基本方針」を策定しました。また、2024年3月に日本医学放射線学会は「保険診療における遠隔画像診断の管理に関する指針」を示しました。
本稿では、クリニックや病院からご質問が増えている「遠隔画像診断」の算定ポイントやカルテ記載を送信側医療機関の視点でお伝えしたいと思います。
○放射線画像検査を実施してその検査画像を含む診療に関する情報を送る「送信側」と、それに基づき画像診断を行う「受信側」の両者で構成 ○「送信側」…放射線画像検査を実施し、その読影・診断等を外部に依頼する医療機関 |
【目次】
1.Point1: 施設基準
送受信側双方「遠隔画像診断」の届出が必要
受信側医療機関は「画像診断管理加算」の届出が必要
遠隔画像診断の送信側は、自院において画像診断管理加算の届出が困難な医療機関に対する項目です。遠隔画像診断の施設基準を整え、満たすことで、遠隔画像診断の届出が可能です。
「遠隔画像診断」施設基準 届出様式34又は様式35
〇送信側
以下の全てを満たす。
ア 画像の撮影及び送受信を行うにつき十分な装置・機器を有し、受信側の保険医療機関以外の施設へ読影又は診断を委託していない。
イ 関係学会の定める指針※に基づく画像診断管理を行っていることが望ましい。
※日本医学放射線学会「保険診療における遠隔画像診断の管理に関する指針」
〇受信側
以下の全てを満たす。
歯科診療の画像診断は、歯科画像診断管理加算の要件を満たせば足りる。
ア 画像診断管理加算1、2、3又は4に関する施設基準を満たす。
イ 特定機能病院、臨床研修指定病院、へき地医療拠点病院又は基本診療料の施設基準等別表
第6の2に規定する地域に所在する病院である。
ウ 送信側施設基準のイと同様。
「遠隔画像診断」の施設基準については告示をご参照下さい。
2.Point2: 算定のポイント
送信側が診療報酬を算定。
撮影料 + 診断料 + 画像診断管理加算
※受信側が届出ている画像診断管理加算を送信側が算定
月の最初の診断日に算定。
受信側の請求
診断料等に係る費用は、受信側、送信側の医療機関間での合議に委ねる。
夜間や休日に撮影した画像は、受信側の専ら画像診断を担当する医師が自宅等の保険医療機関以外で
読影及び診断、当該患者の担当医に結果を文書で報告した場合も可能。
その際、送受信にあたり、安全管理を確実に行った上で、十分な装置・機器を用いる。
3.Point3: カルテ記録
〇送信側
遠隔画像診断を依頼した旨を記載
報告された文書またはその写しを添付
担当医から患者へ説明した記録を記載
※別途 CT、血管造影、核医学診療の場合
診療用放射線に係る安全管理体制に関するガイドラインには、検査前の説明内容と同意を得た旨、
救命等やむを得ず実施前説明ができない場合は、その旨をカルテ等に記録するよう記載があります。)
参考
〇受信側の画像診断
診断内容を十分に記載
実施の必要性、結果、評価を記載
画像診断管理加算を算定の場合は、報告文書又は写しを添付
4.Point4: 厚労省 保険診療確認事項リスト
(請求の誤りが起きやすく、個別指導の指摘の機会が比較的多い事項)
https://www.mhlw.go.jp/content/001113814.pdf
○画像診断(単純X線・CT・MRI・シンチグラム・PET等)
次の不適切な実施例が認められたので改める。
・結果が診療に反映されていない、段階を踏んでいない、重複とみなされる
・必要以上に実施回数が多い、研究の目的をもって行われた
○画像診断管理加算
地方厚生(支)局長に届け出た専ら画像診断を担当する常勤の医師が読影及び診断した結果を、文書により当該患者の担当医に報告していない。
(画像診断管理加算1は、地方厚生(支)局長に届け出た)専ら画像診断を担当する常勤医以外の医師が読影及び診断。
報告文書又はその写しについて診療録への添付がない。
遠隔画像診断においては、事前に医療機関間及びシステムやサービス提供ベンダとの協議が重要となります。システム導入にあたり、厚労省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を遵守し、総務省・経済産業省「医療情報を取り扱う情報システム・サービスの提供事業者における安全管理ガイドライン」に基づき導入ベンダからリスクアセスメントの結果を提出することが必要です。
参照: オンライン診療について Ⅱ 遠隔医療の基本方針等の参考資料 | 厚生労働省