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メンタルヘルスを理解して健康な職場、離職率の低い職場を作ろう!
2024.07.22
今日のテーマは「健康が経営に与える影響」になります。経済産業省でも、社員が健康であると業績が上がることが公表され、今注目の領域です。健康が業績に繋がる仕組み、現場で使えるメンタルヘルスについて、理解をしましょう。
このコラムを読むと 健康度が経営にもたらす流れを理解できます。また、明日からできる具体的なことも学べます。 |
【目次】
1.健康度と経営
社員が健康であると、経営にどのような影響を与えるのか経済産業省のまとめ資料で確認してみましょう。
上図の上段にあるように、心身が健康であると、疾患リスクが減り、事故・労災リスク減少や生産性損失が減ります。結果的に病欠が減りますから、企業業績向上につながりやすくなります。逆に、疾患を患うと例外なく、仕事へマイナスの影響をもたらします。
次に、組織は人が作りますから、人の健康度が高まれば仕事満足度の上昇や離職率低減につながり、会社の価値が高まります。
特に薬局は、機械化が進むとしても、対人業務は多くの経験や知識を備えた薬剤師が活躍するのは眼に見えているため、人の健康度を高め、定着率の高い職場づくりは急務です。
経営のコツ 薬局の経営資源で一番大事な「人(特に薬剤師)」の原動力になるのは、当たり前に生活や仕事ができる健康力です。会社としては、社員が病気にならないように「心理的(主観的健康感、生活満足度、仕事満足度、ストレス)リスクが下がる」、「生活習慣(喫煙習慣、飲酒習慣、運動習慣、睡眠休養)リスクが下がる」、「生物学的(血圧、血中脂質、肥満、血糖値、既往歴)リスクが下がる」ことが必要です。
会社ができる具体的な事例を述べますのでご参考にしてみてください。
特に、健診は100%受けてもらうことが初めの一歩です。また、「要医療」となる場合は、個別に会社から受診勧奨をすると、社員が病気を放置するリスクが減りますので、劇的に会社の健康度は上昇します。
また、敷地内禁煙は地域支援体制加算でも必要な要件となりましたので、同時対応で進めていくと良いのではないでしょうか。 |
2.メンタルヘルス(ストレスとの向き合い方)の基本
健康にするためには、健康診断の活用など色々な方向性で調整をする必要がありますが、離職率と関わりのある薬剤師業務について見ていきます。
①職業的な要素
2020年に薬剤師と離職要因についてまとめた論文がツルハドラッグから発表されています。
また、この論文では、薬剤師が離職率に影響を与えているのは、インシデント(調剤過誤等)が挙げられています。
(出典:https://www.jstage.jst.go.jp/article/yakkyoku/12/2/12_nt.2019-1914/_pdf/-char/ja)
インシデントが発生することに、自分の責任を感じ、離職に繋がるパターンがあるのかもしれません。一つの要素として、インシデントを減らす仕組みや、インシデントの心理的な負担を減らすために上司や同僚からのサポートを意識するのが良いと思われます。
➁ストレスの正体を知る
著者作図
図の見方ですが、縦軸は仕事の生産性、横軸はストレスの強度です。過剰ストレス、過小ストレスの両方で、仕事の生産性が下がるため、適切なストレスレベルを見極める必要があります。過剰ストレスは、生産性を下げるだけでなく過労疾病状態になり、離職に繋がります。逆に過小ストレスになると、倦怠・意欲低下になり、マンネリ化を起こしてしまいます。そのため、適正なストレスを社員にかけることが、会社としての必要であるとなります。
なお、横軸の数値(ストレスの強度)はストレス耐性がそれぞれ違うため、一人一人に合う適正なストレス状態をみていくことが重要になります。
経営のコツ(適正なストレスの見つけ方) 上図の活力が最大値になるレベルを見極めるコツを紹介します。 基本的には、ある程度社員にストレス(仕事上のプレッシャー、期待)はかけてください。パワハラ、セクハラ、コンプライアンス違反はもっての外ですが、上司の役割は、仕事上のストレスをメンバーにかけるのは必ずするべきことです。このストレスが、上図にある活力を生むことになります。 しかし、ストレスをかけ過ぎると過剰ストレスで、過労疾病状態に陥るので、適正・過剰ストレスの見極めがポイントになります。 ストレスの適正・過剰を見極めるポイントをいくつか紹介します。 ・集中力低下 このようなシグナルが複数でてくる場合は、過剰ストレスですから面談機会を増やし、業務サポートを強化していきましょう。
なお、メンバーのシグナルに気づくには、通常と違う様子を見つけることが大切です。 |
これからの日本は労働人口が更に減ってきますから、生産性高く離職率の低い薬局を作っていくことが求められて生きます。社員の健康状態を高めることは社員の幸福度を高め、職場にも活力を生むことに繋がります。また、適切なストレスをメンバーに提供することは、メンバーの仕事上のやりがいを提供することになります。健康な組織作りにこのコラムがお役に立てれば幸いです。
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筆者:鈴木 素邦
1980年生まれ、千葉県出身。薬学部卒業と同時に薬剤師免許取得。新卒で薬剤師国家試験対策予備校の薬学ゼミナールへ就職。主に、「疾病と治療」を担当する講師として、東京大学など全国32大学の出張講義で教壇に立ち、大手企業製薬企業20社以上から研修依頼なども受け、短時間でわかりやすく伝わる話し方で人気を集める。27歳で管理職に昇進。マネジャー職に苦戦するも在職中に経営学修士(MBA)取得で業績が大きく向上。薬剤師合格率(20部署中)1位を予備校始まって以来初の3年連続達成。営業成績も20部署中1位達成。3万人以上の薬剤師を世に送り出す。家業事業承継の関係でやむなく薬学ゼミナールを退職し、3代目不動産会社社長に就任。
新規事業として、薬局薬剤師の経験を経て、専門部署を持てない中小薬局専門のコンサルティング会社を立ち上げ、「お客様の思いをカタチに」をモットーに中小薬局経営者の右腕になれる存在を目指している。特に、ゼロからの地域支援体制加算の算定は、1店舗経営からも喜ばれるサポートとして好評。
書籍:その1錠が寿命を縮める薬の裏側
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