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訪問介護サービス業界でのDX革命 〜業務効率が驚異の20%向上!今すぐ実践できる5つの戦略~

2024.08.19

 

【目次】

  1. 介護報酬における生産性向上と訪問サービス
  2. ガイドラインに基づいた生産性向上の取り組み
  3. 訪問サービスにおけるDX化を推進するための考え方

 


1.介護報酬における生産性向上と訪問サービス

令和6年度介護報酬改定において訪問介護の基本報酬が減算となったことは大きな話題となりました。物価高騰等が介護事業所の経営を圧迫している環境で、サービス全体では基本報酬が微増となる中で、訪問介護は減算となってしまったためです。これは、処遇改善加算の一本化による加算率の実質的な引き上げという背景があってのことではありましたが、業界全体で広く驚きをもって迎えられました。

近年、訪問介護の運営を巡る状況は厳しくなっています。その最たるものは人材確保の困難さでしょう。最新の「令和5年度介護労働実態調査」における「事業所における介護労働実態調査 結果報告書」「8.従業員の過不足状況」によると、訪問介護員の不足感(「やや不足」以上の回答をした事業所の割合)は直近の5年連続して80%を超えており、事業所全体では60%前半を推移しているのと比べてもひと際人材がひっ迫しているサービス業種であるといえるでしょう。[]

「従業員の過不足状況」[ⅰ]

 

介護報酬が減算となり、人材に対するコスト等も増大している中で、訪問介護事業所ではより業務を効率的におこなうことでコストを軽減することと、より働きやすい環境を整備し定着率を向上させることがとても重要な課題となっています。介護サービス全体においては、生産性向上というテーマで語られるものとなります。本稿では、そのための手段としての、訪問介護事業所におけるDX化について解説していきます。

本稿と同一テーマでより詳細な解説をお届けする無料オンラインセミナー「訪問介護サービス業界でのDX革命〜業務効率が驚異の20%向上!今すぐ実践できる5つの戦略~」2024年8月29日に開催されます。どなたでもお気軽に参加いただけますので、是非、お気軽にご参加いただければと思います。

 

2.ガイドラインに基づいた生産性向上の取り組み

訪問介護事業所においては直接的な関連はない事項となりますが、一部サービスにおいては生産性向上の取り組みに関する委員会の開催が義務付けられました。また、その中で「介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン(以下、ガイドライン)」を活用した改善活動をおこなうことを評価する加算も創設されました。[]

このガイドラインには、介護事業所における生産性向上を実現するための活動の手法や事例等が提示されています。基本的には、このガイドラインに沿った流れで取り組みを進めていくことになります。

ただ、訪問介護において注意したいのは、他サービスと運用の仕方が異なる点があるというところです。例えば、ガイドラインでは事業所全体(全職員)のタイムスケジュールを見える化し、業務全体のオペレーションを見直すという工程があります。

「職員の測定結果の集計を行おう」[ⅱ]

 

これは施設等、事業所全体でのタイムスケジュールが事業所運営と直結しているサービスの場合は非常に有効な調査となりますが、訪問介護においては訪問スケジュールがそのままタイムスケジュールとなりますので、よほどのことが無い限り見直しを通じて大きな改善につながることが期待しにくいです。

訪問介護の場合は、どちらかというと「課題把握シート・課題分析シート」を活用した調査の方が有効となるでしょう。これは職員の方の感じている課題を抽出するためのツールとなります。

「課題把握シート」[ⅱ]

 

これらを用いて職員の課題意識を抽出し、その対応を検討していきます。

大切なことは、こういった調査をおこない分析・解決案を議論するためのチームが必要になるという点です。プロジェクトチームを立ち上げて業務改善をおこなうための体制を整え、改善活動に着手するというところまでが、初期のステップといえるでしょう。

 

3.訪問サービスにおけるDX化を推進するための考え方

DX化を目指す上で重要なのは、これまでの取り組みを通じてプロジェクトチームを立ち上げ、生産性向上を推進するための体制が安定して動き出すような状態になることです。こうなってはじめてICTの導入等についても検討を進めることができるようになります。

訪問介護の場合、例えばパワードスーツやリフトの様な一部介護ロボットの導入等については使用することがないでしょう。DX化に資するものが限られている分、導入の可否について精査・議論をおこなうとともに、登録ヘルパーも含めて正しい運用が浸透するための工夫なども考えなければなりません。

例えば、訪問介護において導入が想定される機器等には以下のようなものがあります。

 

①記録ソフト

最も効果が期待できるのは記録ソフトおよびその媒体となるのではないでしょうか。特に、訪問介護では遠隔勤務や直行直帰の勤務が多くなることから、記録等をよりスムーズに間違いなくおこなうことのできる体制を構築していきたいところです。媒体の使用についてのリテラシーが職員によって異なることや、利用のルール等が浸透していない場合、混乱が生じるケースもあるため注意が必要です。

 

②ビジネスSNS

次に効果的なのは、ビジネスSNSの活用になるでしょう。これは記録だけでなく、訪問介護員間やサービス提供責任者との間での情報共有をよりスムーズにおこなうことを目指したものとなります。従来は電話対応のみで時間がかかり、共有できる内容も差異があったところ、そういった弊害を排除してより業務をスムーズにすることが期待できます。ただ、利用ルール設定についてはより重要性が増していくでしょう。

 

③訪問ルート作成AI

近年では、より効率的な訪問ルートを提案するためのAIサービス等も登場してきています。実際自事業所で活用可能か、デモをおこなう等、チャレンジをしてみることから開始することとなります。

 

以上、ごく一部ではございますが、例示させていただきました。上記の様に、訪問介護の業務に直接的に関係してくるICT機器等の導入は、当初お伝えしたDX化の目的に合致したものとなります。これに限らず、成果が見込めそうな機器等については、積極的に検討を進めていきたいところです。それと同時に、運用方法を検討する議論がしっかりとおこなえる体制を作ることも重要でしょう。

今回は紙面の関係もあり、概要の解説にとどまりました。より詳細な要件の確認や、具体的な対策等につきましては、2024年8月29日に開催されます無料オンラインセミナー「訪問介護サービス業界でのDX革命〜業務効率が驚異の20%向上!今すぐ実践できる5つの戦略~」にてお届けできればと考えております。ご興味をお持ちの方は、是非、ご参加いただけますと幸いです。

 

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[ⅰ] 介護労働実態調査

[ⅱ] 介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン

 

 

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著者
株式会社スターパートナーズ代表取締役
一般社団法人介護経営フォーラム代表理事
脳梗塞リハビリステーション代表
MPH(公衆衛生学修士)齋藤直路