• 医科
  • #改定情報

2024年10月改定について(医療DX推進体制整備加算、医療情報取得加算の変更)

2024.09.02

 

2024年6月の診療報酬改定で医療DXの評価として新設された「医療DX推進体制整備加算」ですが、10月からのマイナ保険証の利用率の要件が適応されることを受けて、要件並びに点数が変更となります。

 

【目次】

  1. 医療DX推進体制整備加算の変更(2024年10月~)
  2. マイナ保険証の利用実績
  3. 届出は必要か?
  4. 医療情報取得加算の変更(2024年12月~)
  5. マイナ保険証に関するヒアリング
  6. まとめ

 


1.医療DX推進体制整備加算の変更(2024年10月~)

「医療DX推進体制整備加算」については、6月の診療報酬改定時点で明らかにされていなかったマイナ保険証の利用実績の値が示され、改めて利用実績に応じた3段階の評価区分にすることが示されました。また、加算1と2の施設基準に「マイナポータルの医療情報等に基づき、患者からの健康管理に係る相談に応じること」が追加されています。

 

 

現行

10月~

医科

医療DX推進体制整備加算 8点

医療DX推進体制整備加算1 11
医療DX推進体制整備加算2 10
医療DX推進体制整備加算3 8点

調剤

医療DX推進体制整備加算 4点

医療DX推進体制整備加算1 7点
医療DX推進体制整備加算2 6点
医療DX推進体制整備加算3 4点

 

2.マイナ保険証の利用実績

マイナ保険証の利用率実績については、20247月、8月の実績が15%以上の場合は10月から加算1を、10%以上の場合は加算2を、5%以上の場合は加算3を算定できるとしています。なお、2025年1月にも利用率の基準が変更され、202410月、11月の実績が30%以上の場合は加算1を、20%以上の場合は加算2を、10%以上の場合は加算3を算定できることになります。このことからもマイナ保険証の利用率は継続して引き上げる必要があることが分かります。

利用率の計算時期については、適用時期の3月前のレセプト件数ベースのマイナ保険証利用率を用いるとしていますが、202410月から2025年1月の期間は、適用時期の2月前のオンライン資格確認件数ベースのマイナ保険証利用率を用いることもできるとしています。

今後、令和7年4月以降のマイナ保険証利用率の実績要件は、中医協の附帯意見を踏まえ、2024年末を目途に再検討し再設定を行うとしています。

 

3.届出は必要か?

医療DX推進体制整備加算の届出については、新たに行う必要はなく、すでに届出を行っている場合、届出直しは不要としています。また、10月時点で、マイナ保険証の利用実績が基準に満たなくなった場合には算定できなくなるとしています。

 

4.医療情報取得加算の変更(2024年12月~)

一方、「医療情報取得加算」については、12月2日から現行の健康保険証の発行が終了し、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行することを踏まえ、マイナ保険証の利用の有無に着目した加算の点数差を見直し、標準的な問診票や、オンライン資格確認等システムからマイナ保険証を通じて取得された医療情報等の活用による質の高い医療の評価へと見直すとしています。具体的な変更点は以下の表の通りとなります。

 

現行

12月~

初診時

医療情報取得加算1(現行の保険証の場合) 3点
医療情報取得加算2(マイナ保険証の場合) 1点

医療情報取得加算 1点

再診時

(3月に1回に限り算定)
医療情報取得加算3(現行の保険証の場合) 2点
医療情報取得加算4(マイナ保険証の場合) 1点

(3月に1回に限り算定)
医療情報取得加算 1点

調剤時

(6月に1回に限り算定)
医療情報取得加算1(現行の保険証の場合) 3点
医療情報取得加算2(マイナ保険証の場合) 1点

12月に1回に限り算定)
医療情報取得加算 1点

 

5.マイナ保険証に関するヒアリング

厚労省は、マイナ保険証の普及に向けて、病院や診療所にヒアリングした内容を公表しています。利用が進んだ事例としては、積極的な声掛けやポスターなどでのPR、コンシェルジェなどの配置などの事例が紹介されています。

一方、利用が進みにくい事例としては、子どもの場合は顔認証が実施しづらいことや、公費補助(自治体による乳幼児医療無償化)との連携ができていないこと、現行の保険証に比べてマイナ保険証利用の方が時間と手間が必要なこと、マイナ保険証を使う際の情報流出のリスクなどが挙げられています。

 

6.まとめ

マイナ保険証の利用率は、20246月現在で8.89%(推計)となり、20241月の実績3.99%に比べて、4.9ポイント上昇しています。着実に利用率は伸びているものの、そのカーブは緩やかで、政府が考える伸び率には程遠い状況となっています。今回の改定により、医療機関・薬局がマイナ保険証の普及に対して、本腰を入れてくれることを期待して、10月から点数を3段階に区分し引き上げたこととなります。

しかしながら、本来、マイナ保険証の利用率を引き上げるために必要なことは、患者及び医療機関・薬局のスタッフの利便性の向上であり、安心してマイナ保険証が利用できる環境整備に他なりません。この部分の対応を早急に行っていただくことを期待します。

 

  EM  

 ------------------------

筆者:株式会社EMシステムズ EM-AVALON事務局