- 医科
- #電子カルテ
- #医療DX
電子カルテ運用のポイント~㉑悪性腫瘍特異物質治療管理料~
2024.09.30
医学管理料は、処置や投薬等の物理的な技術料と異なり、医師による患者指導や医学的管理そのものを評価する診療報酬項目です。
単に指導を行ったのみでは算定できず、カルテ記載が算定要件として定められています。
本稿では、医療機関様からのご質問と行政指導のご指摘も多い「悪性腫瘍特異物質治療管理料」について算定ポイントやカルテ記載をお伝えしたいと思います。
【目次】
- Point1: 対象患者
- Point2: 例外の算定
- Point3: 同一月の悪性腫瘍特異物質治療管理料と他の医学管理料の併算定について
- Point4: カルテ添付または記載とレセプト記載
- Point5: 厚労省 保険診療確認事項リスト
Point1: 対象患者
悪性腫瘍と既に確定診断された患者
⇒悪性腫瘍特異物質治療管理料の医学管理料として算定
※施行した腫瘍マーカーの検査料+採血料は算定不可
悪性腫瘍の疑いの場合は、悪性腫瘍特異物質治療管理料を算定できません。
⇒腫瘍マーカーの検査料+採血料+生化学的検査(Ⅱ)判断料を算定
Point2: 例外の算定
悪性腫瘍確定患者で、次のア~エの場合、
悪性腫瘍特異物質治療管理料に加え、
腫瘍マーカーの検査料+採血料+生化学的検査(Ⅱ)判断料を算定できます
ア)急性及び慢性膵炎の診断及び経過観察のためにエラスターゼ1を行った場合
イ)肝硬変、HBs抗原陽性の慢性肝炎又はHCV抗体陽性の慢性肝炎の患者について、
α-フェトプロテイン(AFP)、PIVKA-Ⅱ半定量又は定量を行った場合(月1回に限る。)
ウ)子宮内膜症の診断又は治療効果判定を目的としてCA125又はCA602を行った場合
(診断又は治療前及び治療後の各1回に限る。)
エ)家族性大腸腺腫症の患者に対して「3」の癌胎児性抗原(CEA)を行った場合
Point3: 同一月の悪性腫瘍特異物質治療管理料と他の医学管理料の併算定について
特定疾患療養管理料は、同一月に併せて算定可
生活習慣病管理料は、同一月に併せて算定不可
Point4: カルテ添付または記載とレセプト記載
カルテ 添付または記載
①腫瘍マーカー検査の結果 *1
⇒検査数値、評価
②治療計画の要点
⇒指導内容、次回の検査予定項目名、次回受診日等
*1 検歴(検査結果所見記録等)については「診療録」とは見なされませんので、
医師記載の「2号紙」(医師が記載する部分)に記載されている必要があります。
レセプト
請求の際は、レセプトコード830100060 行った腫瘍マーカーの検査名を記載
Point5: 厚労省 保険診療確認事項リスト
(請求の誤りが起きやすく、個別指導の指摘の機会が比較的多い事項)
https://www.mhlw.go.jp/content/001113814.pdf
□悪性腫瘍であると既に確定診断した患者以外の者に対して算定
□[ 腫瘍マーカー検査の結果 ・ 治療計画の要点 ]について診療録への[ 添付 ・ 記載 ]が[ ない ・ 個々の患者の状態に応じた記載になっていない ・ 不十分]
□初回月ではないにもかかわらず、初回月加算を算定
□前月に腫瘍マーカー検査を算定しているにもかかわらず、初回月加算を算定
□算定要件を満たさない腫瘍マーカー検査を実施したものに対して算定
以上のように、算定要件を満たさずに算定した場合、返還の対象となります。
診療録の要件を満たしているか確認の上、請求することが必要です。
また、カルテの必要事項を周知し、医師と事務部門双方が把握することが必要です。