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開業準備スケジュール(3)

2021.12.22

開業スケジュールのうち、今回は「建築・内装」「医療機器」の選定を解説します。クリニックにおいて、この2つは密接に絡むため、同時期に検討されることが多いため、一緒に考えることとします。

建築・内装(8カ月前~6カ月前)

まず、クリニック建築は他の建築に比べ特殊な部分も多いため、クリニック建築および内装工事の経験が豊富な業者を選定する必要があります。また、設計と工事が異なる場合もあり、分かれる場合は十分に「報連相」を行うことが大切です。

レイアウトの打ち合わせを行う際、患者の動線とスタッフの動線をしっかり意識して話し合いを行う必要があります。スタッフの動線などを「裏動線」と呼ぶこともあります。医療機器や医薬品・医療材料の棚などを設置した後、医師やスタッフ、患者さんにとって快適な動線を確保する必要があります。また、開業して分かるのですが、年々収納すべき物品が増えていきますので、しっかりとした収納を用意することは忘れずに盛り込んでください。

また、クリニックでは、患者さんの個人情報を多く預かりますので、事務書類などが患者さんから見えない設計にしたり、診察室を中心に防音設計にしたりといった配慮が必要です。

スタッフの休憩室や更衣室についても確保する必要があるでしょう。クリニックは女性の多い職場ですから、その点は十分に考えておく必要があります。休憩についても、コロナ禍の影響で、順番に分かれて休憩をとることが増えています。医師およびスタッフが快適にクリニック内で過ごせるか、という視点を忘れないでください。

クリニックは毎日を「朝礼」をしたり、「ミーティング」をしたり、「研修」をしたりといったように、スタッフが一堂に集まることも多くあります。スタッフが一堂に集まれる場所の確保も大切な視点です。待合室のレイアウトを変更できるようにしておくなど工夫が必要です。

電源や院内LANについては、医療機器やシステムの兼ね合いがあるため、医療機器とシステムの選定も並行して行われるのが一般的です。レントゲン一つとっても、メーカーごとにサイズは異なりますので、しっかりと医療機器の寸法を確認しておくことが大切です。

クリニックの設計・内装は、「医療法」や「建築基準法」といった法令も関わります。開業前に行われる自治体の「保健所」による立ち入り検査などで、不備が指摘されて、開業前にドタバタすることのないようにする必要があります。これらの確認は、専門家である建築施工会社や設計事務所が十分に理解していますが、併せて外部のコンサルタントを介して、設計や内装に不備がないかを確認しておくことも重要です。

新型コロナの影響

レイアウトを決める際に、新型コロナウイルス感染症の影響から「感染対策」を意識する必要が出てきています。今後、新型コロナが収束しても、引き続き感染対策の考え方は続くと思われますので、注意点を挙げておきます。

<注意点>

・「受付」にアクリル板を設置し、患者とスタッフの飛沫感染を減らす

・「受付」で手指消毒、体温測定などが行えるスペースを用意する

・「待合室」の患者同士の密を避けるため、パーテーションなどで仕切る

・スタッフ同士の密を避けるため「作業スペース」を広めにとる

・新型コロナの疑い患者を「隔離スペース」を用意する

・「入り口」の動線を基本動線と隔離動線に分ける

・定期的に「喚起」ができるようにする

 

医療機器(8カ月前)

医療機器(レントゲン、内視鏡、エコー、ネブライザー、血球計数系など)を選ぶ際には、クリニックが目指す医療を実現するために、必要なものは何かを決めることになります。そこで、以前ご紹介した「コンセプト」に照らし合わせながら考えると良いでしょう。

また、医療機器は定期的な買い替えが必要であり、毎年のように新製品が出るため、その動向もチェックしながら選定する必要があります。新製品が出ると旧製品は価格が下がるというケースも多くありますので、十分に意識して買うタイミングを計る必要があるのです。価格を抑えたければ、中古の医療機器を検討するのも一つの方法です。

さらには、医療機器は「診療報酬点数」とも密接に絡んできます。診療報酬の考え方としては、普及が進んだ医療機器による撮影・検査は点数が下がっていく傾向にあるので、その点も注意しましょう。くれぐれも過剰投資にならないようにしてください。

 最近では、撮影・検査を専門に行う「画像診断センター」なども増えてきていますので、「たまにしか行わない撮影・検査は外部に委託する」といった考え方も持つ必要があります。どの撮影・検査を院内で行い、それ以外は外注するという考え方に則れば、最低限の機器導入で済みます。専門性の高い検査は、周辺の医療機関と連携することでまかなえるのです。 

医療機器の導入・維持にはコストがかかりますので、収益性を踏まえた上で新品、中古、購入、リースといったさまざまな条件から選定を行ってください。

 図 感染対策を踏まえた内装の注意点