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介護保険外サービスが注目されている理由とは!? 〜メリット・デメリット、具体例も解説!~

2024.11.11

 

 【目次】

  1. 介護保険外サービスはなぜ注目されているのか
  2. 介護保険外サービスを運営するメリット
  3. 介護保険外サービスの類型

 


1.介護保険外サービスはなぜ注目されているのか

近年、介護事業を運営する法人の中でも、介護保険外サービスの開発に興味を持たれる事業者が増えてきています。これには、近年の介護報酬改定の推移と大きな関係があります。

下表は、近年の介護報酬の改定率と主な改定のポイントをまとめたものになります。

「令和6年度介護報酬改定の主な事項について」[ⅰ]

 

一部、改訂率がプラスの年度もありますが、その多くは処遇改善や消費税対応等、介護事業者の収益改善につながるものではなく、特にプラス改定の大部分は処遇改善によってもたらされています。加算の創設や改定等はあるものの、作業負担の増加や実質的な減算に当たるものもあります。処遇改善以外では、大幅な引き上げは望みにくい状況になっているといえるでしょう。

そんな中で、介護サービス単一での事業展開ではなく、複数の異なる事業を展開し、収益の柱を増やしていこうという介護事業者も増えてきています。介護保険外サービスは、その新規事業の有力な候補として考えられているのです。今回は、いま注目を浴びている介護保険外サービスについて解説していきます。

尚、本稿と同一テーマでより詳細な解説をお届けする無料オンラインセミナー「介護保険外サービスが注目されている理由とは!?〜メリット・デメリット、具体例も解説!~」20241128日に開催されます。どなたでもお気軽に参加いただけますので、是非、ご参加いただければと思います。

 

2.介護保険外サービスを運営するメリット

介護事業者が介護保険外サービスを運営するには大きなメリットがあります。それは、既存のリソースを活用して、かつ既存の顧客にプラスアルファのサービスを付加することで事業が成立しうる可能性が高いからです。

例えば、介護保険外で提供される訪問介護の場合、既に所属しているヘルパーや介護福祉士等がその介護保険事業に従事している時間以外に、サービスを提供するという形で開始することもできます。

経済産業省では、「健康づくり」「公的保険外の介護」の市場の拡大目標を2050年までに77兆円、2020年当時と比較して3倍にまで成長するものと設定しています。今後、これだけの拡大が見込める市場に、先行して、かつ介護に関するノウハウ・リソース・顧客を持った状態で参入できるのは、強みであるといえるでしょう。

「新しい健康社会の実現に向けた「アクションプラン2023」」[ⅱ]

 

また、職員や顧客に対してもメリットがあります。

職員については、既存の介護保険事業の枠内では、どうしても公定価格や基準の影響により、分配される給与に限界が出てきます。その影響下では、スキルを高めてもいつか限界がきてしまうことも考えられます。

これに介護保険外サービスが付加されるとどうでしょうか。売上の制限もなくなり、本人が希望すればより高い給与を得ることも可能になります。また、介護保険外サービスには介護保険事業のような制約も少なく、例えばヘルパーの指名性を導入している介護保険外サービスも存在しています。

自身が指名の実績を重ねていくこと=顧客からの評価にインセンティブが生じるという形を取ることにより、直接的な実績が待遇・評価につながるという形を取ることもできます。より高い給与を目指してスキルを向上させたいという意欲のある職員にとっては、新しい活躍の場の形として、介護保険外サービスは非常に魅力的なものといえるでしょう。

顧客にとっても、従来の介護保険事業の枠組みの中では、利用できることに制限がありました。訪問介護における家族のための家事、草むしり、ペットの世話等の一部家事等がその代表例といえるでしょう。現在は、混合介護の取り扱いに関する基準も明確化され、利用の希望があり追加の料金を払えば、柔軟なサービスを受けることも可能になりました。

「介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱いについて」を参考にスターパートナーズ社が作成[ⅲ]

 

こういった選択肢の充実は、顧客である要介護者や家族にとっても、より高い品質のサービスを享受できるという点で、大きなメリットであるといえるでしょう。

 

3.介護保険外サービスの類型

特に介護事業者が運営する主要な介護保険外サービスの類型について簡単に紹介していきます。

 

①自費ホームヘルパー

 文字通り、介護保険事業で提供している訪問介護や訪問看護のようなサービスを、10割負担の完全自費の介護保険外サービスとして提供します。介護保険の対象とならない業務や、介護保険では適用が難しい超長時間の利用を希望する方向けのサービスとなります。

主な用途としては、介護・介助手伝い、通院付添・院内介助、外出・余暇付き添い、買い物代行、公共交通機関・自家用車などでの移動、お盆、お正月、ご家族の集まりなどのイベント時の一時帰宅、国内外の家族旅行、親戚、友人宅訪問、自宅での24時間サービス等多岐に渡ります。

 

②自費のリハビリテーション・機能訓練

 理学療法士や作業療法士等のリハビリテーションの国家資格を持った専門職が、介護保険外のリハビリテーション・機能訓練を提供するサービスです。従来の医療・介護保険の制度の中では、回復期病棟等における入院期の集中的なリハビリテーションを終えて退院した後には、どうしてもリハビリテーションを受けられる場に限りがありました。そういった中で、保険の適用外になったとしても、改善の見込みがあるならばリハビリテーションを継続したいという、改善に強い意欲を持ったニーズに応えるために誕生したのが本サービスです。

保険で受けられるリハビリテーションに比べ利用頻度や時間を自由に設定でき、介護保険のリハビリと比較して個別具体的な対応が可能です。筆者も現在、日本国内外に10拠点を展開している「脳梗塞リハビリステーション・グループ」を運営しています。ご興味のある方は、ご参照ください。

 

脳梗塞リハビリステーション・グループホームページ[ⅳ]

 

③地域密着型人材紹介

 医療・介護に特化した人材紹介業を営む介護事業者もでてきています。ビジネスモデルとしては従来の人材紹介事業者と同様で、求職者と求人企業のマッチングをおこない、採用が決定したあかつきには初年度年数の一定割合を紹介手数料として受け取るというものです。

従来のものと異なり、介護事業者が運営するという面では、大手のようなマスでの展開ではなく地域に密着してマッチングをおこなうという点、エージェントにケアマネジャー等の介護のプロフェッショナルを置く点にあります。求職者のキャリアや求人企業の状況をプロの目線から分析し、より精度の高いマッチングをおこなえるという点が地域で展開する際の強みとなります。

 

以上、簡単にではありますが介護保険外サービスの状況について簡単に解説させていただきました。ただ、サービスの詳細等について、より深く知りたいというご希望もあるのではないでしょうか。

介護保険外サービス市場を取り巻く状況や、各サービスのより詳細な解説につきましては、20241128日に開催されます無料オンラインセミナー「介護保険外サービスが注目されている理由とは!?〜メリット・デメリット、具体例も解説!~」にてお届けできればと考えております。ご興味をお持ちの方は、是非、ご参加いただけますと幸いです。

 

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[ⅰ] 令和6年度介護報酬改定の主な事項について

[ⅱ] 新しい健康社会の実現に向けた「アクションプラン2023」

[ⅲ] 介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱いについて

[ⅳ] 脳梗塞リハビリステーション・グループ

 

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筆者:

株式会社スターパートナーズ代表取締役
一般社団法人介護経営フォーラム代表理事
脳梗塞リハビリステーション代表
MPH(公衆衛生学修士)齋藤直路

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