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かかりつけ医機能報告制度とは➀

2024.11.28

 

20254月より施行される「かかりつけ医機能報告制度」。制度に関する詳細が明確になってきました。そこで、20241018日に開催された「かかりつけ医機能報告制度に係る第1回自治体向け説明会」の資料に基づき、制度の仕組みについて解説します。

 

【目次】

  1. かかりつけ医機能報告制度とは?
  2. 制度整備の背景
  3. 報告内容
  4. 1号機能
  5. 2号機能

 


1.かかりつけ医機能報告制度とは?

かかりつけ医機能報告制度とは、医療機関から都道府県知事に対し、地域住民を支えるために有しているかかりつけ医機能について、定期的に報告する制度です。20254月から開始予定で、報告頻度は年1回、都道府県知事は報告内容をもとに医療機関からの報告内容をネット検索できるシステムなどで公表し、患者に適切な受診先の選択を促そうとする試みです。 

2.制度整備の背景

2023年5月に「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律」が成立・公布されました。同法において医療法が改正され、かかりつけ医機能が発揮される制度整備を行い、2025年4月に施行することとされました。

このような制度が必要になった背景には、今後、複数の慢性疾患や医療と介護の複合ニーズを有することが多い高齢者のさらなる増加、生産年齢人口の急減が見込まれる中、地域によって大きく異なる人口構造の変化に対応して、「治す医療」から「治し、支える医療」を実現していくためには、これまでの地域医療構想や地域包括ケアの取組に加え、かかりつけ医機能が発揮される制度整備を進める必要があるとしています。 

3.報告内容

都道府県知事に報告する内容は、1号機能と2号機能の2段階から構成されています。「1号機能」は、発生頻度が高い疾患に係る診療や日常的な診療を統合的かつ継続的に行うための機能についてで、特定機能病院・歯科医療機関を除く病院・診療所に報告が求められます。報告項目は、「1次診療の対応可能な診療領域や疾患」「かかりつけ医機能に関する研修修了者・総合診療専門医の有無」などです。次に、1号機能があると確認できた医療機関には、2号機能の報告が求められます。具体的な報告内容は、時間外対応、入退院支援、在宅医療、介護連携などとなります。

報告の流れとしては、対象となる医療機関から、継続的な医療を要する者に対するかかりつけ医機能の有無および内容が都道府県知事に報告され、報告した医療機関がかかりつけ医機能の確保に係る体制を有することを確認し、外来医療に関する地域の関係者との協議の場に報告するとともに、ホームページなどで公表されます。また、都道府県知事は、外来医療に関する地域の「協議の場」において、地域でかかりつけ医機能を確保するために必要な具体的方策を検討し、結果を取りまとめたのちに公表することになります。

出典:かかりつけ医機能報告制度に係る第1回自治体向け説明会(2024.10.18)厚労省 

4. 1号機能

1号機能は、「継続的な医療を要する者に対する発生頻度が高い疾患に係る診療を行うとともに、継続的な医療を要する者に対する日常的な診療において、患者の生活背景を把握し、適切な診療および保健指導を行い、自己の専門性を超えて診療や指導を行えない場合には、地域の医師、医療機関等と協力して解決策を提供する機能」と定義されています。

報告内容は、①「具体的な機能」(かかりつけ医機能)と「報告事項」について院内掲示により公表していること②かかりつけ医機能に関する研修修了者の有無、総合診療専門医の有無を報告すること③17診療領域ごとの1次診療対応可能の有無を報告すること、1次診療の実施を行うこと、1次診療を行える疾患の報告を行うこと、医療に関する患者からの相談に応じられること(継続的な医療を要する者への継続的な相談対応を含む)、の3つすべてを満たす場合に「1号機能を有する医療機関」として、2号機能の報告を行うことになります。

出典:かかりつけ医機能報告制度に係る第1回自治体向け説明会(2024.10.18)厚労省

 

5. 2号機能

2号機能は、①通常の診療時間外の診療②入退院時の支援③在宅医療の提供④介護サービス等と連携した医療提供、などです。

  • 時間外対応

「通常の診療時間外の対応」については、①自院又は連携による通常の診療時間外の診療体制の確保状況(在宅当番医制・休日夜間急患センター等に参加、自院の連絡先を渡して随時対応、自院での一定の対応に加えて他医療機関と連携して随時対応等)、連携して確保する場合は連携医療機関の名称②自院における時間外対応加算1~4の届出状況、時間外加算、深夜加算、休日加算の算定状況、のいずれかがある場合は「当該機能有り」となります。

  • 入退院支援

「入退院時の支援」については、①自院又は連携による後方支援病床の確保状況、連携して確保する場合は連携医療機関の名称②自院における入院時の情報共有の診療報酬項目の算定状況③自院における地域の退院ルールや地域連携クリティカルパスへの参加状況④自院における退院時の情報共有・共同指導の診療報酬項目の算定状況⑤特定機能病院・地域医療支援病院・紹介受診重点医療機関から紹介状により紹介を受けた外来患者数、のいずれかがある場合は「当該機能有り」となります。

  • 在宅医療提供

「在宅医療の提供」については、①自院又は連携による在宅医療を提供する体制の確保状況(自院で日中のみ、自院で24 時間対応、自院での一定の対応に加えて連携して 24 時間対応等)、連携して確保する場合は連携医療機関の名称②自院における訪問診療・往診・訪問看護の診療報酬項目の算定状況③自院における訪問看護指示料の算定状況④自院における在宅看取りの実施状況、のいずれかがある場合は「当該機能有り」 となります。

  • 介護連携

「介護サービス等と連携した医療提供」については、①介護サービス等の事業者と連携して医療を提供する体制の確保状況(主治医意見書の作成、地域ケア会議・サービス担当者会議等への参加、 介護支援専門員 や 相談支援専門員 と相談機会設定等)②介護支援専門員 や 相談支援専門員への情報共有・指導の診療報酬項目の算定状況③介護保険施設等における医療の提供状況(協力医療機関となっている施設の名称)④地域の医療介護情報共有システムの参加・活用状況⑤ACPの実施状況、のいずれかがある場合は「当該機能有り」 となります。

出典:かかりつけ医機能報告制度に係る第1回自治体向け説明会(2024.10.18)厚労省

 

そのほかの報告事項として、健診や予防接種、地域活動(学校医、産業医、警察業務等)、学生・研修医・リカレント教育等の教育活動等です。1号機能および2号機能の報告で「当該機能有り」と現時点でならない場合は、今後担う意向の有無も公表されます。

 

  EM  

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筆者:株式会社EMシステムズ EM-AVALON事務局

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