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かかりつけ医機能報告制度とは②
2024.11.28
2025年4月より施行される「かかりつけ医機能報告制度」。制度に関する詳細が明確になってきました。そこで、2024年10月18日に開催された「かかりつけ医機能報告制度に係る第1回自治体向け説明会」の資料に基づき、報告方法や今後のスケジュールなどについて解説します。
【目次】
1.報告の方法
かかりつけ医機能報告制度は、医療機関等情報支援システム(G-MIS)を活用して、報告対象機関からの報告業務を実施することを予定しています。また、報告業務に関しては、医療機能情報提供制度と同時期に実施し、業務スキームについても同様のものとしていく想定です。
そもそもG-MISについては、全国の医療機関(約38,000)から、病院の稼働状況や病床数、医療スタッフの状況、受診者数、検査数、医療機器や医療資材の確保状況などを一元的に把握・支援する仕組みです。現在は、病院で8,237件、診療所で44,279件が登録されています。今後はこの仕組みを使って、かかりつけ医機能報告制度が運用されていくことになります。
2.今後のスケジュール
同報告制度の今後のスケジュールとしては、かかりつけ医機能報告と医療機能情報提供制度に基づく報告が同時に行えるようにスケジュール調整がされています。2025年11月頃に医療機関への定期報告が依頼されます。これによってアンケートが配布され、自治体によってG-MISの登録が進められることになります。また、提出がなかった医療機関への採測として、2026年1月から3月の期間に都道府県から医療機関へ定期報告の採測が行われることになります。かかりつけ医機能報告制度は年に1回の報告とされており、その翌年、2026年11月頃に再度定期報告依頼が行われることになります。
出典:かかりつけ医機能報告制度に係る第1回自治体向け説明会(2024.10.18)厚労省
3.かかりつけ医機能報告制度に関する業務(協議の場関連)
かかりつけ医機能報告制度は、報告内容に基づき各地域で関係者を集めて、協議を行うことが定められています。それを「協議の場」と呼んでいます。
具体的に「時間外対応」についての例を見ると、地域で時間外対応(休日や夜間の対応)を充実させていくために、関係者で連携体制について話し合いを行うことになります。患者が時間外に体調の悪化があった際にも、身近な地域で適切な診療や相談を受けられるようにする必要があるため、例えば時間外対応の連絡先を確保する、休日の夜間救急センターの参加を調整するなどの解決策を考え、それらを取りまとめ発表するという流れとなります。
4.かかりつけ医機能研修
かかりつけ医機能を発揮するため、報告制度だけではなく、医師に対する研修についても盛り込まれています。かかりつけ機能が発揮されるための基盤として、地域において必要となるかかりつけ医機能の確保に向けた医師の教育・研修の技術、そして医療DXによる情報基盤の整備を進めるとしています。
具体的にはかかりつけ医機能の研修制度を実施、その受講の有無を同報告制度に盛り込むことが想定されています。また、政府が進めている「全国医療情報プラットフォーム」の参加の有無も確認していくことになります。
5.患者への説明
また、患者への説明についても報告制度の中で、盛り込まれています。具体的には、かかりつけ医機能の確保に対する体制を有することについて都道府県の確認を受けた医療機関は、患者に対して説明義務が生まれます。説明内容としては、疾患名や治療に関する計画。病院または診療所の名称、住所及び連絡先、またその患者に対して発揮するかかりつけ機能(1号機能、2号機能)などを説明する必要があります。説明方法としては、書面、電子メール、磁気ディスク、電子カルテ情報共有システムにおける患者サマリーなどが想定されています。
6.まとめ
これまで「かかりつけ医機能」については、診療報酬において「機能強化加算」や「地域包括診療料・地域包括診療加算」などで評価が行われてきました。これら点数の施設基準として要件化されてきた内容(時間外体制、入退院支援、在宅医療、介護連携など)が、かかりつけ医機能報告制度においても引き継がれているように感じます。
一方で、かかりつけ医機能の研修修了者の有無など、かかりつけ医機能を維持していくための医師に対する教育制度についても盛り込まれています。また、政府が進める医療DX施策である「全国医療情報プラットフォーム」への参加も求められています。
今後、政府は国民、患者は都道府県が用意する検索プラットフォームにおいて、これらの情報をもとに、自分に合った医療機関(かかりつけ医)を選ぶシナリオを描いています。報告制度が機能したならば、患者の動向にも影響をもたらす内容であり、報告対象の医療機関は準備を始める必要があると考えます。