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令和6年度報酬改定完全対策! ~減算リスクを回避し、収益力アップの秘訣を公開~
2024.11.29
【目次】
1.介護報酬改定を受けて対応が必要な事項
今年も残すところあとわずかとなりました。本年は4月に介護報酬の改定があり、介護サービス事業所にとっては大きな変化の1年となったのではないでしょうか。新年を迎えると、間もなく新年度となりますが、報酬改定の影響を受けて年度内に終わらせておかなければいけない事項がいくつもあります。
今回は、介護報酬改定を受けて実施しておかなければならないことを、全サービスを網羅的に見ながら、確認していきます。
尚、本稿と同一テーマでより詳細な解説をお届けする無料オンラインセミナー「【介護全サービス共通】令和6年度報酬改定完全対策!~減算リスクを回避し、収益力アップの秘訣を公開~」が2024年12月20日に開催されます。どなたでもお気軽に参加いただけますので、是非、ご参加いただければと思います。
まず、全サービスにとって喫緊の対応が必要なのは創設された「業務継続計画未策定減算」への対応になるでしょう。これはBCPの策定が、感染症若しくは災害のいずれか又は両方おこなわれていない場合、所定単位の1~3%が減算されるという大きなものです。
「令和6年度介護報酬改定の主な事項について」[ⅰ]
経過措置期間は1年間となっており、来年の4月以降、BCPの策定が間に合っていない場合、減算が適用となります。年度内には必ず実施が求められる事項であるといえるでしょう。
また、高齢者虐待防止の観点から高齢者虐待防止措置未実施減算も創設され、これも全サービスが対象となっています。経過措置期間は無く、既に適用される状況となっておりますので、未対策の場合は早急な対応が必要です。委員会の開催、指針の整備、研修の実施、担当者の設置の4点を確認しましょう。
身体的拘束等の適正化の観点での変更もあります。これは、大きく短期入所サービス、多機能サービスと、訪問系サービス、通所系サービス等に分かれます。前者の場合、3月に1回以上の委員会の実施、指針の整備、定期的な研修の実施が義務化され、それを運営基準に定めることも求められています。後者の場合、運営基準に基本原則の記載をすることが求められています。
「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」[ⅱ]
もしまだ対応が出来ていない場合は、こちらも早急に対応しましょう。
また、従来は事業所内に「書面掲示」が求められていた運営規定等の重要事項ですが、令和7年度よりこれに加え、ウェブサイト(法人のホームページ等または情報公表システム)に掲載・公表することが義務化されます。これについても、忘れず対応しなければならないでしょう。
2.施設系サービスにおける義務化事項
施設系サービスにおいて大きな変更点となったのは「協力医療機関との連携体制の構築」でしょう。これは、急変対応、診療、入院等の分野で連携をおこなえる医療機関を定めること、当該医療機関とは年に1回以上、入所者の急変時の対応について協議すること、当該医療機関から利用者が退院する時は速やかに再入所を受け入れられるよう努力することが定められています、
「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」[ⅱ]
義務化の対象は介護保険三施設となり、経過措置期間として3年が設定されています。それ以外の入所系サービス、例えば特定施設入居者生活介護等は、あくまでも努力義務となっています。
特に、医療機関との定期的な会議等の連携については、提携の取り決めの段階で設定しておかなければ、再度設定をしなおさなければいけない事項となります。調整が必要な事項となりますので、経過措置期間があるといっても、余裕があるとも言い切れません。なるべく前倒しに、対応を検討し体制を構築していきたいところです。
また、特定施設入居者生活介護においては、3年間の経過措置期間を経て「口腔衛生管理体制加算」が廃止され、緩和された要件が基本サービスに内包されることとなります。また、介護保険三施設においても、定期的な口腔衛生状態・口腔機能の評価の実施が義務付けられることとなりました。
「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」[ⅱ]
これは、他サービスでも「口腔・栄養関連」の評価が推進されていますが、その評価がついに基本として求められる事項、つまりは実施していないことがマイナス評価される時代に突入しつつあるということを示しているのではないでしょうか。
3.生産性向上の取り組みへの対応等
生産性向上の取り組みへの対応も求められるようになってきています。1つは、いわゆる生産性向上委員会の義務化です。
従来は、施設系サービスにおいても、見守り機器の導入を通じた人員配置要件の緩和の対象となる一部の施設のみが実施の対象でした。それが今回の改定で、短期入所系サービス、居住系サービス、多機能系サービス、施設系サービスと、広くその実施が義務化されました。これは3年間の経過措置期間を含みます。
「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」[ⅱ]
また、一見関係なさそうに見える在宅系サービスにおいても、処遇改善加算が一本化され、職場環境等要件が厳格化されたことにより、処遇改善加算を算定する上で最低でも2つ以上は、生産性向上に関する取り組みを実施することが求められるようになっています。
これは実質、義務化といっても差支えないでしょう。
処遇改善加算の職場環境等要件に関する、「生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組」の内容は下記の通りです。
⑰厚生労働省が示している「生産性向上ガイドライン」に基づき、業務改善活動の体制構築(委員会やプロジェクトチームの立ち上げ又は外部の研修会の活用等)を行っている ⑱現場の課題の見える化(課題の抽出、課題の構造化、業務時間調査の実施等)を実施している ⑲5S 活動(業務管理の手法の1つ。整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字をとったもの)等の実践による職場環境の整備を行っている ⑳業務手順書の作成や、記録・報告様式の工夫等による情報共有や作業負担の軽減を行っている ㉑介護ソフト(記録、情報共有、請求業務転記が不要なもの。)、情報端末(タブレット端末、スマートフォン端末等)の導入 ㉒介護ロボット(見守り支援、移乗支援、移動支援、排泄支援、入浴支援、介護業務支援等)又はインカム等の職員間の連絡調整の迅速化に資するICT機器 (ビジネスチャットツール含む)の導入 ㉓業務内容の明確化と役割分担を行い、介護職員がケアに集中できる環境を整備。特に、間接業務(食事等の準備や片付け、清掃、ベッドメイク、ゴミ捨て等)がある場合は、いわゆる介護助手等の活用や外注等で担 うなど 、役割の見直しやシフトの組み換え等を行う。 ㉔各種委員会の共同設置、各種指針・計画の共同策定、物品の共同購入等の事務処理部門の集約、共同で行うICT インフラの整備、人事管理システムや福利厚生システム等の共通化等、協働化を通じた職場環境の改善に向けた取組の実施 ※生産性向上体制推進加算 を取得している場合には、「生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組」の要件を満たすものとする ※小規模事業者は、㉔の取組を実施していれば、「生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組」の要件を満たすものとする |
「介護職員の処遇改善 一本化詳細説明資料(実務担当者向け)」[ⅲ]
以上、簡単にではありますが、網羅的に対応が必要な事項について解説してきました。それぞれどのように取り組めば良いのか、より詳細な解説につきましては、2024年12月20日に開催されます無料オンラインセミナー「【介護全サービス共通】令和6年度報酬改定完全対策!~減算リスクを回避し、収益力アップの秘訣を公開~」にてお届けできればと考えております。
ご興味をお持ちの方は、是非、ご参加いただけますと幸いです。
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[ⅰ] 令和6年度介護報酬改定の主な事項について
[ⅱ] 令和6年度介護報酬改定における改定事項について
[ⅲ] 旧3加算の算定状況に応じた新加算Ⅰ~Ⅳの算定要件(早見表)