- 調剤
- #薬局経営
2024年調剤報酬後の現在地。レセコン改修の助成金&補助金について
2024.12.19
12月ということで、調剤報酬改定後を振り返り、来年の活動へ活かしていきましょう。
また、レセコン改修に伴う助成金、補助金が多くありますので整理しました。お役立てください。
このコラムをお勧めしたい人 2024調剤報酬改定後の業界動向に興味ある人 |
【目次】
1.薬局業界の2024年調剤報酬改定後の変化について
2024年調剤報酬改定は、『DX』と『在宅』の加算の評価が上がりました。一方で『地域支援体制加算』は難化&減点する評価がくだりました。調剤報酬改定から半年経ち、薬局業界がどのような反応をしたのかを調査しましたので参考にしてください。
『DX推進体制整備加算』がレセプト件数分をベタ取りできる点数となりますが、大手薬局を中心に算定率が高いのが特徴です。ただ、申請しただけでは取れず、マイナ保険証利用率がどの位あるのかによって点数が『4点、6点、7点』と評価されます。現在はマイナ保険証利用率がどの位にあるのかが焦点となっています。マイナ保険証は、国の医療DX施策の一丁目一番地であるため、今後も利用率を上げるように方向性を強化される可能性が高いです。
『連携強化加算(5点)』は、今改定で地域支援体制加算の取得の有無が条件から外れ、取りやすくなりました。また、ベタ取りできる点数で、ほとんどの薬局で申請が進んでいます。いくつか研修参加が義務付けられていますが、薬剤師会等で実施しているケースが多いため、取ろうと思えば取れる点数となっています。
『地域支援体制加算1(32点),2(40点)』は、要件が難しくなり且つ、点数が一律7点下がりました。改定前に比べ下がりましたが、絶対的な点数のインパクトは依然大きいです。従来は、地域支援体制加算2を取れていた薬局が、地域支援体制加算1になってしまう薬局が一定数あったように思われます。特に10項目を幅広く対応が求められるようになり、取り組んでいない加算の取り方について問い合わせが増えています。焦点は、『外来服薬支援1』、『服用薬剤調整支援料1,2』が思うように取れないとご相談受けるケースです。
今後も地域支援体制加算が薬局経営の基幹となり、求められ続けると思います。
『在宅薬学総合体制加算1(15点),2(50点)/訪問調剤件数』を見ると、在宅薬学総合体制加算1は、あまりハードルはありませんが、在宅薬学総合体制加算2の場合はクリーンベンチや注射麻薬の備蓄が必要になります。備蓄や設備を購入するだけで在宅薬学総合体制加算2は算定できますが、そこまで進んでおりません。
経営のコツ ■調剤報酬改定後の業界の動きを確認 地域支援体制加算1、2は難化&点数減点がありましたが、それでも経営へのインパクトは大きいです。年間数百万の利益に差が出ます。まだ、取られていない店舗はこの点数算定を意識してみることをお勧めします。 |
2.レセコン改修に伴う行政からの補助金/助成金
オンライン資格確認や電子処方箋へ対応できるようにするため、多くの補助金/助成金が発表されています。
これからの薬局経営では必須になる条件ですが、補助金/助成金を取るためには中々しんどいです。
この機会に、できるだけシンプルに、ご説明します。
- レセコン改修を伴う補助金/助成金の進め方
① レセコン会社に、導入したいオプションを連絡し、設定してもらう |
② 設定完了後、『領収書・明細書』をレセコン会社からもらう |
③ 医療機関向けポータルサイトで、期限内に申請する |
※注意:一度申請したものは再申請不可です。 |
レセコン会社の中には、残念ながら国から補助金や助成金が出ると発表されていても、積極的に通知してこないケースもあります。積極的にコンタクトを取りながら、対応できるようにしておきましょう。なお、どの追加パッケージを申し込んだらよいのかをご相談されることがありますが、基本全てのパッケージを導入するようにしましょう。国が進める医療DXは、時間がかかるかもしれませんが、必ず実行されるでしょう。(∵すでに大量の税金が投下されていますので、国も引き下がれません。)
過渡期で大変な時期ですが、全ての導入をおすすめいたします。
- 補助金/助成金の種類
補助金・助成金の種類 |
申請先 |
期日 |
参考資料/注意事項 |
電子処方箋管理サービス等関係補助金 |
(国) |
初期導入 |
https://iryohokenjyoho.service-now.com/csm?id=kb_article_view&sysparm_article=KB0010040 |
電子処方箋管理サービス等関係補助金 |
(都道府県) |
都道府県により違う |
国の申請が終わった後に発行される受理証明書が必要 |
訪問診療等・オンライン診療等・外来診療等 |
(国) 医療機関向け総合ポータル |
R7.2.1迄 |
https://iryohokenjyoho.service-now.com/csm?id=kb_article_view&sysparm_article=KB0010237 |
医療費助成のオンライン資格確認・マイナンバーカードの診察券利用(PMH)の助成金 |
(国) 医療機関向け総合ポータル |
R7.2.1迄 |
https://iryohokenjyoho.service-now.com/csm?id=kb_article_view&sysparm_article=KB0011208 |
医療扶助におけるオンライン資格確認等導入に係る助成金 |
(国) 医療機関向け総合ポータル |
当分の間 |
https://iryohokenjyoho.service-now.com/csm?id=kb_article_view&sysparm_article=KB0010217 |
出典)医療機関向けポータル(2024年12月16日現在)
上図の電子処方箋管理サービスは、電子処方箋を受けられるようにする改修や、新機能追加導入への改修(個人情報取得の口頭同意可能やリフィル処方箋対応)などがあります。電子処方箋を受け付けるためには、新機能追加導入も含めて対応が求められます。
訪問診療等・オンライン診察・外来診察等(通常とは異なる動線)は、訪問調剤時のオンライン資格確認や、オンライン服薬指導時に必要です。
医療費助成のオンライン資格確認、マイナンバーカードの診察券利用(PMH)は、今は紙でやり取りされている医療費助成のやり取りをマイナンバーカードでできるようにする仕組みに必要です。
医療扶助におけるオンライン資格確認等の導入は、生活保護者の医療情報を読み取るために必要なものになります。
どの改修工事も方向性は【情報共有のスムーズ化】や【単純作業の軽減】です。
注意ポイント ■電子処方箋の導入/新機能導入追加 国への申請の後に、受理証明書をつけて都道府県へ申請となります。 2月1日〆切の補助金も領収書が1月中に入手が必要です。そのため、年内にレセコン会社へお申し込み頂く必要があります。 |
------------------------
筆者:鈴木 素邦 有限会社クラヤ代表取締役 城西大学薬学部非常勤講師
1980年生まれ、千葉県出身。城西大学薬学部卒業と同時に薬剤師免許取得。
薬局薬剤師の経験を経て、専門部署を持てない中小薬局向けのコンサルティング会社を立ち上げ、「お客様の思いをカタチに」をモットーに中小薬局経営者の右腕になれる存在を目指している。特に、ゼロからの地域支援体制加算の算定、BCP作成、個別指導サポートは、1店舗経営からも喜ばれるサポートとして好評。
大手企業向けとしては、マネジメント研修なども手掛ける。
書籍:その1錠が寿命を縮める薬の裏側
YouTube:薬剤師そほうの薬局経営塾(調剤報酬改定など発信)
LINE公式アカウント:薬剤師そほうの薬局コンサル