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絶対に間違えたくない!これで安心の新処遇改善加算対応 ~キャリアパス要件、職場環境等要件の満たし方~
2024.12.25
【目次】
1.移行先の区分を早見表で確認
介護事業者様の経営のコンサルティングをおこなっていく中で、新しい処遇改善加算に関するご不安をお伺いする機会が多くなりました。ほとんどの事業者様が算定している一般的な加算である一方で、額も大きく、万が一間違いがあった場合の返還のリスク等については、特に心配な事のひとつと感じられているのでしょう。
今回は、新しい処遇改善加算へ移行するにあたって実施しておかなければならないことを確認していきます。
尚、本稿と同一テーマでより詳細な解説をお届けする無料オンラインセミナー「【新制度対応が不安な方へ!】絶対に間違えたくない!これで安心の新処遇改善加算対応~キャリアパス要件、職場環境等要件の満たし方~」が2025年1月30日に開催されます。どなたでもお気軽に参加いただけますので、是非、ご参加いただければと思います。
まず、従来算定していた処遇改善加算から新しいものに移行するにあたって、自事業所がどの区分に対応するのかを確認する必要があります。これは「介護職員の処遇改善 一本化詳細説明資料(実務担当者向け)」の算定要件の早見表から確認することができます。
「介護職員の処遇改善 一本化詳細説明資料(実務担当者向け)」[ⅰ]
「従来の処遇改善加算の区分」×「特定処遇改善加算の算定」×「ベースアップ加算の算定」の3つの条件の複合から、早見表を右に見ていくことで新加算のどの区分に移行できるかが確認できます。
さらに右を見ると、必要とされる要件の一覧を確認することができます。青字の「◎・□・△」の記号で示されており、これらは従来実施する必要がなかったが今後実施する必要があるというもので、これらが抜け漏れなく満たされているかどうかを確認することが重要になります。
例えば、従来の処遇改善加算Ⅱ、特定処遇改善加算算定有、ベースアップ加算算定無しの場合、新加算の区分Ⅱとなり、月額賃金改善要件Ⅰ、職場環境等要件は区分ごとに2以上の取組、HP掲載等を通じた見える化を年度内におこなうことで、新加算に移行できるということになります。また、もちろん新たに要件を満たすことで、より上位の加算へ移行するということも可能になります。
2.各種要件の確認
自事業所が移行する加算が明確になった後、移行後も要件を満たすことができるかを確認し、必要があれば対応することとなります。以下、「介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」を簡潔にまとめたものになります。詳細は原典をご確認ください。[ⅱ]
①月額賃金改善要件
処遇改善加算のうち、新加算Ⅳを算定する場合に見込まれる加算額の2分の1以上を、基本給又は決まって毎月支払われる手当の改善に充てることが求められます。
②キャリアパス要件
Ⅱ 資質向上の目標を定め、資質向上の機会提供もしくは資格取得の支援を計画し実施することが求められます。就業規則等の規程に整備し職員に周知していることが求められます。
Ⅲ 経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けていることが求められます。就業規則等の規程に整備し職員に周知していることが求められます。
Ⅳ 経験・技能のある介護職員のうち1人以上は、賃金改善後の賃金の見込額が年額 440万円以上であることが求められます。
Ⅴ サービス提供体制強化加算、特定事業所加算、入居継続支援加算又は日常生活継続支援加算の算定をおこなっていることが求められます。
③職場環境等要件
新加算のⅠ又はⅡを算定する場合は、各区分ごとに2以上の取組、新加算Ⅲ又はⅣを算定する場合は、上記の区分ごとに1以上を実施することが求められます。新加算Ⅰ又はⅡを算定する場合は、職場環境等の改善に係る取組について、ホームページへの掲載等により公表することが求められます。
確実に対応が必要なのは①月額賃金改善要件と③職場環境等要件になります。特に③職場環境等要件については、実施が求められる取組の数が一挙に増えるため、間違いのない対応が求められます。
3.生産性向上の取り組みへの対応等
職場環境等要件において、特に事業者様の頭を悩ませているのが「生産性向上の取り組み」への対応であるように感じています。その内容は下記の通りです。
⑰厚生労働省が示している「生産性向上ガイドライン」に基づき、業務改善活動の体制構築(委員会やプロジェクトチームの立ち上げ又は外部の研修会の活用等)を行っている ⑱現場の課題の見える化(課題の抽出、課題の構造化、業務時間調査の実施等)を実施している ⑲5S 活動(業務管理の手法の1つ。整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字をとったもの)等の実践による職場環境の整備を行っている ⑳業務手順書の作成や、記録・報告様式の工夫等による情報共有や作業負担の軽減を行っている ㉑介護ソフト(記録、情報共有、請求業務転記が不要なもの。)、情報端末(タブレット端末、スマートフォン端末等)の導入 ㉒介護ロボット(見守り支援、移乗支援、移動支援、排泄支援、入浴支援、介護業務支援等)又はインカム等の職員間の連絡調整の迅速化に資するICT機器 (ビジネスチャットツール含む)の導入 ㉓業務内容の明確化と役割分担を行い、介護職員がケアに集中できる環境を整備。特に、間接業務(食事等の準備や片付け、清掃、ベッドメイク、ゴミ捨て等)がある場合は、いわゆる介護助手等の活用や外注等で担 うなど 、役割の見直しやシフトの組み換え等を行う。 ㉔各種委員会の共同設置、各種指針・計画の共同策定、物品の共同購入等の事務処理部門の集約、共同で行うICT インフラの整備、人事管理システムや福利厚生システム等の共通化等、協働化を通じた職場環境の改善に向けた取組の実施 ※生産性向上体制推進加算 を取得している場合には、「生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組」の要件を満たすものとする ※小規模事業者は、㉔の取組を実施していれば、「生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組」の要件を満たすものとする |
「介護職員の処遇改善 一本化詳細説明資料(実務担当者向け)」[ⅲ]
特に、これまで取り組みを実施したことがなかった在宅サービス事業者様からは、取り組みの内容について見当がつかないといった声も聞かれます。
基本的には「⑱現場の課題の見える化」も「⑲5S 活動」もその他も、「生産性向上ガイドライン」に従っておこなう内容なのですが、まだ読み込めていない場合には気づくことが難しいので注意が必要です。まずは委員会を立ち上げて⑰の要件を満たし、その中でガイドラインを確認、実践できそうな項目に絞って取り組み要件を満たしていくのが良いでしょう。
以上、簡単にではありますが、新処遇改善加算への移行について、基本的に抑えておくべき事項について解説いたしました。より具体的な対応手法等につきましては、2025年1月30日に開催されます無料オンラインセミナー「【新制度対応が不安な方へ!】絶対に間違えたくない!これで安心の新処遇改善加算対応~キャリアパス要件、職場環境等要件の満たし方~」にてお届けできればと考えております。
ご興味をお持ちの方は、是非、ご参加いただけますと幸いです。
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[ⅰ] 旧3加算の算定状況に応じた新加算Ⅰ~Ⅳの算定要件(早見表)
[ⅱ] 介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方 並びに事務処理手順及び様式例の提示について